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教室リーグ~底辺モブ生徒が分析スカウターで超名門校の序列をぶっつぶす~
第45話 - 第45話 【太陽の独壇場】シェイクスピアすら書き換える超知能!自尊心を砕く「相棒」への残酷な信頼
24
1,813文字
2026年05月13日
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れいとうみかん
45-1◆太陽の人心掌握術◆
応接室のローテーブルの上にはハムレットの脚本の草案が広げられていた。
俺と天宮はその脚本について語り合う。
いや語り合っているというのは正確ではない。
そのほとんどの時間は天宮が語り俺がただ相槌を打つだけだった。
彼の考えている内容は素晴らしかった。
現代版ハムレットとしての斬新な解釈。
それから高校生にも伝わるような巧みなセリフ回し。
俺が意見を挟む余地はどこにもなかった。
ミラー:「どうした奏。お前の出番がないぞ。脚本家先生」
奏:「隙がない。こいつの構成力と台詞のセンス。全てが完璧すぎる」
ミラー:「お前が手伝う必要もないと?」
奏:「ああ。これなら成功は間違いない」
完璧な人間が完璧な脚本を書く。
俺はただそれを眺めているだけだった。
やがてメイドが飲み物と見たこともないような高級な菓子を運んでくる。
その時だった。
来客を告げるインターホンが鳴った。
現れたのは柴田隼人だった。
彼はまるで自分の家のように慣れた様子で応接室に入ってくると
俺の隣のソファにどかりと腰を下ろした。
「天宮!悪い!遅れた!いやー今日の漫才の練習も最悪でよ。俺のボケにあいつのツッコミが全然追いついてこねえんだよ!」
「よう隼人。待ってたぜ。学園祭の隼人の漫才、楽しみにしてるぜ」
天宮が俺に説明する。
「学校版ハムレットを提案したのは隼人だからね。彼にも参加してもらったんだ」
天宮は柴田に「何かアイデアはあるか?」と優しく尋ねる。
すると柴田は待ってましたとばかりに熱弁を始めた。
彼が考える学校版ハムレットの構想。
その中にはコメディシーンや、現代の流行を取り入れたアイデアが満載だった。
俺なら一蹴するような、くだらないアイデアも中にはある。
だが天宮は一つ一つに真剣に耳を傾け、それから言った。
「面白いなそれ。そのユーモアが逆に彼の悲劇性を際立たせるかもしれない。全部取り入れよう」
その言葉に、柴田のモチベーションは最高潮に達した。
俺はその光景を、ただ観測していた。
奏:「見たか?ミラー。あれが太陽の人心掌握術だ」
ミラー:「ああ。だが本人にその自覚はないんだろうな。あれが奴の自然体だ」
奏:「恐ろしい男だ」
俺は改めて、天宮蓮司という人間の底知れない器の大きさに戦慄していた。
45-2◆王の器、それから2つの宿題◆
「全部取り入れよう」
天宮はそう言うとノートパソコンを開いた。
彼のその指が驚異的な速度でキーボードの上を舞い始める。
柴田のその突拍子もないアイデアを、彼が元々考えていたであろうハムレットのプロットの中へと
驚くべき速度で再構築していく。
その光景を俺と柴田はただ呆然と眺めていた。
奏:「ミラー。信じられるか。あいつは今柴田のあのくだらないアイデアをシェイクスピアの悲劇にリアルタイムで融合させている」
ミラー:「超天才だな。もはや人間業じゃない」
数十分後。天宮はピタリと指を止めた。
「できたよ。プロットの最新版だ」
彼が俺たちに見せたそのプロットは完璧だった。
柴田のユーモアが悲劇のスパイスとして、見事に機能している。
それから天宮はそのデータをUSBメモリに移すと俺に差し出した。
「あとは音無くんがこれを脚本に落とし込んでくれ。頼んだよ」
それは王からの「宿題」だった。
俺はそのUSBを受け取りながら全てを理解した。
(そうか。こいつ)
奏:「分かったぞミラー。こいつはわざと俺や柴田に役割を与えている。自分一人で全てできるくせに」
ミラー:「それが王の器というやつか。仲間に手柄を立てさせることで忠誠心を引き出す。恐ろしい男だ」
そうだ。
俺は、彼のその底知れない器の大きさに完敗した。
会議は終わり気づけばもう夜の十時を過ぎていた。
天宮は執事らしき老人を呼びつける。
「じい。彼らを自宅まで送ってやってくれ」
「はい。ぼっちゃま」
俺とテンションが最高潮の柴田は、再びあのマイバッハに乗れることになった。
天宮は俺たちを玄関まで見送ってくれた。
それから門の前で別れる、その最後の瞬間。
天宮は思い出したように、俺にだけ聞こえる声で言った。
その瞳にはあの時と同じ、一点の曇りもない善意を宿して。
「ああそうだ、音無くん」
「三好のこと。本当に頼んだよ。何とかしてやって」
その一言。
それは俺の心臓に突き刺さる氷の刃だった。
俺はただ曖昧に頷くことしかできない。
静かな車内で俺はただ一人、天宮蓮司という男への畏怖とそれから彼から与えられたこの「2つの宿題」に打ちひしがれていた。
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