「…?」「…?」「……..」
疑問は何時でも提唱されるものだが、此処までとは思わなかった。彼女の目の前に写るのは真似事が得意な女、痛々しくて目も向けたく無いようなごまんといる女。彼女はそれに対して応じる、彼女自身にうっすらと出る言葉の数々には大人しめだが静かに呆れがきていた。別の事に毎度の事ながら視線を移したいものだ、彼女の手元にあるペンと紙。何もまだ写されておらず其処には虚無しかない、実につまらないものだ。「..ぁあ」掠れた声が口から溢れる、彼女は女に目線を写しているまま体制は変えてなどいない。体制こそは嫌になるが手元にあるペンを取っつかまえて虚無を彩る様にする、何もなかった空間が突如として明るい空間へと変わるその光景を彼女は満足げに見ていた…でもそれは上手くいったらの話だったのだが。そう、失敗したのだ、虚無に描かれたのは形の崩れた花。今にもその花は茎はほんの少しの刺激がくればその反射で折れる様で、花弁は塵となって空間を舞い散りそうな。そんな憐れな作品、形は色濃く残りはせず其処に遺されたのは意図せずして産まれた廃棄物だ。 _きっとこれは気を紛らわせたあの”女”のせいだ_
鬱蒼と募る感情から彼女は怒りに似た感情を自身の顔に写させた。反射的なものだが彼女は完璧主義者だ、仕方あるまい。
虚無に似た所蔵物を彼女はいとも簡単に手でくるめてしまった、あの花を完全に壊したのだ。脳にもう殆ど姿の残ってなどいないその花を彼女は今度こそ”華”にしようとした、だが記憶に無いものを捏造しようとしたためか心なしかさっきよりも形が歪み空間は黒く写る。だがそれでは気に食わない様な彼女は女の持っていた蛍光ペンと赤の色鉛筆を手に取り勢い良く塗り潰す。だが芸術家もどきがそれをしたところで何のメッセージ性もないだろう、何の価値も下らない様な虚無が其処にはあった。
だが_どうしてだろうか。 少しばかり彼女は喜んでいるらしい。