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警察が来て、健太が連行されていくのを、私たちは雨の降るビル陰で見届けていた。
マネージャーの佐藤さんは「後の処理はこっちでやる。二人とも今日はもう帰りなさい」と、厳しい顔で言った。
事務所の存続さえ危ぶまれるスキャンダルになりかねない。佐藤さんの視線は、冷たく私を刺した。
「……すいませんでした」
光が深く頭を下げた。
佐藤さんが去った後、土砂降りの雨の中に私たちだけが残された。
傘も持たずに歩き出す。
アスファルトを叩く激しい雨。
私の高級なスーツは泥に汚れ、自慢だった10センチのヒールは、水溜りを踏むたびに重く沈んだ。
「……ごめんね、日比谷くん」
私は三歩後ろを歩きながら、絞り出すように言った。
「私のせいで、コンテストも、あなたの立場も……全部めちゃくちゃにして」
雨水が顔を伝い、涙なのか雨なのかもわからなくなる。
「……私が、あのアパートになんて来なければ。あなたに出会わなければ、こんなことにならなかったのに」