「はい、あーん」
ぱく、
「おいし?」
知らないとこにきて、何日経っただろう。
今が、何月何日か。昼か夜かさえも分からない
ある日、学校の帰り道
いつもと違うことをしたい気分でいつもと違う道を歩いて帰る。
帰りたくないな。
「ただいま、」
玄関で靴を脱ぐと、お母さんが出迎えた。 目に涙を浮かべて
「もう、どこ行ってたのたのよ…っ!」
「いつもより10分遅いじゃなぃ、」
「ごめんなさい。」
お母さんは心配性でも、完璧主義者でもない。 ただ寂しいだけ。
お気に入りの娘、僕の妹、灯が先週死んだから 灯を僕と重ねて大切にしてる。
性別も違うのに、
僕は髪さえも切らせてくれない。
お母さんは本当の僕を見てくれない。
だから、僕はお母さんが好きじゃない。
おつかいを頼まれた日。
帰り道でクラスの子にあった。
サッカーに誘われて、少しだけ。と話に乗った
遊具をゴールにして、僕が守る。
友達が蹴ったボールは、遊具を逸れて入口付近に転がっていく。
「自分で取り行ってよ……」
入口に立っていた背の高い男の人の足にボールが当たる。
「ぁ、…ごめんなさい。」
そう言ってボールを拾って友達の所に戻る。
すると、男の人に腕を掴まれた。
「…っえ、ぁ…?」
男の人は僕を抱きしめる。
「あぁ、…やっとみつけた。」
「は、…?」
「おーい、ボールまだ…か、」
「あれ、どこ行ったんだろ。」
「ん、…っぅ…」
目を覚ますと、暗いところに居た。
座っているのは、多分ソファーだ
すると、急にテレビがつく。
○○県○○市で、13歳の男子中学生が先日から、行方不明になっている事がわかりました。 行方が分からなくなっているのは○○市に住む中学1年の松岡奈央さんです。
奈央さんは、先日午後3時過ぎ買い物から帰る途中に、自宅付近の公園で遊んでいた姿が目撃されています。
しかしこれ以降行方が分からなくなっています
奈央さんは、白いパーカーに黒いズボン姿で、レジ袋を持っていました。
警察は奈央さんが事故に巻き込まれた可能性もあるとみて、自宅付近や学校など捜索を進めています。
「…っえ、」
「有名人だねー、奈央くん」
僕の肩に手を乗せて、呟く。
「か、…かえして…ください、」
「だめ、奈央くんは今日からここに住む。 ずーっと前から考えてた。」
テレビで交通事故のニュースが続けられる。
「見てよほら、外は危ないんだよ? ここにいる方がずっと安全。」
「ご飯もあるし、寝る場所も、本もゲームも、テレビだって。なんでもあるよ?」
そんなの自分の家にだってある。
こんな不気味な知らない場所より家がいい。
「家に、かえして…ください。」
「…ほんとに帰りたいわけ? そんなに妹の代わりとして生きたいんだ。」
肩から手が離れる。
ほんとは帰りたくない。
灯の代わりなんかやりたくない。
「でもさぁ、もう遅いよ。 ここ、奈央くんの家からどれくらい離れてる と思ってんの?」
「……」
「俺と一緒にいた方が、ずーっと幸せだよ?」
僕はもう、考えるのをやめた。
この人は、僕を僕として見てくれる。
理由はたったそれしかないけど、
でも変わってるけど実際、家よりマシだった。
「動いちゃダメだよ?」
「……ん、」
ジョキッ、
チョキチョキ、
「…わ、」
「やっぱ短い方がかわぃ、」
髪を切られたりした。
やっと自分らしくなれた気がして嬉しかった。
でも、やっぱり変わってる。
寝る時は、同じベッド。
それに、毎回苦しいぐらいに抱きつかれる。
「……っ、う…」
「奈央くんいー匂い、…」
一日中、居なかった時は首元を噛んでくる。
でもさ
この人は、僕のやりたいことしたいことを、 してくれた。
黒髪で、泣きぼくろがあるお兄さん。
名前も年齢も知らない。
優しい人だけど、手は縛られたまま。
外には1歩も出してくれない。
窓も少なくて、全部塞がれてて外が見えない。
でも、どうしても外に出たい。外をみたい。
そう思って、お兄さんが居ない時
ドアから外に出たことがある。
靴も無くなっていたから、裸足のまま。
外に出たら、綺麗な夜景が見えた。
「…綺麗…、」
見覚えのない街、
本当に知らないところに来たみたい。
僕は夜景に見とれて、時間を忘れた。
10分くらい、経った時。
お兄さんが帰ってきた。
「……なんで出てるの、」
「…っは、…ち、ちが…」
僕は無理やり部屋に戻されて、床に押さえつけられる。
「っぅ”、っ!」
「出ちゃダメだって言ったよね、」
そこには、いつもみたいに優しいお兄さんは 居なかった。
殴られて、蹴られて、全身に痣ができた。
次の日には、また優しい人に戻ってる。
その時から、お兄さんが怖くなった。
もう、こんなところに居たくない。
だから、もう一度。
1度出た日から時間を開けて
僕は外に出た。
ガシャンッ!!
バキバキ!
ピッ。ピッ。
僕は、事故にあった。
工事現場から、鉄のパイプが三本。
頭に直撃した。
死ななかったのが奇跡。そう言われた。
退院当日。
医者に突然言われた。
「君、2年前に行方不明になった子かい?」
「……え?」
2年、
そんなにも長い間、あの家にいたのか。
「……人違いじゃないですか?」
病院から出ると、お兄さんがいた。
「心配したよ奈央くん、」
「だから言ったでしょ外は危ないって」
「…お兄さんは、誰なの」
「僕を2年も監禁して好きな物から妹の灯の事まで、なんでも知ってる。」
「…なんで、」
「…名前言ったらわかるかな、」
「俺は松岡渚紗、君のお兄ちゃんだよ」
「…ぇ、は?」
「ち、違う、嘘…お兄ちゃんは死んでて、」
「でも実際ここにいる。死んでないよ。」
「で、でも…お母さんは…」
「……まだあんな奴のこと覚えてんの?」
「…っえ、」
「…あんなクソ親、忘れればいいのに、」
「あのね、俺殺そうとしたの母さんだから。」
「…ぅ、嘘…違うよ、…」
「違う違う…お母さんはそんなことしない、」
「……奈央、」
「違う違う違う、嘘嘘嘘嘘…」
「…奈央!」
「っ…、」
「……帰るよ、」
それから、毎日奈央は泣いてる。
顔をべしゃべしゃにして。
「っ、ぐ…ぅ”…っ」
「……よしよし、」
近くだけで、自分から抱きついてくる。
あの親は自分の子供を愛してなんかない。
昼間にあれだけ愛を伝えられても 、
夜には寝ている子供をどう殺そうと企む。
子供に虐待をしなかったのは、
今の時代、一発アウト。自分が捕まるから。
だから、事故で死んだようにみせかける。
俺は道路に突き飛ばされて。
灯はブラインドの紐に首を引っ掛けた。
奈央だけはどうしても助けたかった。
だからこんな形になった。
最初に自分の事を話しさなかったのは、
死んだことになってるのに言っても伝わらないと思ったから。
「奈央ーごはーん、」
「…はーぃ、」
「はい、あーん」
ぱく、
「おいし?」
「…ぅん、」
「奈央、」
「…なに」
「もう、外に出ないって約束できる?」
「…ぅん、」
絶対奈央は殺させない。
だって、大事な弟だからね。
_𝙚𝙣𝙙_
━━━━━━━あとがき━━━━━━━━
見てくれてありがとーね。
これさ、内容自分的にめっちゃ好きなんだけど
最初書いてる時、保存し忘れがめっちゃ多くて
4分の1書いてんのに全部消えたみたいな事が
3回ぐらい起こってて、書くのやめようか
迷ったよね。
っていう自分話。
このノベルは気が向いたら投稿って感じで
1話完結の話ばっかりだよん。
君たちも気が向いたら見に来てね
ばぁい👋
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