コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
〖一般人パロ〗
side:fm.
夕方6時。
今日も仕事疲れた。今日は残業もなく早く帰れるから久しぶりに家でゆっくりできる。そう思ってたのも束の間。
嘘だろ。
外には大粒の雨が降り注いでいた。
天気予報は一日中曇りだった。
もちろん、傘は持ってない。最悪。
俺はため息をつきながら手に持っていた鞄を頭の上に抱え、足早に屋根から飛び出す。
もちろん雨は当たり冷たい。
目の前に個人店のような建物が見える。
俺は心の中では躊躇いながら、その個人店のような建物に向かって走る。
目的の建物の目の前に着く。
ドアには〖SO GOOD DAY〗の文字。
「店名…?」
その文字を見ていると、突然
「ガチャっ…」
お店の中から男の人が出てきた。
「わっ…!!」
俺とその人と同時に驚いた声を上げた。
「…あ、すいません」
俺は謝りながらドアから一歩下がる。
「こちらこそ、!
あの、よかったら入りますか…?」
…!
俺は顔には出さず心の中で驚いた。
綺麗な声。
思わず返事を忘れるとこだった。
「…あ、いいんですか?」
「はい。」
「じゃあ、失礼します…」
俺はその店に入る。
中には誰もいない。
俺はここが何の店なのか知らない。
でも入った瞬間、いくつかのテーブルと
いくつかの椅子があった。
おそらくカフェだろう。
「どこでもいいので
座っててください…!」
そう言いながらお店の奥へ行ってしまう。
俺は言われた通り1つの椅子に座る。
座りながら周りを見渡すと、お洒落なインテリアや植物があちこちに置いてある。
センスいいなーなんて思いながら見てると、奥からさっきの人が出てきた。
「スーツ、拭いてください 」
優しい声で優しい表情をしながら、
俺にタオルを差し出してくれた。
「あ…すいません、
ありがとうございます」
俺は濡れたスーツと鞄をタオルで拭く。
「コーヒーすきですか?」
「え、あ、はい…」
「じゃあ、持ってきます…!」
「え、いいんですか?」
「はい…!」
「じゃあお願いします…」
「すぐ持ってきますね〜!」
店内の暖かい灯りに照らされたその人は
まるで太陽のような笑顔でそう言い
お店のキッチンの方へ向かっていった
しばらくすると、その人が出てきた。
「お待たせしました…︎どうぞ!」
俺の目の前のテーブルに
コーヒーを置いてくれた。
「ありがとうございます…」
俺は1口飲んだ。
「うま、」
思わず口から出てた。
「あ、ありがとうございます…」
「すいません、つい…笑」
その人に目を向けると、目を逸らしながら優しく微笑んでいた。
コーヒーを飲み終わり、席を立つ
代金を払おうと財布を取り出すと、お代は結構と言われたので、そのまま帰ろうとする
「ありがとうございました、 」
「いえいえ〜」
「コーヒーめちゃくちゃ美味しかったです」
「え〜!笑ありがとうございます! 」
扉を開ける。
開けた瞬間の音と景色でハッとした。
そうだ、雨…
俺は雨が降っていたからここの建物に立ち寄り雨宿りをしようとしたんだ。
まだ降ってんのかよ…
仕方ない、スーツもせっかく乾いたけど
また濡れて帰るしかないか…
そう思ってた時。
「あ、傘貸しますよ〜!」
そう言いながらお店の奥から傘を持ってきて渡してくれた。
「いいんですか…?」
「はい!」
その人は再び、
太陽のような笑顔を 俺に向ける。
「色々とすいません…」
「全然!!」
「また返しに来ます 」
「わかりました〜!お気をつけて!」
その日、その人の傘をさしながら帰った
風呂に入り、飯を済ませソファに寝転ぶ。
いい人だったなー…
人間性っていう部分もあるんだけど
なんか、あの人の笑顔がすごく素敵だった
だから、はやく傘を返したい。
もう一度、あの人の笑顔がみたい。
次の日
朝8時。部屋に鳴り響くアラームで起きる。
俺はいつものように身支度を済ませて、
仕事に行くためドアを開けようとする。
その時ふと思い出した。
「あ、傘…」
今日は朝から夜まで晴れ。
傘なんて絶対に必要ない天気。
でも、はやく返したい。
そう思った俺は傘を手に持ちドアを開ける
「おはよーございます」
「おはようございます」
「あれ、なんで傘持ってるんですか?
今日晴れですけど…」
「あー、昨日借りたから返そうと思って」
「あ、そういう事!失礼しました笑」
仕事の同僚と会話を交わしながら
仕事を始める。
夕方6時。
今日も仕事が早く終わった。
会社を出て昨日の店へ向かう。
店の前につくと、昨日はなかった メニュースタンドが置いてあった。
数十秒ほどそのメニュースタンドを眺めたあと、店のドアをゆっくりと開ける。
すると、奥にあの人が見えた。
「…あ、昨日の!」
俺に気づいたその人はそう言いながらキッチンから小走りで俺の目の前に来る。
「どうも、これ、返しに」
「あ、傘!」
「ありがとうございました」
そう言って傘を渡すとその人は、
俺にお辞儀をしながら傘を手に取る。
用件終了。
でもここで帰るのも違う気がしたので、
「1杯飲んで帰ります」
「あ、ありがとうございます!」
今日も店の中に客はいない。
とりあえず昨日と同じ席に座る。
しばらく待っていると奥から
「お待たせしました〜、どうぞ」
「ありがとうございます」
昨日と同じように前に置かれたコーヒーを、俺は1口飲む。
「…やっぱ美味いっすね…笑」
「ははっ、ありがとうございます…!笑」
コーヒーを飲みながらその人に目をやると、
ふと目に入ったものがあった。
「…松島…そう、さん?」
「えっ…あ!はい!笑」
いきなり名前を呼ばれたことにびっくりしたあと、自分の胸元にある名札を読まれたことに気づき元気のいい返事をくれる。
「いきなりすいません、笑 」
「笑、そちらは…」
「あ、俺は」
そう名前を言おうとした瞬間、
「菊池さん…?」
「えっ、」
俺は驚き松島さんの目を見ると、
俺の胸元を指さして話す。
「名札がついてるので…」
「…あっ、!」
俺ははやく傘を返したいばかりに、名札を取ることを忘れていた。
俺は苦笑いしながら慌てて名札を外す。
すると松島さんが手を出してきた。
「…?」
「名札、ちょっといいですか、?」
「えっ…あ、はい…」
俺は訳も分からず名札を渡した。
「菊池、ふうまさん…」
「…」
「…菊池さん、」
名札から目を離し俺の方を見る。
「…はい」
「…また、来てくれますか?」
松島さんは少し目を逸らしてそう言った。
俺は考えるより先に答えた。
「絶対来ます」
そう答えると松島さんは、
昨日見せてくれた太陽のような笑顔を
再び俺に見せてくれた。
なんで考えるより先にこんなことが
言えたのかは、自分にもよく分からない
けど、松島さんの表情と声が
どこか寂しそうに見えたから。
そのままコーヒーを飲み干し代金を払う。
「ありがとうございました、」
「こちらこそ…!またお待ちしてます、」
「…はい」
俺はドアノブに手をかけドアを開けて
「また来ます」
そう言い残して帰り道を歩いた
家につき、ドアを開け、ソファに座る。
俺は帰って1番にあの人の事を思い出す。
今日もあの人の笑顔が見れた。
今日もあの人の声が聞けた。
…松島さんの。
…ん、待て。
俺はなんであの人の笑顔とか、あの人の声が聞けて嬉しがってんの…?
よく考えたら昨日も、はやく顔を見たがってた気がする。
…この気持ちって、なに?