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ところ変わって、打ち上げ会場。
町に1件しかない居酒屋『天国と地獄 2号店』が、宴の場だ。
予選を勝ち抜いた女神たちが集っている。
早い話が祝勝会だ。
参加者は、耕司・千代里(韋駄天)。
毘沙門天、シャオロン(弁財天)、アリシャ(大黒天)である。
彼女ら(神々)のペアである人間は、参加していない。
大会関係者として、受付嬢の顔が見える。
主催者である全能の神、男神一同は、決勝の準備(別の飲み会)のため、不参加だ。
「あれ? 毘沙門さまは?」
耕司のひとことに、千代里を含め、女神たちが一斉に天井を見上げる。
毘沙門天が、天井にぶっ刺さっていた。
「“お笑い担当”の毘沙門天さま、天井は弁償してくださいね」
脚しか見えていない毘沙門天に、受付嬢が笑顔で声をかけた。
もちろん、受付嬢の目は笑っていない。
「はい! みんな、おつかれさん!」
天井から降ってきた毘沙門天が、自分の席(座椅子)にスッポリと収まった。
「“お笑い要員”の毘沙門さま、このメンバーって?」
未成年の耕司は、ウーロン茶を啜りながら、毘沙門天に問う。
「だから、ボクはお笑い要員じゃねぇっての!」
「ほかの神様は?」
「人(神さま)のはなし聞いてる? ま、いいや。芸名(なまえ)に『天』がついてるだろ? 毘沙門天、弁財天、大黒天……」
タイミング良く、エビの天ぷらが運ばれてきた。
「福神の天ぷら?」
「だから、ちげぇっての!」
「みんなひっくるめて、天部っていうんだ。で、天部に属する女神だけを集めたってわけ。チヨリンも、韋駄天だら天部組さ!」
「改めて紹介しよう、お~い! 天ぷら2人組、ちょっと来ておくれ!」
毘沙門天が、シャオロンとアリシャを呼び寄せる。
「ワタシは揚げ物じゃない……」
お団子ヘアーのシャオロンが、小走り(歩幅10センチ)で迫りくる。
「あっつ! 顔、熱っつ!」
シャオロンが、熱々のおでんを毘沙門天の顔面に、力のかぎり押し当てた。
毘沙門天は、顔を抑えてのたうち回る。
受付嬢は黙っていなかった。
「食べ物で遊んではいけませんよ? そのおダンゴを引きちぎりますよ?」
黒髪で出来ている2つのダンゴを、受付嬢が鷲掴む。
ピリつく空気を変えようと思ったのか、毘沙門天が経口をたたく。
「賞品の宝船ってさ……なんかちっちゃくない?」
刺身の船盛の船より小さいじゃん……。
毘沙門天が、ぶつくさと呟く。
「発注ミスです! クレームは受け付けません!」
「受付嬢なのに受付けないのかよ!」
毘沙門天は、かなり不満そうだ。
「突然ですが、全国大会についてお話します。48チームのトーナメント方式……決まっているのは、これくらいです……」
受付嬢が、毘沙門天の顔面を鷲掴む。
「47都道府県の代表、現役の七福神が参加するので、合わせて48チームなんですよ」
アリシャが、見ず知らずのオジサンに解説している。
「大黒ちゃんは誰に話してんだよ!」
毘沙門天が、ちいさな宝船の先っちょで、アリシャのメガネを小刻みにつつく。
「受付ちゃん、協議は決まってないのかい?」
「はい、未定だそうです……」
「主催者はテキトーすぎ~!」
高速で動くアリシャのワイパーを見ながら、耕司は、ひとり思いを馳せる__。
ふと千代里を見やると、耕司にもたれかかって気持ちよさそうに爆睡している。
お疲れのようだし、このまま寝かせておいてあげよう……。
競技は未定か。次も女ストだといいけど。
今度はチーム戦だっけ。
他の神様は皆強そうだし、心強い……。
卍
神界にある、居酒屋『天国と地獄 1号店』の一室。
男神A・B、最高神が雑談をしていた。
此度は、男神Cが加わった4柱で呑んでいる__。
「Aくんさ、勢いで八福神にしちゃったけど、全国大会(決勝)どうするの?」
男神Bが、ご機嫌な様子で口を開いた。
「決勝の舞台ってさ、ヨコハマじゃん? シウマイでなにかやる?」
思考時間0・2秒で、男神Aが返答する。
「シウマイにわさび入れて、キエフ・ルーレットっぽくするとか、どう?」
男神Bのいう『キエフ・ルーレット』とは、いまで言うロシアン・ルーレットだ。
「ぬるいわ! 本物の武器を使った競技にしろ!」
武闘派の男神Cが、男神A・Bの会話に割って入る。
男神Cは、AとBの大先輩である。
ちなみに、Cは脳筋だ。
「いやいや、女神が死んじゃいますって……」
男神Aが、大慌てで手のひらをブンブンと振りたくる。
「C先輩……せめてイス取り合戦くらいにしては……」
「なんの話し?」
爆睡していた最高神が、顔を上げた。
「決定戦の決勝大会についてですよ」
「競技は何?」
最高神が、顔を上げた。
「引き続き、女ストがいいかと。ひとつ違うのは、本物の槍を使うことですかね」
「おっけー! いいんじゃない?」
「「いや、ダメでしょ……」」
男神A・Bが、同じ言葉を発しながら同時に頭を抱えた……。
男神Cが、床(下界)に向かって声高らかに宣言する。
「オッサンスタジアムで殺し合え、女神ども!」
耕司たちは、この事実を知らない……。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
地方大会編は、これにて完結です。
七福神決定戦『全国大会(決勝)』編へつづきます。
(エピローグが微妙なので、修正します)
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