番外編続きだったんで前回のも載せておきますね
前回↓
——ドクン。
空気が、裂けた。
霧島は理解しようとしたが、脳が追いつかない。
異能演舞の”バグ”から生まれたエネルギー——あのライア戦での歪み。
それが、”融合体”に注ぎ込まれていくのを、彼はただ見ていることしかできなかった。
「……いや、ちょっと待て……。」
自分でも声が震えているのがわかる。いつものふざけた調子は完全に消えていた。
「やばいやつだろ、これ……。」
——ドクン。ドクン。ドクン。
融合体の体に、黒い文様が浮かび上がる。まるで燃え盛る炎のように、彼女たちの身体を蝕んでいく。
「……力が……溢れる……。」
その声は、美々華のものでも歩奈のものでもない。もっと深く、もっと異質な何か。
そして次の瞬間——
——ズガァァァン!!!
大地が裂けた。轟音とともに、柱が空へと突き抜ける。雲を割き、空を焦がすエネルギーは、異能などというレベルではない。
霧島は必死に距離を取る。だが、目を離せなかった。
目の前にいるのは、”美々華”でも”歩奈”でもない。
それは——魔神だった。
「……霧島さん……見てください……。これが……私たちの”進化”ですよ……。」
その姿は人の形をしているものの、”人”ではなかった。翼が背中から生え、尻尾は巨大な槍のように変質している。
目は虚無の闇と燃え盛る炎を宿し、足元に立つだけで大地が震えた。
「……冗談だろ……。」
霧島はつぶやく。だが、これは現実だ。
魔神は、一歩、霧島へと歩を進める。その一歩だけで、地面は抉れ、空気は裂ける。
「……霧島さん……。”恐怖”、してますか?」
その問いに、霧島は答えられなかった。
なぜなら、全身が——完全に震えきっていたからだ。
「さあ、楽しみましょう……。”この世界を壊す遊び”を……!」
——世界は、絶望に包まれた。
95話(今回)↓
ひとつの影がゆっくりと立ち上がる。
それは”魔神”だった。
ライア戦のバグによって誕生したエネルギーが、霧島と美々華の激闘によって具現化した存在。
人の形をしてはいるものの、”理”はない。皮膚は黒曜石のように輝き、無数の裂け目から赤黒い光が漏れ出している。
「……お前、名前は?」
霧島蓮司は、震える声で問いかけた。だが、その瞳には恐怖ではなく、狂気にも似た興奮が宿っていた。
魔神はゆっくりと首を傾けた。その仕草は、人間のようでいてどこか歪んでいる。
「名ナド……イラヌ……。」
その声は、まるで複数の者が同時に話しているかのように重なり合い、異質だった。
「我ハ……混沌……破壊ノ意思……。」
その瞬間、地面が爆ぜた。魔神の一歩が、周囲の大地を一瞬で崩壊させる。
「ははっ……!面白いじゃねえか!」
霧島は笑った。
「だが、まだやれる!」
霧島は瞬時に間合いを詰め、魔神へ拳を叩き込んだ。だが——
「——遅イ。」
霧島の拳が触れるよりも速く、魔神の腕が彼を弾き飛ばした。
「ぐっ……!」
霧島は瓦礫の中に叩きつけられる。口から血が溢れた。だが、彼の目はまだ死んでいない。
「くそ……なんてパワーだよ……!」
魔神は歩みを止めない。その一歩ごとに大地が崩れ、空間が歪む。
「終ワリノ時……近イ……。」
霧島は立ち上がる。満身創痍でも、その目の輝きは消えなかった。
「終わるかよ……まだ……俺の”舞”は終わってねえんだよ!」
彼は手を広げ、異能演舞を発動する。大気が震え、空間にひび割れが走る。
「”狼”!!!」
上空から無数の牙が降り注いだ。それは全てを消し去る絶対の力。だが——
「無駄ダ。」
魔神はその全てを拳一つで砕いた。
霧島は笑った。
「なら、これならどうだ……!」
彼は全エネルギーを解放し、自らの体を変え始める。
世界が崩壊する。虚無と混沌、二つの”無”がぶつかり合う。
そして——
コメント
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今回も神ってましたぁぁぁ!!!! あーもう毎回ほんと神すぎて鳥肌止まらないんですよおぉ、、、 虚無と混沌、、、気になりすぎるんだが?? 魔神よ、、君は一体マジで何者なんだい?(( 次回もめっっっっさ楽しみンゴ!!!!!!!!!