「くぅ〜〜…!!!!!!切ねぇ……。それで花京院さんはもう承太郎さんに会えなくなったんすか?!」
昼の青空の中。喫茶店でコーヒーを片手に1人の青年が急かすように聞いた。
「結局を言うと、実は会えたんだ。しかも別れてから1ヶ月も経たない間にね。全く、あんなに別れを惜しんだのに恥ずかしくなっちゃったよ。」
「えぇ〜〜!でも良かったじゃあないすか。そんなに会いたかったんでしょ?2人。」
「それもそうなんだけど、なによりジョースターさんのいじりがすごくってね…。僕も承太郎も参っちゃったよ。」
「なんか、すみませんッス…うちの親父が……。」
「ノホ、いいよ。それに再会できた時は僕も夢かと思ったよ。なんせあれっきり会えないと思ってたからね。」
そう言って余韻に浸りながらコーヒーを啜る僕に彼は
「花京院さんって、ぶっちゃけ承太郎さんとデキてんすか?」
予想もしていなかった事を聞かれてびっくりした拍子に飲み込み方を間違えてコーヒーが器官に入った。
ゲホゲホと咳込む僕に、両手をパンッと合わせてごめんなさい!と謝る仗助くん。
「……ぶっちゃけてしまうとそうだね。僕と承太郎は付き合ってる。今度はそこら辺の話をしてあげようか。」
「え!いいんすか!よろしくお願いしますっス!」
ふう、と一息ついて、話を切り出した。
別れを惜しんだ3月はあっという間に過ぎて、気がつけば僕も受験生になっていた。花粉が飛び散る暖かさになり、空も爽快に晴れていた。僕も、気持ちを切り替えて志望校の為に勉強に勤しまないといけない。あの日貰った写真を眺めながら帰路に着いた。今日は始業式だったのでいつもより早く帰っている。
「あちこち桜が満開だな。承太郎にも見せてあげたい。」
あの日、彼と出会った鳥居に続く階段を上りながら桜を眺めた。階段を上った先から、腰かけて町を眺めるのが案外良くてすっかり虜になってしまった。暖かい風に桜の花びらと僕の赤髪がなびく。目を瞑って、あの日承太郎と出会ってからのことを色々思い返す。
不意に、階段の下から声が聞こえた。よく知っている声で、僕の大好きな声で、僕の名前を呼ぶんだ。まさかと思って下に目をやった。
「…京院…!!花京院!!!!」
「じょ、承太郎ッ?!」
その男は真っ先に僕に向かって階段を上ってくる。それにつられて僕も階段を駆け下りた。本当に夢じゃないんだなって、彼と抱きしめ合った時に初めて実感した。
暖かい風に包まれて、僕らの学ランの裾がなびいていた。
どれほど経っただろうか。体制を変えようと足を動かした時、誤って階段を踏み外してしまった。
「花京院ッ!!」
僕の手を握り、承太郎もつられて一緒に階段を落ちていく。
「ハイエロファントグリーンッッ!」
階段の手すりに触手を絡ませ、ターザンロープのようにして階段を落ちていった。
「承太郎ッ…すまない、大丈夫かい…?」
「ああ、お前に押し倒されてる以外はな。」
「…すまない。承太郎と一緒に帰っていたのが当たり前だった時は気付かなかったが、いなくなって初めて気付かされたんだ。」
「君の事が好きだ。好きなんだ。承太郎。」
「ああ、知ってるぜ。とっくのとうにな。」
「え、な…どうして…って…あっ。」
呆然としたまま赤くなっている僕を今度は承太郎が押し倒して言った。
「俺も花京院のことが好きだぜ。お前と一緒に帰る前からずっと。ダチとか親友とか、そんなちっぽけなもんよりもっとずっと大事な奴だと思ってる。」
「承太郎、それって……」
「続きは言わなくても察してくれ。僕が恥ずかしく なってきた…。」
思い出しながら話すのは案外恥ずかしかった。
「思いの外ロマンチックで俺、感動したッスよ〜。」
懐かしい風がまた僕の髪をなびかせた。花粉のせいなのか、仗助くんは目も鼻からもズビズビと流していた。
「まさかあの承太郎さんが、そんな告白してたなんて。いつの時代の承太郎さんもかっぴょいーっスね!」
「僕を置いてどんどんかっこよくなっていくから、僕も嫉妬しちゃうよ。… さて、それじゃあ話し終わった事だし、付き合ってもらうよ仗助くん。」
「お任せ下さいっス!」
「新作のゲームを一緒に遊んでくれる大役なんて君にしか頼めないよ。」
「花京院さんの腕前にはちと劣りますが、バシッと決めてみせますぜ!」
彼の意気込みを確かに聞いた僕は、残っていたコーヒーを飲み干した。
あとがき
切ないお話を書こうと思ってたんですが、私のメンタリティが足りずハピエンにしてしまったのはここだけの話🤫
承太郎も花京院も感情を露わにする事がもしあったとしても分かりやすいとは思えないので書いている間、表現の仕方に少し苦戦しました。ほんとに泣かせていいんか?抱きしめていいんか?と自問自答しながら作ってました…😺
ここまで読んで下さった皆様ありがとうございました🥰🥰
コメント
2件
う~~ん純愛!尊い☆表現の全てが想像しやすくて、とっても読みやすかったです!✧◝(⁰▿⁰)◜✧