注意事項は前回同様です。
🍆side
🍆「はぁ、……」
もうだいぶ時間が経過しているのに、おらふくんの声が耳から離れない。
おらふくんのあんな声、初めて聞いた。
鈍い後悔が、心の中で育っていく。
冷や汗が頬にじんわりと……心地悪い。
デスクに置かれたガラスのコップに、重い表情の自分が薄く反射する。
それが鬱陶しくて、片付けてしまおうと手に取って立ち上がった。
瞬間、
〜♪
変に明るい携帯の着信音。
ドズルさんからだった。
音とは真逆の、暗く嫌な予感に身が包まれる。
応答ボタンに指を伸ばした左手は、微かに震えていた。
🍆「もしもし、ドズさ」
🦍「ぼんさん!!おんりーがっ──────」
🍆「は……?」
ガラスのコップ…の破片は、床に散らばっていた。
鼓動が早まる。
目眩がした。
🦍「詳しくは後で説明します!なるべく早く○○病院に来てください!」
ぷつん。
ドズさんの焦った声に、返事もせず電話を切る。
本能で、衝動で。
傘も持たず、どうやら俺は部屋を飛び出していたようだ。
☃️side
無機質な、白い部屋。
窓には雨粒が打ち付けられている。
ドズルさんはメンバーに電話をかけるため、一度外へ出ていった。
目の前には、呼吸をしているだけの貴方。
2人っきり。
異常なほど蒼白な肌は、『死』を強く連想させた。
☃️「……おんりー、」
生きてる、よね。
手はずっと繋いだまま。
……握り返されることは今のところないけれど。
さっき抱きしめた時よりも、彼の体が少しあたたかい気がした。
それでも拭いきれない不安に、涙が零れ落ちる。
☃️「ごめん、ね。」
彼はたくさん背負いすぎた。
背負わせすぎた。
今日だって、こんな状態の彼に勝手に気持ちを伝えてしまって。
いっぱいいっぱいだった彼の心は、俺が注いだ言葉を収める余裕がなかったのだ。
……なのに俺は自分勝手に。
☃️「きっともうすぐ、……みんな来るよ。」
このまま2人でいたい気もしたけれど、時計の針は無情にも進んでゆく。
……彼が目覚めるためには俺一人じゃだめだよね。
☃️「……ぼんさんも、来るからね。」
自己判断でその名を口にしたというのに、切なさで胸が埋められていく。
自分のものでもないのに、彼を離したくなくて。
痩せ細った彼が壊れてしまわない程度に、握っていた手に力を込めた。
☃️「っ……」
ねぇおんりー。
貴方が目覚めたら俺の恋は終わってしまう。
貴方はきっと、あの人と結ばれるから。
貴方には、あの人と「初めて」をたくさん作って欲しい。
……だから唇は奪わない。
だから、これくらいは許して、おんりー。
この言葉を貴方に直接ぶつけるのも、きっと最後だね。
意識のない貴方。
この言葉が届いて欲しいような、届かないでいて欲しいような。
想いを全て吐き出すように紡いで。
☃️「……大好きだよ。」
儚く柔らかい彼の手に、そっと口づけをした。
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