夜、私はベッドに入り、今日一日のことを思い返していた。元貴くんが私に歌ってくれたことを思い出しながらSpeakingを聴いて。
まさかクラスメイトにミセスのメンバーがいるなんて思いもしなかったし、ミセスのみんなと友達になれるなんて、信じられなかった。
またみんなに会える。そう思うと、明日から始まる新しい生活がもっと楽しみになった。
そんなことを考えていると、
♪ピロン
通知
motoki 明日学校一緒に行かない?
元貴くんからLINEが来た。
すぐさま「うん!」と返事を送信する。
motoki それじゃ8時に昨日バイバイしたとこで良い?
羽菜 いいよー
motoki じゃあ明日待ってるねー!
朝からみんなに会える!
そう思うと楽しみで仕方なくて、今日はなかなか眠りにつけなかった。
朝になり、元貴くんと待ち合わせをし、途中で滉斗くんと涼ちゃんと合流して、藍空の下を歩いて学校へと向かう。
教室に入り、席に着くと、
「一ノ瀬さぁん?ちょっと来てくれる?」
私を呼んだのは、入学初日から女子の中でリーダー的な雰囲気を放っていた山口萌花さん。
私にとってはちょっと苦手な感じの人。
「え?」
「だからぁ、ちょっと来て?」
「うん…」
嫌々彼女の元へ行く。
「一ノ瀬さぁん、今日の放課後、話したいことがあるから、屋上に来てくれる?」
「え…、分かった…。」
どう見たって、仲良くしよう!という様な雰囲気ではないことがわかる。
嫌だなぁ。
放課後になり、今日も元貴くんが一緒に帰ろって誘いに来てくれた。
「ごめん、なんか山口さんに呼ばれてるから、今日は先に帰ってて」
「OK。わかった!」
元貴くん達と一緒に帰りたかったな…
行きたくないけど、嫌々屋上へ向かう。
行かなかったらどうなるかわかんないし…
屋上に着くと、山口さんだけじゃなく、彼女のグループの人達も集まっていた。
「一ノ瀬さぁん、遅いよおー?」
「ご、ごめん…」
「まあ良いけど。」
「話したいことって何?」
「単刀直入に言うねぇ?」
その瞬間、山口さんの目が氷みたいに冷たくなった。
「これ以上元貴くんに近づかないでくれる?」
「え…?」
何を言われたのかわからない。どう言う意味…?
「だからぁ、元貴くんに近づくなって言ってんだよ!」
「そうだ!馴れ馴れしく喋ってんじゃねえ!」
「お前なんか釣り合わねーんだよ!」
「藤澤先輩にも、若井先輩にもだよ!」
「身の程をわきまえろ、ブスが!」
一斉に私に向かって投げつけられる暴言。
怖い、誰か…
「何とか言えよ!」
山口さんの拳が振り上げられた瞬間、私は無意識に叫んでいた。
「元貴くん…!」
「は?何言ってんだよ!」
もう駄目、殴られる…!
「やめろ!」
その声と共に駆け込んできたのは、元貴くんと滉斗くんと涼ちゃん。
「…羽菜ちゃんに今何しようとした?」
山口さんの手を咄嗟に掴んでくれた元貴くん。
「暴力は犯罪だよ?さっきひどいことも言ってたよね。」
「僕らのファンだろうがなんだろうが許さないよ…?」
守るように私の前に立ちはだかってくれた滉斗くんと涼ちゃん。
みんな…、来てくれたんだ…!
「クソが。逃げるぞ!」
そう言って元貴くんの手を振り払い、舌打ちを残して山口さん達は去って行った。
「大丈夫!?」
みんなの顔を見ると安心して、涙があふれてきた。
「怖かった…」
そう座り込んでしまった私を、
「大丈夫、大丈夫だよ」
「怖かったよね…」
「僕たちそばにいるからね」
三人は泣き止むまでずっと背中をさすってくれた。
コメント
1件
( இωஇ )ウワーンこんなん絶対泣いてまうやん!?毎回思うんですけど本当は神ですよね!?