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雨だった、そう、雨。酷い雨。酷い曇天の空。
みんなご機嫌斜めだった。
会議場にも灰色の曇天と似た空気に包まれていた。机の上には国旗と山積みの資料。書類をめくる音だけが、静かに響いている。僕から見て右にイギリスくん、左に中国くん、正面にアメリカくん。アメリカくんの右にフランスくんだ。そう、配置は完璧。ただみんなのコンディションが悪い。
イギリス「では、始めようか。どうせ今日も、各国の理想論と過去の後悔を並べ立てて終わる会議になるんだろうがな。」
イギリスくんは手元の書類をトンと揃え、くすりとも笑わなかった。そんなイギリスくんを見てフランスくんが頬杖をつきながら優雅に言う
フランス「理想は過去と共にあるものさ、そうだろう?親愛なるイギリス。亡霊を否定して未来は築けない」
主に『親愛なる』でイギリスくんの顔色が悪くなった。中国くんが無言で資料をめくりながら、フランスくんに鋭い目線を飛ばす
中国「……それ、どこの誰の亡霊を言ってるかにもよるアルね。」
…いつもよりピリついてるだけでみんな大丈夫そうだなぁ。と思うと途端にやる気がなくなる。そんな中アメリカくんが椅子を傾け、コーヒーを一口啜ってから軽く笑って
「ま、でも…結局のところ、こんな思想や国がぐちゃぐちゃになったのってニコライ二世が無能で革命が起きてソ連が誕生したからだろ?」
君はいつもそうだ、ただいつもと違うのは批判人物。そう、ニコライ、ニコライだ、ニコライ。帝政の僕の主。
頭に血が上るのを感じる。おもむろに立ち上がる。
ロシア「ニコライを悪く言わないでよ!彼は名誉ある死だった!!ボリシェビキに殺されようと!」
フランス「ワッ、ロシアお前どうしたんだよらしくな」
フランスくんの言葉をアメリカくんが遮る
アメリカ「でもロシア、君は革命に賛成していた筈だ」
ロシア「違う!自国の為になると思って」
アメリカ「しかしレーニン主義は独裁だった!ルーシ人や東欧人を苦しませ飢餓になったのは」
フランス「おいまて、よせよ。自由の国はどうした!」
アメリカ「shut up!!」
ロシア「飢餓とか言うけど資本家のせいで労働者が出る!その労働者は憎きブルジョワのせいで苦しむ!労働者の為なら僕らは」
アメリカ「その憎きブルジョワを苦しみに引きずり込んだだけだろう?」
イギリス「…おい度が過ぎてるぞ」
アメリカ「あぁ過ぎてるよとっくに!だから黙っててくれないか!ロシア!君はインターナショナルずっと引きずって恥ずかしくないのかい!?」
ロシア「黙ってよ!資本家!修正主義者によって強制的に終わらせられたんだ!CCCPは再び」
アメリカ「ソ連は大失敗に終わった実験場だろう!」
ロシア「な…」
中国「待つある!それは我にも対する侮辱と受け取られるあるが?そもそも共産思想を共にする同志に対してそんな発言をすることを強く非難するある!」
イギリス「おいやめろ落ち着け」
アメリカ「これが落ち着いてなんかいられるかい!?ソ連引きずったこのシロクマに徹底的に分からせてやらないと」
フランス「待てよ、アメリカ…資本主義は経済発展する代わりに貧富の格差が生まれるのは事実だ。共産主義だってあってもいいじゃないか理想論として受け止めれば」
アメリカ「独裁者にかける情なんて君は余裕があるねフランス。」
フランス「…はは睨むなよ…余裕があって悪かったなこの暴走車。」
アメリカ「なんだって?聞こえなかったんだぞ?」
イギリス「おい…今更だろ思想の違いなんて。昔喧嘩して思想に関しては首を出さないと」
フランス「でもそれは上司が決めたことだろ?上司が決めたことに縛られるなんて」
ロシア「……いいよね、君は苦しいことなんか経験したことないんだ」
アメリカ「君は怨みばっかりで哀れだぞ」
ロシア「君が居なかったら良かったのに」
アメリカ「でも俺が居なかったらドイツとどう戦う予定だったんだい?」
黙ってしまう。確かに、助かったし。
アメリカ「だんまりかい?なあなにか言ったらどうだい。」
会議室の窓に、激しく叩きつけるような雨音。とただ呼吸の音だけが響いた。