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片思い🍆🍌

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片思い🍆🍌

5 - 第10話 最後 (こののこside)

♥

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2022年09月25日

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注意事項は前回同様です。



🍆side


🍆「はぁ、……」


もうだいぶ時間が経過しているのに、おらふくんの声が耳から離れない。

おらふくんのあんな声、初めて聞いた。


鈍い後悔が、心の中で育っていく。

冷や汗が頬にじんわりと……心地悪い。


デスクに置かれたガラスのコップに、重い表情の自分が薄く反射する。

それが鬱陶しくて、片付けてしまおうと手に取って立ち上がった。

瞬間、


〜♪


変に明るい携帯の着信音。

ドズルさんからだった。

音とは真逆の、暗く嫌な予感に身が包まれる。

応答ボタンに指を伸ばした左手は、微かに震えていた。


🍆「もしもし、ドズさ」

🦍「ぼんさん!!おんりーがっ──────」



🍆「は……?」


ガラスのコップ…の破片は、床に散らばっていた。

鼓動が早まる。

目眩がした。


🦍「詳しくは後で説明します!なるべく早く○○病院に来てください!」


ぷつん。


ドズさんの焦った声に、返事もせず電話を切る。

本能で、衝動で。

傘も持たず、どうやら俺は部屋を飛び出していたようだ。




☃️side


無機質な、白い部屋。

窓には雨粒が打ち付けられている。


ドズルさんはメンバーに電話をかけるため、一度外へ出ていった。


目の前には、呼吸をしているだけの貴方。

2人っきり。

異常なほど蒼白な肌は、『死』を強く連想させた。


☃️「……おんりー、」


生きてる、よね。

手はずっと繋いだまま。

……握り返されることは今のところないけれど。

さっき抱きしめた時よりも、彼の体が少しあたたかい気がした。

それでも拭いきれない不安に、涙が零れ落ちる。


☃️「ごめん、ね。」


彼はたくさん背負いすぎた。

背負わせすぎた。

今日だって、こんな状態の彼に勝手に気持ちを伝えてしまって。

いっぱいいっぱいだった彼の心は、俺が注いだ言葉を収める余裕がなかったのだ。

……なのに俺は自分勝手に。


☃️「きっともうすぐ、……みんな来るよ。」


このまま2人でいたい気もしたけれど、時計の針は無情にも進んでゆく。

……彼が目覚めるためには俺一人じゃだめだよね。


☃️「……ぼんさんも、来るからね。」


自己判断でその名を口にしたというのに、切なさで胸が埋められていく。

自分のものでもないのに、彼を離したくなくて。

痩せ細った彼が壊れてしまわない程度に、握っていた手に力を込めた。


☃️「っ……」


ねぇおんりー。

貴方が目覚めたら俺の恋は終わってしまう。

貴方はきっと、あの人と結ばれるから。

貴方には、あの人と「初めて」をたくさん作って欲しい。


……だから唇は奪わない。



だから、これくらいは許して、おんりー。


この言葉を貴方に直接ぶつけるのも、きっと最後だね。

意識のない貴方。

この言葉が届いて欲しいような、届かないでいて欲しいような。

想いを全て吐き出すように紡いで。




☃️「……大好きだよ。」




儚く柔らかい彼の手に、そっと口づけをした。

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