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#銀魂夢小説
AOTYA
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きゅにょ
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雨が静かに降っていた。
それは音を立てるほど強い。
その分夜の気配を重く沈めている。
阿耶は屋根の縁に伏せ、濡れた瓦の冷たさを背中に感じながら、眼下を見渡していた。
街路の先。
川沿いに停泊する一隻の船。
その周囲には、複数の人影があった。
傘も差さず、雨に打たれながら立つ見張りたち。
数は……多い。
(やはり外は警戒が厚い)
無理に正面から入れば、一瞬で気づかれる。
この距離、この人数。
少しでも音を立てれば終わりだ。
阿耶は息を整え、視線を船の側面へと移した。
甲板ではなく、下。
船腹の影、建物に紛れて見えにくい位置。
(……あそこなら)
腹部に、鈍い違和感が走る。
無意識に息が詰まりかけたが、すぐに抑え込む。
万全な状態ではない。
それでも、引き返す選択肢はなかった。
阿耶は音を殺して屋根を離れ、暗がりへと身を落とす。
雨音に紛れ、着地の衝撃はほとんど残らない。
地面を蹴り、影から影へ。
見張りの視線が逸れた、その一瞬を縫って船へ近づく。
足元で、水たまりが小さく揺れた。
(……落ち着け)
船腹に手をかけ、濡れた木材の感触を確かめる。
軋む音が出ないよう、ゆっくりと体重を預ける。
雨が、全ての音を包み込んでくれていた。
見張りたちの話し声が、すぐ上で交錯する。
「交代、まだかよ」
「もうすぐだろ」
阿耶は動かない。
ただ、呼吸だけを細く保つ。
やがて声が遠ざかった。
その隙を逃さず船体の影に沿って移動し、
小さく開いた船内への出入口へと滑り込む。
——中は、暗い。
外の雨音が一気に遠くなった。
代わりに感じるのは人の気配。
複数。
その分隙も多い。
「……」
阿耶は一歩踏み出す。
「——何者だ!」
背後から、声。
振り返るより早く阿耶は踏み込んだ。
声を上げた男が状況を理解する前に視界が揺れる。
月明かりが一瞬、遮られ——次の瞬間男は音もなく崩れ落ちた。
「……」
阿耶は足を止めない。
甲板の端。
物陰。
船室の影。
一人、また一人。
気配が動くたび距離を詰める。
刃が閃き、月光が反射する。
「くせものだ__」
言葉は最後まで形にならない。
足音が増えた。
慌てた気配。
状況を把握できていないざわめき。
(多いな……)
阿耶は息を整え船室の壁に背を預ける。
指先がわずかに痺れていた。
(さっさと終わらせないと)
次に飛び出した瞬間、数人分の視線がこちらを向いた。
「侵入者だッ!」
叫び声。
だが、それが広がる前に阿耶は懐へ潜り込む。
狭い。
船内は逃げ場がない。
刃と刃が触れ合い、乾いた音が響く。
阿耶は弾くように距離をとり体勢を整える。
息が少しずつ重くなるのを感じる
(……まだ )
倒れた人数を数える余裕はない。
物陰に身を潜めようやく一息ついたその時。
視界の端で何かが揺れた。
——傘。
阿耶の呼吸がほんの一瞬だけ止まる。
(……まさか)
その瞬間。
「——そこから動くナ!!」
鋭い声と同時に視界いっぱいに傘の先が突きつけられた。
阿耶は反射的に両手を上げる。
「待っ__」
窓から差し込む月明かりが互いの顔を照らす。
一拍の沈黙。
「……お前まさか」
視線が一点に定まり女の子の瞳孔が大きく開く。
「アヤ!!」
神楽の声と傘が落ちる音が船内に響いた。
阿耶はふっと息を吐く。
そのまま視線を少し下げると息を切らし、肩に手を当てた神楽の姿があった。
「……神楽ちゃん。 まさか、ひとりで此処に?」
言い終わるより先に視界がぐらりと揺れた。
足元から力が抜ける。
(あ、れ…)
「アヤ!?」
神楽が駆け寄る声をどこか遠くに聞きながら
阿耶の意識はゆっくりと闇に沈んでいった。
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