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ちょっとずつ、学校に行けなくなってきて



部屋に引きこもっている日も増えてきて



布団に潜って一人で泣いている日もあった。

















そしたら、私のことを心配する人もいて、















“生きているだけでいいんだよ”


“生きてるだけで偉い”







って言う人は沢山いる。







それでも、




“生きてるだけで偉い”




なんて嘘。





ただ生きているだけだったら、



何もせずに生きているだけだったら



頑張らずに呑気に生きているだけだったら





周りはその子のことをからかう。


虐める。




人間、生きているだけでは何も出来なくて


必要とされなくて、


何か一つでも


精一杯頑張っていないといけない。


“生きること”  が、1番難しいのに


それ以外にも求められる。


出来ないと、人として見て貰えなくて。




そんな時、


声をかけてくれたのが、


隣のクラスのえとさんだった。





「のあさん!このドラマ観たっ?」



それまで


えとさんとはそこまで話したこともなく、


ただお互いに顔を知っているだけだった。




たった1回、ドラマの話で弾んだだけ。



普通の女の子が学校で虐められて

学校に行けなくなったけど、

ある女の子に助けられて

人生が明るい方向に変わった話。













その時はえとさんと距離を置いていた。



みんなと同じく、一線を保って接した。



愛想笑いで乗り切って、



1人に、独りになろうとしていた。





それでも、えとさんは離れることなく、


私が学校に来ている日は、


毎回、話しかけてきた。


わざわざ隣のクラスまで来て、


「のあさーん!」


と私を呼んだ。



私に味方が居ると解釈した虐めっ子達は


えとさんにも悪口を言うようになった。



それでも、


毎日毎日私のクラスに来て、


私を呼んだ。





いつも色んな話を聞かせてくれた。



弟の話とか 、 勉強の話とか 。



私が相槌をうっているだけで、



一言も話さなくても、



気にせず話を聞かせてくれた。






その話は、最初は全く興味が無かったけど、


なぜか、いつのまにか楽しみに感じていた。


毎日、学校に来れるようになってきて、


毎日、えとさんとお話をした。



この時はまだ、私は相槌をうっているだけだったけど、


変わらず 、 話を聞かせてくれた。





その話の中で、



虐めの事には一切触れなかった。



“大丈夫?” 、 “話聞くよ”  。



の言葉はえとさんの口から出てこなかった。



毎日、楽しい話ばかりしてくれた。




それが、私はすごく嬉しかった。




その時だけは、




痛くて、辛い気持ちを忘れられるから。




少しだけ、気持ちが楽になるから。




“生きててよかったかも”

って思えるから。












それで、



えとさんがあの時助けてくれたから



私は今、ここで生きていて、



ここで笑えている。



















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