テラーノベル
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「 あ 。 」
「若井、元貴って、」
僕は言う。ゆっくり、一つ一つ。
「ソロ活動が忙しくてこっちに来れないんだって。忙しいよね、元貴も、笑」
そうやって若井は笑って僕を見つめ返した。
その冴えない瞳に僕は涙が出そうになる。
我慢してるんだろう。
「若井、…元貴はもう、このバンドをやめたんだ。僕たちのせいで」
「……違うよ。やめてないよ」
「若井っ、もう目を覚まして、」
元貴はもうバンドなんてやめてやる。
お前らのせいだ。全部全部。
そう言い残して、消えた。
きっと元貴の求めているレベルは相当高いものだったんだと思う。毎回怒鳴る声が響く。
それが嫌だったのは事実。
何度何度引いても全てダメと言われる。
メンタルが治らない日だってあった。
でも頑張れたんだ。
でも、元貴には限界がきたみたいで。
無理だった。
今はソロ活動が忙しいみたい。ニュースに載ってて、誇らしくなった。
これがうちの元貴だぞって。
でも違う。もう違うんだよ。
「若井、もういいんだよ」
「……元貴はすぐ近くにいるんだ」
「ね、…笑?」
若井が不適に笑った。
「…わかっ、」
「ごめん、練習しよっか」
そうやってギターを片手に持ち、こちらに笑みを向けて、楽譜を睨んだ。
どこか違和感があったけど僕は気にしなかった。
「ただいま」
俺、若井はドアを開ける。
いつも帰ってくると可愛い子がいるんだ。
「ん゛っ〜!!んん、゛っ!!」
そう可愛い子。
元貴ちゃんだよ。
「ただいま元貴〜っ、会いたかった、」
「ん゛っ、んん、゛……」
俺が元貴の頭を撫でる。
元貴は目を充血させながら、息を荒げながら、俺のことを睨みつけた。
もしかして縄がしんどいのかな。
外してあげよう。
そうやって解いてあげると、元貴は俺を突き飛ばした。
「ずっと、ずっと、なにしてるの、」
「若井気持ち悪いよ。俺はもうバンドをやめたの。だからもう干渉してこないでよ」
縄の跡がついた元貴にそう言われる。
……なんで??
「どうして?どうしてそんな酷いことを言うの?」
「…?若井、…?な、にい゛たいっ、!!」
「なんで?どうして酷いこと言うの?」
「ぃたいぃたい゛っ!!」
「ねぇ元貴。」
「……元貴?」
「ねぇ聞いてる?」
「……元貴?」
「………」
どういうこと?
「……殺しちゃった、……?」
「俺が、元貴を、っ、」
「……見たな?」
「ねぇ聞いてる?」
「君だよ?」
「見たよね?」
「……んふふ、笑」
「殺しちゃう??秘密にしてくれる?」
「ねぇどっち?」
the end
実は最初のあ。は
若井さんが元貴さんを殺した時の唖然の声ですね。へへへ。
コメント
1件
超好きです、、好きというのも語弊があるけれど笑 すごく読みやすい…!