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それからはというもの。

彼女はずっとずっとアームカバーを付け続けている

別に隠さなくていい家でさえ、付けてる。 寝る時だって、大事そうに見つめて寝てる。


俺はプレゼントを大事にしてくれた、という単純に嬉しい気持ちと、複雑なよく分からない気持ちでいっぱいだった。


段々白かった布が黄ばんできて、リボンも取れかけになる。

それでも彼女はアームカバーを肌身離さなかった。



しばらくした深夜。

配信が終わり、水を飲み一息。

彼女の様子が気になって部屋を覗きに行った。


部屋を開けた瞬間、鉄臭かった。

暗かった。

月明かりすら入らないよう、カーテンまで閉めて。

何となく、何をしたのか理解した。


「電気付けるよ」


スイッチを押す。

眩しい。

そして部屋の全貌がようやく分かった。


彼女はぺたんとベッドに座り込んで、何かを見ていた。

左腕からは血。

いつもよりちょっと線が多くて、血も多い。

白いなにかが見える線が見えた。


「…よごしちゃった」


死にそうな掠れた声を出す彼女。

彼女の視線の先を見ると、黄ばんだアームカバーに赤黒く固まった血。

何滴も垂れていたようで、アームカバーの上で血餅が出来ていた。


俺はベッドの淵までゆっくり歩いて、しゃがむ。

彼女の頬には涙の跡。



…俺が与えたものでそこまで苦しんでくれるんだ



彼女の綺麗な方の手首を優しく掴み、話しかける。


「大丈夫、洗えばこれくらい落ちる」


正直、こんな目立つ血なんて落ちると思ってなかった。


「…ほんと?」


彼女は俺の言葉をすぐに信じる。

単純で、馬鹿で、本当に可愛い。


「洗いに…行ってくる」


腕には固まった血が付いたまま、フラフラと立ち上がって。

血の着いたアームカバーを大事そうに握って洗面台に向かった彼女。


俺はもうちょっとしたら、行こうかなと思った。

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