テラーノベル
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何気に地面に到達。痛みはそこそこ。で、目の前にありし紅魔館は偉大すぎた。ここはどこかと周囲を見渡すが見慣れない場所に少々戸惑う。
「仕方ない、とにかく中に入ってみるか」
内装はなんて傲慢な広さだ。全面が紅で染まり切り、何人来てもおかしくない雰囲気をしている。ちなみにここの門番とやらはぐーすか眠りについていた。約立たずとは言ったらあれだが。
「おや、侵入者とは珍しいわね。今すぐこの紅魔館から立ち去ることを勧めるわ」
オレの背後に現れたこいつ――十六夜咲夜。まるで瞬間移動のようなテクニックを使ってきたシャレにならんメイド長。てことはこいつの他にも。
「いきなり敵のお出ましかよ。たしかにオレは侵入者だ。だけど、それだけじゃねぇ。 」
「と、申されますと?」
「迷ったんだよ。この馬鹿げた世界によ」
「それは事実か騙しか…弾幕勝負で決着なんてどうかしら?」
「ほう…やる気か」
「いいぜ、かかってこ──」
待ちなさい、と二人に呼び止められたかのように階段をゆっくりと降りてくるお嬢様的なやつが面白そうに笑みを浮かべ。
「咲夜、身を慎みなさい」
「こいつの相手はこの私自らが下すわ。」
「わ、わかりました…」
「いいのか?従者を引かせてよ」
「いいのよ。貴方の運命、察していたから」
「オレの?」
不自然に思ったブラックピットは眉間を上げ、怪しげに見る。両手でスカートの裾を少し持ち上げ、お嬢様風に振る舞う。
「ようこそ紅魔館へ。
この私こそ気高き吸血鬼、レミリア・スカーレットよ。ここの当主をしているわ。」
「ちなみに…貴方はつい先程幻想入りしてきた子よね?」
「あ、ああ。そうだが」
「そうだったのですか…外の世界から…」
「幻想入り?外の世界?いったいなにを言ってんだ?」
「ああそうだったわね。
せっかくだから私の部屋で話しましょうか。あ、門の外側に居眠り門番がいたでしょ?あいつは気にしなくていいから。」
「いや余計に気になるだろ」
ツッコミを入れつつ、レミリアの部屋へと向かう。咲夜はレミリアに忠誠を誓っているため、ここまでとなる。オレはその扉を開け、入室する。
「ここがおまえの部屋か」
「えぇそうよ。」
レミリアが椅子に座ると右手を顎に乗せ、不思議そうに。
「早速だけど、ここが紅魔館って理解してくれたわよね?」
「全体的に言うと…幻想郷ってところよ。」
「博麗神社はおろか、白玉楼、地霊殿、守矢神社…人里…様々な場所が幾つかあるわ」
「幻想郷…。聞いたことも見た事もねぇ。」
「オレはそんなスゲェところに舞い降りたってわけか」
「その通りね。運が良かったじゃない」
「おそらく、また例のB○Aの仕業なんじゃないかしら?」
「……は?」
「いやだから、あいつよあいつ」
「八雲紫。幻想郷の賢者にして大妖怪って言われてる…」
「そいつがオレを…」
「なら行先は決まった。あいつを呼び寄せて元の世界に返してやるよう伝えに行く。」
「は、ちょ、ちょっと!待ちなさい」
焦り散らかしながらその場で立ち上がり、ブラックピットの行き場を防ぐ。
「よりによって無駄な行為をするわね、貴方。」
「スキマを使って移動するの。だから無意味。それくらい分かるでしょ?」
「……そうか。なら仕方ねぇな」
「戻りたいなら手がかりを探すしかほかないわ。でも今日は泊まっていきなさい、空き部屋、使ってくれて構わないわ」
「むしろ大歓迎よ、天使さん?」
「…!オレが天使だってこと知ってんのか?」
「だって、背中についてるじゃない?翼」
「それに…」
「あの時言っていた「運命」ってやつか」
「そう。私は運命を操る程度の能力を持ってる。この先の未来とかもね」
「フン。んじゃ、貸させてもらうぜ?部屋」
「えぇ。あ、夕方は食事一緒にいかが?そこで仲間達も紹介してあげる。」
「好きにしろ」
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