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「アニキぃ 開けて~」
冬休み初日の日、朝からインターホン越しに明るい声が聞こえてくる
さむいなぁとか今日昼から部活だったよなぁなんて考えながら玄関の扉を開けて外に出る すると案の定 桃色の短いツインテールを揺らしマフラーをつけた彼女がいた
「どうしたん…こんな朝からなんか会う約束してたわけでもないし…」
「はい!これあげる」
そう言われて渡されたのは黄色いランチクロスに包まれた少し大きめなお弁当だった
「今日 部活でしょ!これ食べてがんばって!」
そう言うと俺がお礼を言う間もなく、ないこは颯爽と帰っていってしまった
…なんてこった 今日はニキに弁当を渡して、買い出しにいってダラダラしようと思ったのに
委員会の仕事が残っていたなんて しかもお昼時に呼び出しやがって まあ幸い同じ委員会のまろが手伝ってくれてるからいいんだけど
「はぁ せっかく冬休みっていう貴重な休みなのになぁ」
「まぁ 今日終わらせたらあとなんも無いからはよ終わらせようや」
「ほら 外に愛しのカレシ様が居るんやから がんばれがんばれ」
まろにそう言われ教室から外を見るとアニキとその後輩のりうらが忙しそうにしているのが見える
さっさとこんな仕事おわらせてアニキに会いに行こう
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「やっとおわった~~!」
委員会の仕事がやっと終わり、昼休憩の時間 アニキに会いに行くために教室をでて外へ探しにいく
でもいつもと違って昼休憩中の部活を覗いてみても姿が一向に見当たらない アニキと仲が良い
りうらに訪ねてみても
「先輩はお弁当もってどっか行ってから 帰ってきてないよ? 外で練習でもしてるんじゃないかなぁ」
その言葉を頼りに外を探していたとき、ふと聞き覚えのある鼻歌が体育館の方から聞こえた
もしかしてと思い、体育館裏をのぞいて見るとそこには朝渡したお弁当をニコニコで食べているアニキの姿があった
アニキは私がいると思っていなかったのか
私を見た瞬間目を大きく見開いてびっくりしたような恥ずかしそうな感じの顔をしていた
その姿をみて思わず少し笑ってしまった
日が落ちかけている帰り道 少し気になったことを一緒に歩いてる彼に聞いてみる
「そういえば なんで隠れてお弁当食べてたの? りうらたちと食べればよかったじゃん」
「えっ それは…」
「それは?」
「……せっかく 初めてないこが作ってくれた弁当俺以外だれにも見せたくなかったから…」
顔を背けながら彼が言った 彼がどんな顔をしているのか気になって覗いてみようとした瞬間 不意にニキからも質問された。
「てか! そういうないここそ! どうして急に弁当なんか作り始めたん?」
「う~ん ……恥ずかしいからちょっと耳かして」
そう言って不思議そうに耳を傾ける彼に少し背伸びして彼にしか聞こえないように囁く
「…冬休み 毎日会えないのは寂しいから、会う理由がほしかったの」
そう言った瞬間、二人の顔が熟れた林檎のように真っ赤になった
こんなこと恥ずかしくて言えんけど 会いたかったのは俺も一緒だよ
その日の帰り道はいつもより明るく温かい気がした