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#魔法
こはる
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植まどか
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こはる
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第2話
それから、一週間後。
朝一の馬車に乗せて行ってもらえる事になった。
場所は、産業で有名なメルカディアという町。
治安も比較的良くて、工房とか、古物屋や、服屋等が沢山ある町。
その旅の前日にぼんやりと星を眺めていると前世の記憶が蘇ってきた。
私は、二十五歳だった。お酒はあまり飲めない体質で、タバコも苦手だった。
車は運転出来たし、ちゃんと大学も卒業した。
彼氏いない歴、二十五年だったけど、人並みの職業だったはず。
両親は、まだ生きていて、妹も、甥もいる。
でも、私の人生は通院生活だった。産まれながら、体が弱かった。
でも、その他は普通の人と同じ。あまり激しい運動は出来ないけど。
最後の記憶は、職場で倒れて、救急車で運ばれて、病院にのベッドに着いた時。
家族に、囲まれてたのを最後に目視できた。
でも、ちゃんと言葉では伝えられなかった。まだ、何も返せてないのに。
その後は、身体が動かなかった。苦しかった。息をするのも苦しくなってくる。
暗黒の中で一人、苦しんでいたのが私の最後の記憶。
……と言うか、ちゃんと動ける体っていいね。
何も出来ないけど。まぁ、きっとここからだよ。まだ四歳。
……前世の歳で死ぬって考えると、あと二十一年。
もう、後戻りは出来ないけど、また、何も返せずに終わるのは嫌だから、仕送りはしよう。
また、死んでしまっても何かを残せるように。
次の日。
私は、朝早くに起きて、荷物をまとめた。お小遣いももらった。日本でいう、二万円くらい。こっちでは、紙ペラ一枚。
ちゃんとしたお札だけど。
身支度を整えて、両親と一緒に外へ出た。夏の日の出の時間だ。相当早く起きてもらった。
私は、水色のワンピースを着て荷物を持った。
「よろしくお願いします」「娘を頼みます」
二人とも、馭者さんに頭を深々と下げていた。
私は、軽く会釈をしてから、荷馬車に乗りこんだ。
荷物は、これあれば生活できるみたいやつ、三日分くらい。
「私が出て行った以上、エリカの事をこれ以上、落ち込ませないでくださいね」
私だって、一緒にいたかったんだから……
私は、両親の顔を一目見てから、二度と振り返らなかった。
半日もするとメルカディアが見えた。
初めての大きな街だ。
商店街や、住宅街もスケールが違った。
私も昔、部屋に引きこもって、何かを作るのに没頭していたな……
馭者さんに、お礼を言ってから街へ向かった。
街に入ると、賑やかで、活気に満ち溢れていた。
人が沢山いて、ごった返し……というより、川に流されている小石になった気分だ。都心を歩いた事の無い私には、前世を含め、初めての経験だ。
私がウロチョロしていると、大人に声をかけられた。
「ん? 一人なのか?」
癖がかった金髪に、緑の瞳の男の人だった。多分、二十代くらい。
スラリとした背格好で、黒いパンツに茶色チェックのベストを着ている。白いシャツの裾には、おしゃれな刺繍が施されている。
金属製の星モチーフのシルバーブローチがどこまでも繊細で、高そうだった。
「えぇ。これから、ここに住む予定です。成り行きではありますけど……」
あれ? 普通に考えると、知らない人にこれ言わない方が良かったような……
「住む所は決まってるのか?」
「いや、まだ……」
これは、マズイ。誘拐される……
普通に考えて、子供が一人、街に出歩いてるなんて……逃げないと……
「あ、怖がらせちゃったな。俺は、雑貨屋、『サントラップ』の店長をやってる。手伝いをする代わりに住み込みで働かないか? あ、それと、息子と妻がいる。困った時は、俺だけじゃない。どうだ?」
凄い、誘い文句……どうだって……
まぁ、これ以外に無さそうだもんな……
というか、最初は、片っ端から頭を擦り付けるくらいで行こうと思ってたんだけど……
でも、こんなにいい話って……何か、仕組んだ……?
いや、普通に考えてこんな短期間に、あんな不器用夫婦にできるわけない。
どちらにしても、これが最後のチャンスかもしれない……
別に、即死なら怖くないし。もう、知らない人の所なんて、知らーんペ。
傷ませながら殺されるのは、ちょっと気が引けるけどもう、やりたい事なんて、諦め、諦め。
希望のある方に賭けたい。やれなくても、大丈夫って訳で、やりたくないとはまた別だし。
よし。やってやる。
「お誘いいただきありがとうございます。その、お仕事、やらせて頂きます」
私は重たい荷物片手に頭を下げた。
コメント
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こんばんは、リオンです。 第3話、読み終わりました。前世の記憶が蘇るシーン、とても丁寧に書かれていて、胸が詰まりました。「何も返せずに終わるのは嫌」という主人公の決意が、四歳の体でメルカディアへ向かう行動にちゃんと繋がっているのがいいですね。それに、雑貨屋の店長さん——急な誘いに警戒しつつも「やるしかない」と決断する姿勢、応援したくなりました。この先、彼女がどんな生活を築いていくのか、気になります。