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あれからは、任務をこなしてからZeffiroに行くのが日課になった
奏斗が言うにはお客さんが増えたらしい
〖せらおカッコイイもんな〜!〗
と雲雀が言っていたが、それは雲雀も奏斗もそうでしょ
奏斗がキレてたもんね、お前が言うのかよッ!!!!!って大声上げてた
思い出して少し笑っていると、カランという音がした
お客さんだ
「いらっしゃいませ」
・・・あれ、凪ちゃんだ
目を見開いている凪ちゃんと目が合うが、凪ちゃんは未だ固まったままだ
隣が彼女さんかな、後ろはたまたま会った彼女さんの知り合い、とかかな?と思いながらも入口に立ったままな訳にも行かないしな、と思う。
「お席にご案内しますね」
ふと後ろの女性と目が合う
目を逸らすのも感じ悪いか?と思い微笑むと、その女性は慌ててお辞儀をした
ようやく意識が戻ってきたのか、凪ちゃんがはっとして、息をひとつ吐く
『、すみません、案内、お願いします』
「こちらのお席になります」
ご注文がお決まりになりましたらこちらのベルを鳴らしてください、と言って去ろうとすると凪ちゃんに声をかけられる
『セラ夫、ですよね』
「んふ、バレた?」
わかるに決まってるでしょう、と呆れたように言ってくる
『・・・聞いてませんけど』
「何を?」
『Zeffiroで働いていることです』
『私いつも通り仕事入れてましたよね?』
「ぁえ、でもそんな難しいのきてないし」
『きてたらどうしてたんですか貴方』
「別に?こなしてからこっちくるけど」
『甘えさせて貰ってる私が言うのもなんですけど、貴方ちゃんと休めてるんですか?』
心配したように見つめてくる凪ちゃんと目が合う
「ん、ちゃんと休めてるよ。終わったら雲雀のご飯食べれるし一石二鳥」
そう言ってピースすると、凪ちゃんはまたため息をついていた
「ま、注文決まったらベルで呼んでね」
そう言って卓を離れる
【セラ〜!】
奏斗が奥から呼んでくるのでそっちの方に向かう
「はぁ〜い」
後ろから誰とも分からない小さな声で、せら、さん、と呼ばれた気がして振り返る
「ん?」
ふと先程の、凪ちゃん達の後ろにいた女性と目が合った
と思っていた途端に、爆発したかのように顔が赤くなっていた
どうしたんだろう、熱でもあるのかな
となっていたらよかったんだけど
実際は、 ごく稀に任務中に見るのと似ているどころか同じものだった
流石にここまで赤くなった人はいなかった気がするけど
彼女の目が俺を捉えて離さない。
目の奥の温度が、俺への好意を表していた。
「・・・ご注文お決まりでしたか?」
そうはいっても、ここで働いている限りは俺も”店員さん”だ
ただ仕事をこなすだけ
{ッぁ、な、ぃ、です、}
「かしこまりました」
では、失礼します、と言って歩き出す
好意自体は嬉しいけど、放っておいたら面倒なことになるかもしれないよなぁ、どうしようかと少し考える
すると、俺がすぐにこなくて痺れを切らしたのか奏斗がきょろ、と辺りを見渡しながら奥から出てきた
「奏斗」
そう名前を呼ぶと、奏斗の目に捉えられる
【ねぇーちょっとセラ遅ッ・・?】
一気に俺に意識を向けたせいか、はたまた積もり積もった疲労のせいか、奏斗の足はカウンターの椅子に引っかかってしまった
状況を判断をする力が鈍ってしまったのか、いつもならあるような受け身をとる動きもないから、きっと両方なのだろう
「ん、奏斗大丈夫?」
【、え、うん・・・ぅん?うん・・・ありがとね】
俺が下敷きになることもできたけど、そうなったら奏斗がカウンターのテーブルに頭打ちかねないし、体勢は体勢だけどしょうがない
他の席に座っているお客さんがきゃー!と嬉しそうなほうの悲鳴をあげている
そういえば、一緒に来ているお友達と、あのBLがあーだこーだとよく話してるのが聞こえてきてた気がする
そっちの人ならそうなるかもなぁと思いながらも今の状況を俯瞰して考える
なにせ今の俺は、片方は奏斗の腰に手を回していてもう片方は奏斗が間違っても頭を打ち付けないようにと奏斗の後頭部に回っている訳で
まぁわかりやすくいうと抱きしめてるような感じで
【・・・って、あ!!!!】
「うるさ、」
人の耳元で大声出さないでよ・・・と文句を言うと奏斗は笑いながら、もぉ〜!奏斗くんの悪い子っ!とぶりっ子しだしたので軽くあしらいながら手を離す
「で、俺の事呼んでたけどなんかあった?」
【そうそう、それがさ】
そこまで言ってから、うーん、と急に悩み出したのを見つめていると、急に奏斗に胸ぐらを掴まれてそのまま引っ張られる
俺も気が抜けていたのか、はたまた奏斗が力を入れすぎたのか
さっきのこともあり、静かになった店内に、薄くリップ音が響いた気がした
キャーッッ!!と本日2回目の悲鳴が聞こえた
さっきよりも声がデカかったこともあり、やっぱ音鳴ったんだなぁと思う
するとふいに奏斗が、ごめんセラ・・・!大丈夫、?と小声で言ってきたので、なんて答えてやろうかと考えていると、ふと飛んだバイト2人の件について思い出す
”【申し訳ないけど僕ら恋愛対象同性なんだよね】”
さっきのお客さんに俺を諦めて貰う口実には丁度よさそうだな、と考えて、奏斗にちょっと付き合ってもらおうと思い、ちょっと牽制に付き合って、と耳元で静かに告げる
困惑したような顔をした奏斗の目を見つめてから、凪ちゃん達の座る席の方に視線だけ向ける
奏斗はそれだけで気づいたのか、少し目を細めていた
じゃあちょっとだけ、付き合ってもらうよ