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穏やかな日差しが差し込むリビングで、拓実はソファに座りながらスマホをいじっていた。
隣には純喜がいるが、なぜかじっと拓実を見つめている。
「……何?そんなジロジロ見て」
「いや、ただ見てるだけや」
「そんなんわかってるし。なんで見とるんか聞いとんねん!」
「ん〜拓実のこと可愛いなあって思ってるだけやで?」
純喜の言葉に、拓実の手がピタリと止まる。
「……はあ?何言うてんねん、アホちゃう」
「ほんまやって。今の角度とか最高やった。髪の毛ちょっと跳ねてるとこも可愛いし」
純喜はまるで宝物でも見つけたような目で拓実を見つめ続ける。
「ちょ、ええからテレビでも見ろや!俺の顔そんな凝視されても困るねん」
「拓実の顔見るほうが楽しいもん」
「ホンマに……!」
拓実がそう言いながらソファに深く沈み込むと、純喜はにっこり笑いながら彼の隣にずいっと近づいた。
「なあ、拓実」
「何やねん」
「ちょっとだけじっとしててや」
そう言うと、純喜は拓実をふいに抱きしめた。
「え、ちょっ、何!?」
「いや、なんか急に抱きしめたくなってん」
拓実は抵抗しようとするものの、純喜の腕の力は強く、簡単には逃げられない。
「放せや!暑いし!」
「いやや。拓実、細いくせにあったかいから、ずっとこうしてたい」
「そんなん言われても困るわ!」
だが、拓実の声は少しだけ力が抜けていて、本気で嫌がっているわけではなさそうだ。
純喜はますます嬉しそうに笑う。
「拓実、ほんまええ匂いするなあ。なんか安心するわ」
「……もうええから、そういうこと言うな」
「何でや?褒めてるだけやのに」
「恥ずかしいねん!」
顔を真っ赤にしている拓実を見て、純喜は心の中で(今日も可愛いな)と密かに思っていた。
その後、二人はまったりとした時間を過ごしていたが、純喜はあることを思い出したようにニヤリと笑う。
「なあ、拓実。くすぐり耐性ないやろ?」
「はあ?なんで急に……」
純喜の手が拓実の脇腹に伸びた瞬間、拓実はビクッと体を跳ね上げる。
「ちょ、やめてや!純喜くん!」
「ほら、やっぱり!拓実のこういうとこも可愛ええ~」
「可愛いとか言うな!アホ!」
必死に抵抗する拓実を、純喜は楽しそうに追いかけ回す。
しばらくして、二人ともソファに倒れ込む。
「……ホンマ疲れるわ。なんで純喜くんってそんなに元気やねん」
「拓実と一緒におるから、テンション上がるんやと思う」
「……そんなん知らんし」
拓実がぼそっとつぶやくと、純喜はふいに真剣な顔になった。
「でもな、拓実。俺、ほんまにお前のこと大事に思ってるから」
「急に真面目にならんといてや……照れるやろ」
「いや、毎日思ってることやけど、たまにはちゃんと言わんとな」
そう言って笑う純喜の顔を見て、拓実は少しだけ照れくさそうに目をそらした。
「……純喜くんが言うなら、まあ、ありがと」
「お、珍しく素直やん!」
「ほっといて!」
窓の外から差し込む柔らかな日差しが、二人の穏やかな時間を包み込んでいた。