『world』
目蓋を惹かれたのは小学生の頃。
まだ、ニンゲン”だった”頃。
僕は青に埋もれる空が嫌いだった。
反対に、雲に覆われる瞬間が1番好きだった変わり者だとも噂されていた。
🍴
石畳の薄暗く、長い廊下をコツコツと響かせる革靴を履いた上品な男性。
首に巻かれる黒いチョーカー。
買われた瞬間から付けられるこの”起爆装置”には、主との一定距離を置いた瞬間すぐさま爆破する仕組みになっている…らしいが。
しかし、いつまで経っても起動しないコレに付ける意味が見出せない。
じっとその場に立ち考えていれば、買主が戻り、自分の手を取るの繰り返し。
早く死にたいのに。
🍴
《白昼夢とは》
日中、目覚めている状態で現実で起きているかのような、空想や想像を夢のように映像として見る非現実的な体験のことを指す____
創造され、見捨てられた大地に霜が落ちる。
買主は、外出することを許した。
いつまでも起動しないネックレスはただの飾り物と化す今、苔の生えたコンクリートを踏む。
持ち主を忘れた傘
倒壊した建物たち
道端の枯れた話。
忘れられた、けれど、綺麗に生きる世界。
目の前に広がるそれに、喉へ手を伸ばす。
カチャッ___
僕は、ネックレスの意味を知った。
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