テラーノベル
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模試が終わった日の放課後、咲は美優と一緒に駅前のカフェに寄っていた。
テーブルの上にはプリントやノートが広がっているけれど、二人の話題は勉強から逸れてばかりだ。
「ねえ咲。悠真さんって……彼女とかいないの?」
唐突に投げかけられた問いに、咲は思わず手を止めた。
「えっ……そ、そんなの知らないよ」
慌ててストローをくわえるけれど、心臓の音まで隠せそうにない。
「なんかね、夏祭りのときに見てて思ったんだ。あの人、優しいのに不思議と距離を置いてる感じがするっていうか……」
美優の言葉は、咲の胸にずしんと響いた。
(……本当は、私も知りたい)
だけどその気持ちは、まだ口にできなかった。
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