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翠玲
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昼休みが終わり、午後の授業が始まった。
教室には先生の声だけが響いている。
「――この公式は試験にもよく出るので……」
カリカリ、とノートを書く音。
窓の外では運動部の掛け声が聞こえてくる。
こさめも真面目にノートを取っていた。
……はずだった。
🦈「……。」
(眠い。)
昨日はみことと話したことを思い返していたら、なかなか寝付けなかった。
🍍「こさめ。」
隣からなつが小声で囁く。
🍍「寝るなよ。」
🦈「寝ないもん……。」
🍍「いや、もう半分寝てる。」
🦈「寝てない……。」
こさめは小さく頬を膨らませる。
その様子を見て、なつは吹き出しそうになる。
「おい。」
先生の低い声が教室に響いた。
「なつ。」
🍍「はい。」
「授業中だぞ。」
🍍「すみません。」
素直に謝るなつ。
その横でこさめは慌てて教科書へ視線を戻した。
🦈(危なかったぁ……。)
後ろの席では、らんがくすっと笑っていた。
放課後。
教室には部活へ向かう生徒たちの声が響く。
🍍「こさめ。」
なつが鞄を肩に掛ける。
🍍「今日は会長と帰るの?」
🦈「え?」
🦈「まだ決まってないけど……。」
すると、
コンコン。
教室の扉がノックされた。
「あ。」
「あ、また来た。」
クラス中が入口へ視線を向ける。
そこにはみことが立っていた。
👑「こさめちゃん。」
🦈「みこちゃん。」
自然と笑顔になるこさめ。
その様子を見て、教室のあちこちから小さなどよめきが起こる。
「なんか距離縮まってない?」
「昨日より自然だね。」
「名前で呼んでる……。」
そんな声が聞こえてきた。
みことは教室へ入り、こさめの前まで来る。
👑「今日、校門まで一緒に行かない?」
🦈「うん!」
返事をしたあとで、こさめは少し恥ずかしくなる。
勢いよく返事をしすぎた。
🦈「……あ。」
顔が赤くなる。
みことはその様子を見て優しく笑った。
👑「ありがとう。」
そのやり取りを見ていたなつが、にやっと笑う。
🍍「こさめ。」
🦈「な、何?」
🍍「昨日まで『緊張する』って言ってたやつが。」
🍍「もう普通に返事してる。」
🦈「うぅ……。」
図星だった。
🌸「からかうなって。」
らんが苦笑しながらなつの肩を軽く叩く。
🍍「はいはい。」
なつは笑いながら手を上げた。
🦈「じゃ、また明日。」
🌸「またね。」
🍍「ばいばい。」
こさめは二人に手を振る。
校門へ向かう途中。
🦈「そういえば。」
こさめが歩きながら口を開く。
🦈「みこちゃん。」
👑「ん?」
🦈「生徒会って忙しい?」
👑「忙しい日もあるよ。」
👑「でも好きだから苦じゃない。」
🦈「そうなんだ。」
👑「こさめちゃんは?」
🦈「え?」
👑「何かやってみたいことある?」
突然の質問だった。
🦈「うーん……。」
こさめは考える。
🦈「特にないかも。」
👑「そう?」
🦈「うん。」
🦈「毎日みんなと笑って過ごせたら、それで十分。」
みことは少しだけ目を細めた。
👑(やっぱり。)
👑(こさめちゃんらしい。)
👑「じゃあさ。」
👑「今度、生徒会に遊びに来る?」
🦈「え?」
🦈「遊び?」
👑「うん。」
👑「仕事は手伝わなくてもいい。」
👑「すっちーも、まにきもいるし。」
👑「お茶飲みながら話そう。」
こさめは少し驚いた。
🦈「いいの?」
👑「もちろん。」
🦈「……行きたい。」
その返事に、みことは嬉しそうに笑った。
👑「じゃあ約束。」
🦈「うん!」
一方、その頃。
生徒会室では。
📢「みこと遅ぇな。」
いるまがソファで寝転びながら呟く。
🍵「こさめちゃんを送ってるんじゃない?」
すちが書類を整理しながら答える。
📢「だろうな。」
いるまはニヤリと笑う。
📢「最近のみこと、分かりやすすぎ。」
📢「前なんか『恋愛とか興味ない』って言ってたくせに。」
🍵「そうだったね。」
すちも思い出して笑う。
🍵「懐かしい。」
📢「今じゃ毎日二年の教室行ってるし。」
📢「変われば変わるもんだ。」
すると、生徒会室の扉が開いた。
👑「ただいま。」
🍵「おかえり。」
すちが微笑む。
🍵「遅かったね。」
👑「少し話してた。」
みことは照れたように笑う。
👑「生徒会にも遊びに来てもらう約束した。」
📢「へぇ。」
いるまは悪戯っぽく笑う。
📢「ずいぶん順調じゃん。」
🍵「茶化さないの。」
📢「はいはい。」
いるまは笑いながら両手を上げた。
その時だった。
ガラッ!
生徒会室の扉が勢いよく開く。
「失礼します!」
一年生の生徒会役員が、息を切らしながら飛び込んできた。
「みこと先輩!」
👑「どうしたの?」
「大変です!」
役員は一枚の紙を差し出した。
みことが受け取り、目を通す。
その表情が、一瞬で真剣なものへ変わった。
👑「……。」
📢「何?」
いるまが立ち上がる。
📢「また何かあった?」
みことは静かに紙を机へ置いた。
そこには大きく一文だけ書かれていた。
**『恋人契約の再オークションを要求します。』
生徒会室に、重たい沈黙が流れた。
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