テラーノベル
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「お前らー、しゃべってないで早く決めてくれ」
「はいはい」
いかにも面倒くさそうな声で三田さんが答える。
「⋯⋯難しい」
何やらノートに名前候補を書いてくれていたらしい。
───────
・ 虚ろ漂う青煙の花
・ 遥か目指せば必ず
・ 思う念力岩をも通す
・ 不触有動
・ 千里手中
・ リモートリー・ハンド
───────
「⋯⋯我ながら、厨二臭い⋯⋯⋯⋯ごめんなさい」
俯くささみさん。
「いやいや、むしろ手伝ってくれてるんですから謝ることないですよ⋯⋯それに──」
「?」
顔を上げたささみさんの機嫌は、割と治っていることが見て取れた。意外と単純な人なのかもしれない。
「僕、この千里手中っていうの割と気に入ってますよ」
「そう? ⋯⋯それ、一番ないなと思ってたのだけれど」
「え」
まずった。気に入ってるのは本当なのだけど。
「でも、そう言われるといいかも」
なんて、穏やかな顔でノートを見ている。
「ちょっとー。おれを仲間外れにしないでよね」
ぶーぶー、と三田さんがひょっこり顔を出す。
「そんなの適当でいいんだから早くしてくれ」
正直、ナディア先生のその言葉には納得出来なかったが、
「まあ⋯⋯ダサくもないしいいんじゃん?」
という空気になってきたので、結局そのまま「千里手中」に決まった。
「おし、今から能力開発⋯⋯すなわち、能力テストを始める」
「先生、私それ三回目」
「あれから結構経ったからまあいいだろ。再テストだよ」
確か授業の初めに、終わったら能力開発だと言っていた気がする。まあそれはいいとして、なぜにこの暑い時期にグラウンドに出るのか。
いや、でも、考えてみれば当然か。三田さんは天気を操る能力だと聞いた。それなら屋外の方が都合がいい。
「では、各々プログラムがあるのでその通りにやってこい」
と渡されたプリントには、印刷の字でつらつらとテストの内容が記されていた。
次回、テスト回です
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