どうも皆様、サカナです
心理的なコンプレックスの解説動画見てたら思いついたので、カナイギにします
最初だけちょっとフライギです
僕が小さかった頃、父さんは再婚した。
相手の名前はイギリスさん。
青い目が素敵な人で、一瞬にして心を奪われた。
僕は、イギリスさんのことが大好きだった。
「イギリスさん!一緒に遊ぼう!」
「いいですよ、カナダ。アメリカとフランスも…」
「やだ!僕はイギリスさんとだけ遊びたい!」
「全くもう…仕方ない子ですね」
そう言ってふふっと笑うイギリスさんが好きで好きで、ずっと独り占めしたくなる。
だけど、イギリスさんには旦那さんもとい、僕の父さんと、イギリスさんの子供だった義理の兄さんがいるわけで。
父さんはただの再婚相手なのに、イギリスさんとも兄さんとも仲が良くて… 独り占めなんて、とてもじゃないけどできなかった。
「カナダ!俺も混ぜてくれよ!」
「やだ。兄さんは父さんと遊んでくればいいでしょ」
「まあまあ、そう言わずに。みんなで遊びましょうよ。きっと楽しいですよ?」
「やだよ…僕はイギリスさんとだけ遊びたいのに…」
少しわがままだったというか、幼い頃はよく駄々をこねた。
イギリスさんとだけ遊びたかったのに、イギリスさんは誰にでも愛想良く接するから、兄さんや父さんとも遊ばせようと説得してくる。
父さんのことも兄さんのことも嫌いじゃないけど、イギリスさんを奪う2人は大嫌いだった。
「イギリスさん!大好き!」
「私も好きですよ、カナダ」
「…うん!」
何度も思いを伝えたけど、イギリスさんからすれば、再婚相手の息子に好かれたってだけ。
僕が本当の本当に愛していることなんて知らないんだろう。
どうすれば、僕はイギリスさんを手に入れることができるのか。
ずっとずっとこればかりを考えて生きてきた。
そして最近、見つけたんだ。
イギリスさんをひとりぼっちにすればいいって。
「父さん、どこか出かけるの?」
「うん、ちょっと用事ができてね。もう作ってあるから、カナダはイギリスたちとご飯食べてて」
「わかった。いってらっしゃい」
「いってきます」
成長した僕はかなりの高身長になって、父さんよりも兄さんよりも背が高くなった。
元々小柄なイギリスさんとなんて、触ったら壊れてしまいそうなくらいに力の差がある。
僕は秘密裏に購入しておいたナイフを持って、父さんの後を尾けた。
「はぁ〜…今から家族団欒だってーのに、呼び出すなよな〜…帰ったらイギリスとイチャイチャしたい…」
狩りをするときのように、ひっそりとついていく。
街灯の光に照らされ、ナイフはきらりと美しく光る。
人がいないことを確認して、僕は父さんの背中を目掛けてナイフを突き立てた。
「はッ…?!」
「やあ、父さん。まだ生きてる?」
「かな…だ…?なんで…」
「邪魔なんだ〜。イギリスさんを僕のものにしたいから、ちょっと死んでもらうね」
僕はうつ伏せで倒れる父さんからナイフを抜き取り、今度は頭を目掛けて振り下ろす。
「やめ…ッ! 」
ぐちゃっと汚い音を立てて、父さんの頭に穴が空いた。
目は生気を失い、ただのガラスのように景色を映す。
返り血で汚れた僕は、にこりと微笑んでいる。
数日後には、父さんの葬儀が行われた。
父さんは謎の殺人鬼に殺されたということになり、上手く証拠隠滅できたことに安心する。
「フランス…どうして…ッこんなのあんまりです…ッ」
「絶対に犯人を見つけてやる…」
イギリスさんは父さんの遺体の前で崩れ落ち、静かに泣き続けていた。
兄さんはぐっと拳を握りしめて、犯人への恨みを募らせていた。
僕はまあ…別にって感じだけど、一応悲しいふりをする。
隣に父さんを殺した犯人がいるなんて、見当もついてないんだろうな。
だって特段争ったことはないし、仲良くはしてたから。
「…ねえ、イギリスさん」
「ッ…なんですか、カナダ…」
「イギリスさんのこと、父さんって呼んでもいい…?」
「!!…いいですよ。あなたの好きにしなさい」
なんだか、ようやく家族になれた気がした。
葬儀が終わってから、兄さんはよく夜に外出するようになった。
「兄さん、また出かけるの?」
「あぁ…犯人は現場に戻るって言うだろ?また出てきて、捕まえてやるまで…何度でも行ってやる」
「そっか…兄さん、気をつけてね」
「大丈夫だ、本職なめんなよ。カナダこそ、出かける時は昼でも気をつけろよ」
「うん。ありがとう」
父さんは警察を呼ぶ暇もなく死んだから、警官の兄さんは非番とか関係なくパトロールをするようにしたらしい。
法に触れない程度の軽い武装をして、毎日同じような時間に出ていく。
僕としては、殺しやすいことこの上ない。
今度はナタを持って、少し離れて後を尾けた。
「チッ…今日も出ねえか…」
イライラしているのか、兄さんは缶を握りつぶして舌打ちをする。
相変わらず短気だなあと思いながら、いつ襲おうかタイミングを計った。
その後も近所をパトロールしているだけで、いい感じの隙が見当たらない。
父さんに寂しい思いをさせるのもな、と思ったので、目の前の兄さんに声をかけた。
「兄さん」
「!カナダ!?」
「夜遅くまでお疲れ様。ちょっと向こうで話さない?」
「あ、あぁ…いいけど…」
「ねえ兄さん、犯人は誰だと思う?」
「…さあな。全くわからないが、俺のプライドが許さねえから、いつまでも探すつもりだ」
「そっか…でも残念だね、兄さんは次の被害者になるよ」
「は?」
隠していたナタを振り、兄さんの頭を狙う。
だけど、流石に警察官相手は厳しい。
腕でガードされてしまって、ダメージにはならなかった。
「いっ…てぇな、この野郎!!お前が犯人だな!!! 」
メリケンサックで僕を殴ろうとするから、一歩下がってもう一度ナタを振る。
今度は頭ではなく、お腹だ。
腹筋は硬いけど、横腹はそうでもないみたい。
「ぅぐッ…く、なんでdadを殺した!お前の親父だろ!?」
「父さんを手に入れるには邪魔だからだよ。兄さんもね?というか…うるさい。バレたらどうしてくれるの?僕捕まるじゃん」
「捕まって然るべきなんだよお前は!!投降して大人しくしろ!」
「やーだ。父さんと会えなくなる」
メリケンサックがあるだけで、兄さんはほとんど素手。
腕、横腹ときて、足や肩も切りつけた。
「はぁ…はぁ…」
「それじゃあ、銃を使わなかった兄さんの負けってことで」
「ッ…ぐ…弟に、使えるかよ…ばーか…」
ようやく動けなくなった兄さんの頭に、ナタを突き立てた。
「甘いなあ、兄さん…ばいばい」
「アメ、リカ…ど、どうして…?アメリカ…アメリカ…!!」
「兄さん…パトロール中に犯人に襲われちゃうなんて…」
「う…あ゛ぁぁッ…アメリカ…ッフランス…ッ私を、置いていかないで…ッ」
ただでさえフランスのダメージが癒えていないのに兄さんまでいなくなったから、父さんの心は限界みたい。
悲しいというよりは虚しいのかな、ダムが決壊したように泣く父さんを抱きしめてあげた。
「大丈夫だよ父さん、僕はずっといるからね」
「カナダ…お願い、です…離れないで…」
「うん、勿論。ずっとずっと一緒」
「はぁ…はぁ…ぅ…うあ…カナダ…カナダ…」
僕の肩を濡らす父さんが愛おしい。
ずっと僕の名前を呼んで、縋りついてくる。
「大丈夫、大丈夫…もう絶対に離さないから」
コメント
7件
なんだ、ただの最高か
啜り泣くイギリス性癖なんだがどうしてくれるんだ、口角が戻らないよ、、、シュキ、、、!