### **「溺愛なんかいりません!」**
*お小遣いのための最終手段**
—
「ふぅ……」
私は琉翔の家の床にぺたりと座り込んでいた。
結局、甘えることもできず、お小遣いのチャンスを逃しそうになっている。
(このままじゃ……負ける!!)
でも、直接甘えるのはどうしても無理。
じゃあ……どうするか。
私はスマホを握りしめ、しばらく考えた。
そして、 **ある作戦** を思いつく。
**(演技でごまかせばいいんじゃね!?)**
つまり、 **「甘えてる風」な写真を撮って親に送る。**
これなら、実際に甘える必要はないし、私のプライドも守られる!
**(よし、やるしかない……!!)**
私は意を決して立ち上がり、琉翔の方を振り返った。
「琉翔」
「ん?」
「写真撮らせて」
「は?」
琉翔はゲームの手を止めて、眉をひそめる。
「だから、甘えてるっぽい写真を撮りたいの」
「……え、それ親騙すやつ?」
「そう」
「……お前、それでいいの?」
「いいの!!!」
私は力強く頷いた。
実際に甘えるなんて無理。だったら **フェイクで突破するしかない!!**
しかし、琉翔は腕を組み、じっと私を見てくる。
「なんかお前、そこまで頑張るなら普通に甘えた方が楽じゃね?」
「うるさい!! とにかく協力して!!」
「……はぁ、仕方ねぇな」
琉翔はため息をつきながら、ソファから立ち上がった。
「で、どうする?」
「うーん……とりあえず、それっぽく見える感じで……」
私はスマホをセットし、タイマーをオンにする。
そして、考えた末――。
**(肩に頭を乗せるだけなら、ギリ耐えられるかも……!!)**
「じゃ、じゃあ……」
私はゆっくりと琉翔の肩にもたれかかった。
**パシャッ**
タイマーが作動し、写真が撮れる。
「……お、おぉ」
思ったよりも、 **悪くないかも。**
琉翔は微妙な顔をしながらも、特に拒否はしてこない。
「……なんか、思ったより普通だな」
「でしょ!! ほら、これで十分!」
私はすぐにスマホを確認し、写真をチェックする。
いい感じに **甘えてるっぽく** 撮れている!!
(よし、これを送れば――!!)
私はすぐさま母に写真を送信した。
**『これでいい?』**
しばらくして、母からの返信が届く。
**『……え、なにこれ!?!? 本当に甘えてるの!?!?』**
**『もしかして、優月、琉翔くんのこと……♡』**
「違うわ!!!!!」
私はスマホをブンブン振り回した。
ちがう!! そうじゃない!!!
だが、その様子を見ていた琉翔が、 **にやりと悪い顔をする。**
「へぇ~……親にバレてんじゃね?」
「うるさい!!!」
「てか、お前、そんなに俺のこと意識してんの?」
「してない!!!!!」
「ふーん?」
琉翔は面白がるように、 **私の髪をポンポンと軽く触れた。**
「!!?」
思わず肩をすくめてしまい、琉翔がさらに笑う。
「お前、ほんとは甘えたくてたまんないんじゃね?」
「しない!!!!!」
「チッ、残念」
またそれ!! なんなの!?
私は悔しさでいっぱいになりながら、 **とにかくこれ以上の追及を避けるため、ゲームのリモコンを奪い取った。**
「もういい!! 今日はゲームして寝る!!」
「お、いいね。一緒にやる?」
「……別に、どっちでも」
「はいはい、ツンデレ乙」
「はぁ!? ちがっ!!!」
こうして、 **私の”家出生活”はまだまだ終わりそうになかった――。**
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