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あれは、とある夏の日の事____
戦争が酷くなり、米軍からの空襲も増えてきた頃、
私達は、平和に暮らしていた
空「ねぇ〜兄ちゃん達、隣の県で空襲だって」
陸「またか、最近増えてるよな」
海「あ〜、あれだろ?○○ってとこ」
空「そーそー、」
そんな会話をしながら、今日もまた、昨日と同じような日を過ごす
ばすだった
がしゃん…ッ
そんな音が、玄関から聞こえる
もしかして、いや、まさか、
そんな、考えるだけ無駄な事を思う
重い足取りで、玄関へ向かう
__「..おめでとうございます、招集がかけられました」
一気に血の気が引く、当たり前、もう招集がかけられる年齢なのに
陸「…誰に、でしょうか?」
知っているのに、そんな事を聞く
もしかしたら間違いかもしれないと、光の無い希望を望む
__「..空さんです」
やっぱり、そうだった
間違いなんかではない、これは私達家族に___空へのものだった
当たり前だ、私は足が片方駄目で、海は手が片方無いのだから
空だけが無事なのだ
陸「..空」
空を呼びに、リビングへ戻る
空「はーい?」
そんな明るい声と裏腹に、私は空にさっきの事を告げる
陸「…招集がかけられた、空に」
空「ッ…そっか」
海「、は?」
そんな返事を寄越す二人、当たり前だ、急に家族が戦争へ行くんだ
空「…うん、確かに、そうだよね、僕、行かなきゃか」
またいつもの顔をして、そう納得する姿を見せる空が、なんとも儚く、そして寂しそうだった
数日後、空は出ていった
「行ってきます」と、言葉を残して
陸「…」
海「…、」
酷く静かになった部屋で、蝉の声だけが聞こえる
海「ッあ゙ぁ…ッ」
そう嗚咽する声が、隣から聞こえる
..がしゃんッ
玄関から、また同じような音が聞こえる
空であればいいのに..、そんな思いは、すぐに無駄になった
「郵便です」
陸「..はい」
「…では、失礼します」
陸「ありがとうございます…」
封筒だ、誰からだろうか
陸「..はッ、?」
宛名を見る、「空」と、しっかりとした字で書かれていた
空の、何度も見た、あの字で
海「…どうした?」
陸「..これ」
海「..ッ、!?」
封筒を渡すと、驚いたような顔をする海
当たり前だ、今日出ていったばかりなのに、すぐ手紙を寄こしたのだから
…封筒を開ける、そこには、3枚の紙があった
取り出して見ると、3枚目をに「二人へ」「戦争が終わったら」
と書かれており、その時に読め、という事らしい
そして、3枚目を見る
「願い事」
と、書かれていた
…数ヶ月後、戦争は終わった
だが、あの子は帰ってこない
戦死、という言葉が過る
頭を振り、そんな言葉を消す
陸「..終わったな」
海「..嗚呼」
そんな会話を交わす
がしゃんッ..
玄関から音が聞こえた
だが、生憎、玄関まで行くほどの元気はなかった
「…笑、おーい、誰か居ますかー?」
聞き慣れた声、この声は、家族の空の声…
..え?空の声?
そう思うと同時に、玄関へ向かった
空「..久しぶり、笑」
そんな事を言い、軽く笑ってみせる空
海「空ッ!!」
海が空に抱き着きに行く…それに従って、私も抱きつく
空「おっと、笑」
空「どうしたの二人共、笑」
笑いながら、私達二人を包む空
…温かい、そして懐かしい、
そんな、二人の夢のお話___