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「…は、?ひば、り?」
どこか顔色の悪いいつもの明朗快活な笑顔では無く無理をしたような雲雀を見つけて、何となく跡を付ければその行先は屋上で。
サラり、鼻をかすめる血の匂い。
「…はぁ、っ”ぁ、…?せ、らぁ…ぉ?」
じわり、じわりと雲雀の服と手を濡らす赤。
鼻を突くその匂いは足抜けしてから離れていた匂いで、たった数ヶ月のはずなのに数年嗅いでいなかったように感じる。
「…ぅえ、…ごほっ」
「!…雲雀、ちょっと触るよ」
吐血した雲雀に遠くに行った意識と無意識に握り込み固まった筋肉を緩めて、服が汚れることなど気にせず近づき服を避けて意味の成さない包帯とガーゼを取り傷を見る。
真っ白で細い身体を赤く染める。脇腹からどくどくと溢れる血液。
銃痕だ。弾は…残ってないなのに。
「…ちぃ、止まらんよおに、なんかぬられて、た?っぽくてさ」
ヘラり、弱々しく笑う雲雀。
だからか。
セラフは自分の抑えた手と服を見る。衛生的に良くないにしても血が溢れて止まらず失血死するよりは良いだろう。
「…ひば___」
「ごめん、せらぉ…せら、おは…かんけー、ないのに…も、いいのに…ぉれ、のせーで…げほっけほ」
「…!」
身体を起こすように上体を支える。
「よご、して…ごめん、なぁ…」
へらり、また弱々しい笑顔。無理した顔。
なんで、なんで今自分のことを…っ、
「雲雀、できる限り急ぐから起きててね」
「…、?せ、ぁ、っ…?」
背丈は変わらないのに軽くて細い身体を抱きしめる。
「雲雀…ねぇ、雲雀死ぬなんて許さないから。俺の腕の中で死ぬなんて許さないから」
雲雀、雲雀…お願いだから
その歌をもっと俺たちに聞かせて、雲雀の笑顔を見せて
いつもみたいに頭撫でてよ、抱きしめてよ…ひばり、っ
「セラ、ありがとね本当に」
「俺は、別に…」
「いーや、セラが気づいてなきゃひばは死んでたよ」
だからありがとう。
そう言って雲雀が眠るベッドの横に腰掛ける奏斗。
あの後急いで生徒会室に運び込めば顔を青くした奏斗とアキラが直ぐに奏斗の部屋…生徒会長専用の部屋へ運ぶように言い、奏斗が呼んだ闇医者の手により何とか命をつなぎ止めた。
「…奏斗…私たちには少しなら聞く権利があるよな」
「…僕も詳しくは知らないよ、ただ…ひばは裏社会の人間なんだよ」
そういった奏斗は酷く悲しそうで、傷の影響で熱を出して赤い顔をした雲雀の頭を撫でる。
ぎゅ、と握った点滴のされてない手を額に当てる。生きているんだと分かる。
「…雲雀にさ、初めて会った時…俺は雲雀がコッチの人間だとは思わなかったし所詮盗むだけ、なんて思ったんだ」
けど、実態は凪ちゃんが全力を尽くしても何も分からず明るさの裏に隠された闇があった。
所詮盗むだけ、なんてなんて失礼なことを思ったんだろう。
「雲雀は、光みたいだって…思ったの…でも、雲雀はそっちに居るんだ」
雲雀の血は落としたはずなのに…なのに
「…僕はさいつか、セラとアキラみたいに抜けるつもりなんだよ…でもね、ひばはこの先もずっとそっちに居るんだよ」
「…あなた達は抱えすぎなんですよ」
そう言って凪ちゃんが奏斗にデコピンしてるのを見て、ほんの少し体から力が抜ける。
ねぇ、雲雀。
俺ね雲雀が時々奏斗や凪ちゃん、俺に対してどこか引いて笑ってるのが怖いんだ。
ねぇ、雲雀…今度は俺と凪ちゃんが手伝うから奏斗と一緒に…
雲雀…ひばり、おれ…ひばりの笑顔に歌に凪ちゃんとも奏斗とも違う形で救われたんだ。
俺ね、雲雀の笑顔を見るとドキドキするんだよ…
(この気持ちが分かるまで…生きててね)