テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
(…寂しい)
夜にふと湧く感情を抑えきれなくて、ジフンを起こしたのはいつぶりだろうか。
「う…ドフニヒョン?どうしたんですか…いつもよく寝てるのに…」
「なんか、寝れなくて」
いつも小競り合いをする声は、夜に聞くと思っていたよりも温もりを感じた。
年下のくせに。自分より身長の低い年下に、寂しいとか言えるわけないよななんて思って、少しだけ言い訳をした。
「昨日寝すぎたんじゃないんですか?」
「ああもう、抱き枕にしていいからとりあえず寝かせてください。ぼくはいま疲れてるんですよ…」
前言撤回。こんなやつに温もりとか感じない。ジフンを抱き枕にしたところで何も変わらないし、いつも朝起きたら抱き枕にしてるのに意味があるわけない。
ただそれでも一人は寂しくて、結局眠りについたジフンの後ろ姿を見ながら瞑想を始めることにした。
「眠れない…」
本当に昨日寝過ぎたのか?
電子機器も見ていないのになぜか眠れなくて、目をあけることにした。しかし、深夜だから目を開けたとしても暗さは変わらなかった。
声を出しても気づかないまま深く呼吸をしているジフンを起こすこともできずに時間が経過する。
ああ…そういえば、明日は休みだったっけ?
休みなら眠れなくてもいいかと思ったが、アイドルという職業をしているのに肌に気を遣わなくてどうするんだ、という結論に陥った。これでターンオーバーが乱れても困るし、そうなる前にアイマスクか何か取りにいけばいいか、それとも諦めたほうが早いか。幽霊がいたら何が起きるかわからなかったため、後者を取った。
それと、どうせ眠れないならなにか暇をつぶしたい。そういえば、最近は仕事ばかりでプライベートなことがあまりできていなかったっけ。
たとえば…性欲処理、とか?
どうせジフンは疲れているし起きないだろう。眠れないストレスで頭が狂ったのか、抵抗もなく下を脱いだ。
ごめん、ジフナ。
もし汗で汚したら俺が洗濯するから…そう言い聞かせて、罪から逃げた。
「ん、〜ふ♡ぅ、う…♡」
大きすぎない声で前をいじると、久しぶりの感覚に胸が痺れた。そのまま分泌された我慢汁をくちゅ、と手のひらに行き渡らせて秘部を触る。
「ぁ、これ…っ♡きもち、ぃっ…♡」
夢中になって、部屋にただ響く音に集中しながら手を動かした。
たまに裏筋を掻くと、その気持ちよさに脳がはじけ飛びそうになる。
それでもなんだか物足りなくて、胸も少し触ってみる。あまり快感は得られないが、寂しさを紛らわすにはちょうどいい。まあ、いつか気持ちよくなれるとかいう噂もあるし。
「ふ、っ♡じふ、な、…♡ぁ〜♡」
「ぁ、♡すきぃ、これ♡♡」
隣で人が眠っているのに、一体何をしているんだ。と言っても、正気に戻ったらせっかくの一人の時間を無駄にしたことになるのでこれなら早く終わらせたほうが、なんて思った。
「んん〜、足りない…」
むずむずして身を捩ると、暗くてよく見えなかったがさっきまで背を向けていたジフンが体勢を変えて仰向けになっている。
「じふな、起きてる?」
「…んー、ひょんあ…もう愛嬌はしたくない…」
間抜けな返事にがっくりする。どんな夢を見てるんだこの野郎。俺はジフナが起きるのを待ってるのに。
なのにこいつは起きたかと思えばまた寝るなんて。
その忌まわしい口をつまんでやろうかと目を向ける。
「……」
「ちょっとだけなら…」
間抜けな顔してるくせして、その唇を見ればさらに触れたくなる。ただ、ちょっと重ねるだけだから。
まだセーフだよな、って心の声のドフンが言う。そうだ、疲れてるジフニが気づくわけない。
「ん、っ」
ちゅ、なんて音すら鳴らないただ不器用なキスだった。慎重に唇を重ねると、さくらんぼみたいな赤さに横幅の広い唇が愛おしく感じた。
いつもこの口をめいっぱい開けて笑うんだ、って。
「は、ぁ…ジフナ、♡…たりない」
もっと求めるように舌を出すと、すこし強引気味にジフンの口を探検する。律儀に口を閉じて眠るから、歯が邪魔で全然入れられない。
そこは大人しく我慢して、ジフニの唇を俺の涎で汚すだけにしてあげた。
「ん、あ…?どふにひょん?」
「……え?」
「どふにひょん、なんか、唇がべちゃべちゃなんですけど…」
「…しらない」
「いや、絶対ぽっぽしましたよね?」
「ちがう」
最悪だ。なんでこんなタイミングが悪いんだ。声を出しても熟睡してるくせになんでこういうときに起きてしまうのか。
あまりにも恥ずかしくて、その場でしらを切ってしまった。ああ、どうしよう、絶対馬鹿にされる。
「ヒョン、答えてください」
「おまえっ…」
「いつもこんな簡単に押し倒されるくせに、今さらぼくより優位に立てると思っていてその言葉遣いをしてるんですか?」
「あ、じふ、な…〜っ!」
「それにしても今日は珍しいですね。あのドフニヒョンがこんな時間までひとりで起きてるの」
この弟、なんでこんなに勘が鋭いんだ?
ルームメイトだからこそわかるとでも言うのか?いや、俺がすぐ眠っていびきまでかくタイプなのは自覚してるけど…
「下まで脱いで、なにしてたんでしょうね。はは、まあ考えなくてもわかりますけど」
「〜〜!」
「はやく言えばいいのに、何をそんなにためらってるんですか?」
「〜だって、じふなが!」
これだからジフニは、ああ、バレたくなかったのに、こんなことならキスなんかしなきゃよかった。
「俺は夜にひとりで怖くて、でもジフナが冷たいからっ、寂しくて、構ってほしかったのに…」
「…ドフニヒョン?」
「あ、っヒョン、ちょっと」
俺のほうが眉毛も濃いし、俺のほうが身長も高いのに。なのにジフナの前だと年上でいられなくて、自分から求めることが多い気がする。そのうえ「寂しい」なんて言葉が俺の口から出るのが悔しい。
このいたずらばかりする憎い口を塞いでやろうと、歯がぶつかる勢いでキスをした。
「ヒョン、おちつい、んっ…」
びっくりした。いつも一言多いし、少しズレた方向で答えを返してくるあのヒョンがぼくのせいで寂しくなって、一人がいやだと涙ぐんでいる。
「、はっ…」
そう考えると、息継ぎなのか笑いなのかよくわからない声が出た。
「ん、ぁあっ…じふ、はぁ、ん…♡」
自分から突然キスしてきたわりに、ヒョンが一番夢中になってるじゃん。もう、この人は…
メンバーの前で、俺はヒョンだから気にしないとか言うくせに。
甘え方もただの愛嬌みたいで、いつもファンのことを考えて発言するI型の人間が、
いまはぼくがいないと何もできないみたいに拙い求め方をしているなんて。
ぼくの行動一つで一喜一憂しちゃうヒョンとか、そんなの…
「ほんとにかわいすぎる…」
「ぁ、あ…♡じふな♡もっと、…♡ぽっぽして、ぽっぽ…」
「それだけじゃ足りないでしょ」
すでにボタンの外れたパジャマを乱雑に開いて、胸から腹へと手を滑らせる。我慢できないと言うように呼吸が震えるヒョンの首に触れる。
耳も、首も、息切れして涙ぐんでいる顔も、すべてが赤くて、熱い。
「ドフニヒョン、もうちょっと舌だして」
興奮で唾液を飲み込めないヒョンの柔らかい舌に、どうしようもなく胸が苦しくなった。ちょっと崩れた前髪をずらしてその顔を拝見する。
「はっ、ぼく…ドフニヒョンが余裕もなくなって必死に繋がろうとしてるのがかわいくて、ほんとに苦しいんです…」
「ん、ぅう…♡そう?じふな、俺かわいい?」
「もちろん…どんな愛嬌よりもかわいくてセクシーで、愛おしいですよ」
自分の欲に素直になったドフニヒョンは、とにかく甘え上手だ。いつもは毒舌でたまに突っかかってくるのに、情事中はこんな愛に溢れた人間になる。自分が一番かわいくて、一番愛されてる自覚がある顔をして。
「じふな、も、ぜんぎいいから…まってて、うしろ、ほぐす…」
「ヒョン、ほんとに言ってるんですか?こんなちっちゃな手じゃ届きませんって」
「うるさい、ぜんぶ自分でやる」
ぼくの発言が癪に障ったのか、へとへとになっているのに頑張って手をうしろに伸ばしている。自分のモノから溢れる我慢汁を指に絡めて、少しずつその小さい指を挿入する。官能小説でも読んでいる気分だった。この人はぼくのことを発情しない人間だと思っているのか、もう我慢できないのに。
「ん、ぅうう…♡は、ぁあ…♡」
「う、ん♡…あんまきもちよくない」
「ぼくが手伝いますよ」
「それはっ、は♡っんじふん!あ、♡あぁ…っ♡ちくび、さわるなっ…♡」
「はあ、もうだめです、ドフニヒョンが声を出してくれると嬉しくてしょうがなくて…」
「あ、もっ…こっちは、がまんし、ああっ!♡♡」
「だってひょん、ぼくの舌好きでしょ?舐めてるからそのまま指動かしてください」
「あ、くぅぅうん…♡そっちはあんまっ♡かんじれ、ないってば…♡」
「なに言ってるんですか?いつもあんなに気持ちよさそうにしてるのに」
「でも、いじってもきもちよく、な…♡いっっ!」
「嘘つかないでください。ほら指も動かして」
「だからもう、いくっ♡て!あっいく…いくいくいくいく♡い、ん…ぅぐう〜〜〜〜♡♡」
「あーほんとに…かわいい、泣かないで…きもちよかったですね」
自分から触るなと言うくせに、結局よがって身を預けるところ。快楽に負けそうになってだんだんとヒョンとしてのプライドが崩れていくところ。自分ではあんま感じることができないのにぼくの手だとすぐイっちゃうところ。
それから、果てたあとぼーっとして泣きながらぼくの目を見るところも、ぜんぶ愛おしい。
「ドフニヒョン、ぽっぽしましょう。あーってして」
「ぽっぽはやく、じふな…」
「わかりましたって」
ヒョンは舌を入れるキスだけが好きなわけではない。だから一回舌を入れて、また戻したかと思えばフレンチキスもしてくる。とにかくいろんな種類で愛を伝えたいみたいだ。
それから舌を入れても強引に口の中を探索しないのが大切。唾液を絡めてゆっくり繋がろうとするように、舌に力を入れずに動かす。キスしてる間は目を閉じているけど、離したら目を開けて余韻に浸るように全身の力が抜けるのを見るのが好きでよくいたずらをしたくなる。
「ところでヒョン、結局全然指が奥に届いてませんでしたよね。ちょっと借りますよ」
2本の指をヒョンの口に入れる。まだうまく快楽から戻れていないのか、嚥下できていない涎が桃色の唇から顎へと伝っていた。
「は…ぁ、もう無理、あとは明日にしよう…」
「ぼくのパジャマがこんなに膨らんでるの見えませんか?それともぼくに一人で処理しろと?」
「ジフニのおっきいからやなんだけど」
「それくらいヒョンに興奮してるんです、いますぐ抱きたくてしょうがないので許してください」
「あ゛ぁっ!♡いい加減にして、この生意気な犬!」
「立つ力もないのに抵抗しててかわいいですね」
年下なのに年上に向かってこんなこと言うのは失礼だってわかってるけど、今のドフニヒョンはなにをしても威嚇が下手くそな小動物にしか見えない。
どうせ明日怒られることは確定してるんだから、最後までしてしまおう。
「んっあ、♡指きたないからやめろ…!」
「大丈夫です、ちゃんときもちよくさせますから」
「そういう問題じゃっ♡ない…あ、まって、ほんとにだめ…じふなちょっと、止まって!」
「肩噛んでもいいですよ、すぐ終わりますから」
「話が通じなっぐぅぅう〜〜〜♡♡はっは、ぁっきゅぅうんん〜〜〜♡♡」
一気に指を突っこんで、ヒョンの前立腺を刺激すると寂しくて親を求める子犬のような声を出してイった。恥ずかしさのあまりに何かを噛もうとするドフニヒョンに肩を差しだすと、いつもは嫌がるけれど耐えられないときはぼくの肩を噛んでくれる。
まあ、結局噛んだところですぐ口を離しちゃうけど。
「はぁっ、は、ぁあ…はっ…もう指いらない、こわい…」
「挿れてほしいってことですか?ははっ、ぼくも苦しかったです」
「まって、本当にじふなのおっきいから、裂ける」
「だからほぐしたんでしょう」
ヒョンはいつも無理と言いながら最後までやってくれる。ぼくの顔に弱いからちょっとおねだりすれば一発だ。
「…ほんとに一回だけ。ゴムつけて」
「ドフニヒョン大好きです♡」
ほら。この人って本当に愛おしい、結局ぜんぶ流されちゃうんだから。
許可を得て0.01と記載されているゴムの包装紙を破った。そうして自分のモノにつけて、ヒョンの後孔にあてがう。
「逃げないでくださいね。」
先を飲み込んだかと思えば、後孔がきゅうきゅうとひどくぼくのを締めてきた。まだほんの少ししか入ってないのに、一生懸命ぼくを求めてまるでドフニヒョンの意思のように動くのが面白い。
「無理おまえ、でかすぎ…っ!も、くるしいっ…♡」
「緊張して締めつけるから苦しいんですよ」
「これ以上は無理だから…じふなほんとに、いやな予感する…♡とまって、ほんとだめ」
「ぼくそこまで我慢強くないんだけど…はあ、怖いかもしれませんけど大丈夫です。ただすっごく気持ちよくなろうとしてるだけですから」
「むりっおまえのヒョンが壊れてもいいって…あっぁ、あ゛ぁ!♡むりむりでる、いくいくいくいく…!♡♡」
「はっあ、きもちい…奥に進みますよ」
「ん、ふ…あ、ん♡いっっ〜〜〜♡♡♡」
「もう出しても勢いがないですね。なにも考えなくていいから、全部まかせてください」
ただぼくのを奥に差し込んでるだけでナカがあつくなったり、脈のように規則的に動いている。そんなことも知らず腹を満たす質量に圧倒されるヒョンはすっかり脱力してしまい、腕もほっぽって立てずにぼくの胸へ倒れ込んでいた。
「全部入りましたよ」
いつもの丸くて大きくて、それでいてつっている目の力が抜けているまま返事のかわりにキスをしてくれる。
「ドフニヒョン、ぼくは動かないのでぽっぽしてください」
凭れかかるような姿勢だったヒョンが動いて、ぼくの頬にキスをした。そのまま「こっちにも」と指をさすと素直に首やらおでこやら、さまざまな場所に愛を示してくれる。それがあまりにもかわいかったから、指でヒョンの涙を拭ってあげた。
そのまま体勢を変えると驚いたように声をあげたが、立てかけた枕のおかげでさきほどより随分姿勢が安定した。
「いいですね、この体勢。ヒョンの顔がよく見えるし、突きやすいし…」
「こっちは恥ずかしいんだけど」
「大好きなぽっぽいっぱいしてあげるので許してください〜」
ヒョンが文句を言う前に口に舌を差しこむと顔を歪めて夢中で唾液を嚥下した。
あ、また締まった。ぽっぽしてやるとすぐとろけていつもの毒舌がどこか行って、恋人のように接してくる。もう恋人なんだけど…
肩を触るだけで顔を顰めるくせ、正気を失ったヒョンはスキンシップがひどく多くなる。キスしながら恋人繋ぎだってしてくる。そうしたら今度はぼくの手を自分の顔に持っていって、火照って紅潮しきった頬に当てるんだ。まったくどうしてこんな誘惑が上手になったのか?
「じふな」
「はい、どうしたんですか?」
「ぽっぽはしてくれるのに、抱きしめてはくれないんだ?」
あ、もう…本当に…
「止まってって言ったのはヒョンですよね…」
「あ、へへっ大きくなってんじゃ、ん…!」
ナカにぼくのが入ってるっていうのに、気にもとめずそっと腕をぼくの首に回してハグをする。
「ヒョン、腰浮かせてください」
「え、あぁっ!?♡ん、は…♡ゆっくり、だめっ…!♡」
「きもちいでしょ、ぼくのがこの位置にいること、ちゃんと覚えて」
「ん、ぅんっ…♡じふなっごめん…あ、きもち、いっ♡」
「どうして謝るんですか」
「俺が、寝てるじふん起こしてっ勝手にさみしいとか言ったから…」
「は、…まだぼくのことよく知らないみたいですね」
「ヒョン、ぼくは恋人がぼくのことを独り恋しく想っているのを無視し続けられるほど冷たい人間じゃないですよ」
そう言ってヒョンの奥の奥、結腸の手前まで進むとその質量にキャパオーバーしたドフニヒョンが涙をぼろぼろと溢した。照明もなくほのかにオレンジ色がかった部屋に唯一照らされた、純粋なさくらんぼのような瞳が愛おしくて仕方がない。ぼくの手で固定された顔は隠すすべもなく、ひたすらお互いの目を見つめあう。
「あ、あっ、♡きてる…きもち、♡いっちゃう、いくっ…♡」
「っは…一緒がいいです、おねがい」
「当たり前じゃん…♡はあっ、♡」
ぼくが突きにくいのを考慮してか、果てる寸前にぼくの腰に脚を絡めてきた。あまりにも官能的で身体が震えあがった。脚によって膝を立てたまま動くことができないから強制的に顔が近くなる、ヒョンの息はうまく吐き出せていなくて、まるで息に興奮を乗せたかのように震えていた。
「、すいませんっもう出します…」
「じふな、俺も、ぁっいくっ…〜〜〜〜♡♡」
「その顔だいすきです…う、ぐっ…」
唾液が溢れているのも気にせず、刹那にキスをする。
一瞬だった。その一瞬が幸せで、すべてを凝縮したような嬉しさを味わう。
何回かイったドフニヒョンはとろついてもいないさらさらで水みたいな液体を出した。
ぼくはしばらく仕事ご無沙汰だった分蓄積されていた欲を、まだ逃したくないと言うように出す。びゅるっと急に出たかと思えば、止まることを忘れた欲は重く、押しつけて、それでいて独占したいとでも言ったみたいだ。
「はあっ…ヒョン、終わりましたよ、起きて」
「ぁ、あ、うっ…♡あっまだ、繋がってたいのに…」
涙でいっぱいで、もう限界なはずなのに恋人からの愛を健気に求めているヒョンに胸が締め付けられた。首の後ろで結ばれていたはずのドフニヒョンの手は、なけなしの力を使ってぼくの肩にしがみついている。
どこまでも甘さを求めて普段与えられていない欲や感情を自分にだけ向けてほしいという恋人らしい無垢な願いに、なんとも言いきれない愛おしさを感じた。
「だめですよ、ちゃんと後処理しなきゃ。ゴムはつけていてもヒョンの体は綺麗に洗わないと、朝じゃみんな起きるでしょう」
すぐ寝ようとするめんどくさがりのヒョンをだっこしてお風呂場に連れていく。一瞥して見えた時計は、すでに日が昇りはじめる5時を指していた。
「ジフナ、ありがと」
「…なんですかいきなり」
「ヒョンなのに年下にお風呂手伝ってもらうって、なんか幻滅されそうで」
「ああ、いいですよ。犬みたいでかわいいので」
「ばかにしていいとは言ってないけど」
お風呂に入れた頃には、ヒョンは小言を言えるくらい余韻から抜け出していた。いつもちょっと厳しくて辛辣なヒョンが、結局誰かに寄り添ってほしいときにはぼくしかいないのがかわいい。どんなことを言われても素直に感情を伝えるヒョンを目の前にすればどうでもよくなってしまう。
「一緒に昼まで寝ましょうね」
そうしてほかほかの体でくっついて眠そうにしているヒョンの目に手をかざせば、安心したようにすぐに眠りに落ちた。
「珍しいですね。ドフニヒョンならわかるんですけど、ジフニヒョンまで11時まで寝てるなんて」
「たしかに。二人で夜更かししてたんじゃない?」
ハンジンとヨンジェの声が聞こえる。気になって二人の部屋に行ってみると、俺以外のみんなが集まっていた。あの頃からドフナは起きにくいが朝はなるべく10時に起きるし、ジフニは普段からはやく起きてダンスしているのに。
「あの二人が夜更かししてたら言い争いがこっちまで聞こえてきそうですけど…」
「僕はなにも…あ、そういえば夜にドフナの声が聞こえたかも。」
「ヨンジェヒョンはいつもぐっすり寝てるでしょう…気のせいですよ。」
「あ、ジフナの服がはだけてる」
「ほんとだ、シニュヒョンいってきてください」
ハンジンに催促されて大人しくジフナの服をなおそうとすると、布団の中で二人が抱きついて寝ていることに気づいた。まったく、この弟たちはなんだかんだ仲良しなんだなと微笑ましく思っていたら、ジフンの肩に歯型の跡がついていた。
「ジフナ、そろそろ起き…あっ」
「ヒョン?何かあったんですか?」
「…いや、ジフナが蚊に噛まれるの珍しいなって思って」
「蚊?やっぱ夏だから増えてるんですね」
「うん、まあ…もう少し寝かせてあげよう、疲れてると思うから…」
「じゃあ僕はスムージー作ってきます」
「今日の昼ごはんはサムギョプサルにしませんか?僕予約しますね」
やっぱり手のかかる弟だ。昨夜なにがあったのか想像つくけど、とりあえず今日が休みの日でよかったと思っておこう。ドフナ、いつの間に自己管理ができるようになってたんだね。…いや、それともジフナが言い出したのか?どっちでも構わないけど。
暑いだろうと分かっていても、俺は二人を引き離すのはやめて寝かせといてあげた。起きたら、お前たちは優しいヒョンに感謝するべきだって言っておこう。
暑苦しい二人の部屋を後にしてキィ、と音が響くソファに腰かけた。
コメント
1件
読んだわ…!正直、私のど真ん中とはちょっと違うジャンルなんだけど、夜のしっとりした空気感とドフニヒョンの拗ねた感じがめちゃくちゃ刺さった。ジフナの余裕が崩れるところとか、逆に甘やかすところとのギャップがたまらん。描写が細かくて、映像が浮かぶような密度だった。関係性の強さが伝わってきて、ガチでいいもの読ませてもらったわ🔥