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すいません「桃色学園」→「桃色高校」に変更です!
るなは、自宅の鏡の前で制服のリボンを結んでいた。
「………よしっ!お母さん、いってきます!」
鞄を掴んで出かける先は、もちろん桃色高校だ。
「あ!おはよー!のあ!」
「えと!るな!おはよう〜」
「今日から高校生活!楽しみで寝れなかったわ」
「全員同じクラスになれるといいね〜」
そんなたわいもない会話を交わしながら、高校に向かう。
「あ!見えてきた〜っ」
桃色高校は、レンガを基調とした明るい雰囲気が漂う校舎をかまえた学校だ。
周りの人は、一人だったり、すでに友達がいたり…様々だけど、みんな高校生活を楽しみにしているのがわかる。
「はい、桃色高校の新入生は向かって左の講堂に進んでくださいね〜」
教師の案内で、私達は講堂に向かった。
☆―☆―☆
私達は、そこで入学式的なものを行っていた。
保護者を呼ばなかったのは、人数的に入り切らないかららしい。
前の中学校と違うのは、家族がいないことと、席が自由なことだった。
『――では、校長先生からのお話です』
『…はい。えー、みなさん入学おめでとうございます』
(ここでも、校長先生の話は長いのかな…めんどくさ〜…)
校長先生(女)の話は、長いとも短いとも言えないような微妙な長さで終わった。
『次は、在校生からのお話です。生徒会長、三年生代表、二年生代表からの話を聞きましょう。…では、生徒会長から』
『はい。…まずは、入学おめでとうございます!みなさんがこうして私立桃色高校に入学できたのは――』
そのあと、数分ほど生徒会長の話が続く。流石に偏差値65超の学園の生徒会長なだけあって、わかりやすくまとまっていた。
内容は、この学園のつくりや制服、校則などの説明だった。
『…生徒会長、ありがとうございました。では次、三年生代表――』
『はい! …えーと、とりあえず入学おめでとうございま〜す』
(とりあえずって…)
『でも、ここに入学したからといって安心は…できませーん!なぜなら…この学校では、俗にいう中間テスト――他の学校では1学期に1,2回ほど行われるテストが、1ヶ月に1回行われるからです』
「「「「「「えっ…」」」」」」
会場がざわめく。
「の、のあ、えと…」
「やばい…高校だと、成績悪すぎると停学になるんでしょ?くそっ、うりめ、教えてくれれば…」
「これはきついなぁ…勉強追いつくどころか毎月完璧にしとかないとやってけないんだ」
『はい、静かに!……まあ、大丈夫ですよ!本当に難しいのは7月、12月、3月に行われるまとめテストだけだし、各科目合計150点取っていれば赤点にはならないので、停学処分はなにか問題を起こさない限りはないです。しかし、毎年の停学人数は――』
そんな感じの月末テストの説明が、1分にも満たないほど続いた。
『はい、私から話したいことは、これで以上です!みんなの集中力が切れる前に、次の話へいっちゃいましょう!』
『……ありがとうございました。では最後に、二年生代表お願いします』
『…はい』
そういって出てきたのは、灰色の髪をしたとんでもないイケメン…なんだと思う。
最後列のるな達からは、よく見えないけれど、それでもかっこいいとわかるほど、存在感――というか、ひときわ目立って見える。
三年の先輩がテストの説明をしたとき以上に、会場がざわめく。
「うわ、あの先輩イケメンすぎ〜!」
「やば、惚れる」
「やべぇ…俺等ぜってー彼女できねーじゃん!全部あいつが持ってくに決まってる!」
会場は、黄色い声と驚きで、一気に浮き出し立った雰囲気になった。
「ここからだとよく見えないけど、なんか、こう…洗練されてる」
「うん…なんか、後光が差してるというか…」
「なんか動きの節々?がすごいよね」
(もしかしたら、じゃぱぱさんとうりさんよりも……って、そんなこと言ったら二人に56されそう)
『えっと…静かに、してください』
彼がそういうと、会場はシーンと静かになった。
『…ありがとうございます。では、僕からは、一学期に行われる文化祭についての説明をします』
「そういや文化祭、一学期だったね」
「こらえと、静かに!」
すると、先輩がこっちに顔を向け、多分笑いかけた。
それだけでも前の方で小さく悲鳴が上がり空気が揺れる。
『すみません、あと少しで話終わるので…』
「うわっ!?ちょっ…えと、なんか返事しないと!目立ってる!」
「えぇ……はい!すみませーん!」
うぅ、視線が痛い……
会場は微笑に包まれ、和やかな空気になった。
『ふふ、大丈夫ですよ!では、説明を再開しますね』
『まず、文化祭の出し物についてですが、1年生と2年生が合同で作業します。3年はクラスごとですね。理由は、他学年との交流、そして1年生にこの学校の構造を理解してもらうという目的があることです。3年は、受験期ということもあって、あまりおおがかりなことをしたくない…という生徒の希望から、クラス・部活での出し物になりました。』
そんな感じの程よく緊張感がない説明が続く。
『では、文化祭の説明は以上…ん?』
横から司会の人が、先輩になにか耳打ちする。
『あぁ…すいません、説明漏れがあったみたいです。寮のことですが、この学校には、寮があるんです。毎年、7割ほどの生徒が寮に入っています。同性3人で、3LDKの部屋で生活します。希望があれば、希望した人と同じ部屋になることも可能です。希望がなくても、ランダムで部屋をきめるので、同じ部屋の人と友達になるのもいいかもしれませんね。かくいう僕も、寮で知り合った人とは今も仲良くしています』
(へぇ、寮かぁ…!楽しそう、入れるようにお母さんに頼んでみよっと!)
『では、説明は以上です。ありがとうございました』
『はい、2年生代表、ありがとうございました。では、新入生のみなさんは、いまから配られるくじを引いてください』
「「「くじ?」」」
えとが質問する。
「はーい!このくじ、なにが決まるんですか?」
『はい、そのくじには、A~Dのアルファベットが書かれています。それで出たアルファベットが、あなたのクラスです。』
会場がざわめく。みんな、今まで通り下駄箱あたりに張り出されたクラスにはいるんだと思っていたようだ。
『みなさんご存知のとおり、この学校は自由を売りにしています。そんな学校がクラスを縛るのもいかがかと思い、校長先生が企画しました。もちろん、くじの交換などの不正は許しませんけどね』
みんな、くじをひいては、
「あ、Aだー!」
「Bか…友達、できるといいな」
「あ、C…!一緒だね」
などと、思い思いな反応をしている。
そうこうしているうちに、くじの順番が回ってくる。
「るな、A!」「えー、わたしBだぁ」「はぁ?Cなんだけど」
残念ながら全員別々になってしまった…
暗い気持ちのまま、案内の教師にしたがって、クラスに入った。
☆―☆―☆
教室にいたのは、明るめの茶色い髪をした、活発そうな若い女の先生だった。
「みなさん、おはよう!好きな席に座ってね〜」
席順は、やはり端が人気になるのか…と思っていたけど、みんな遠慮しているのか、案外ばらけて座った。
るなは、窓側から2列目の微妙な席になった。
「…ねえねえ」
すると、横の席の女子が話しかけてきた。
毛先を明るい色に染めた、清潔感あふれる女の子だ。制服は、くすみがかったおしゃれなピンク色。
「あなた、だよね。入学式で、目立ってた子の横にいたの…」
「あ、うん!るなです、よろしくお願いします!」
「やっぱり!私、はるな。るなちゃん、こちらこそよろしく」
「はい!はるなちゃん!」
(優しそうな子だ!よかった〜、不良だったらどうしようかと思ったよ…)
「はーい、皆さん、思い思いの席にすわれましたね、さすが!では、教科書を配りまーす」
そんなこんなで、教科書や入寮届が配られ、軽く定型の挨拶もされた。
そしたら次にやることは――もう1つしかないだろう。
そう、自己紹介だ!
「では、自己紹介です!私は、藤田明日香。明日香先生って呼んでね!A組のみんな、1年よろしく〜っ!…では、窓側の端から!どーぞ!」
「やば、私すぐじゃん…」
はるなが、ぼそっとつぶやいた。
(わかる、自己紹介が最初のほうだと無駄に緊張するよね…)
そんなこんなで、10秒くらいの自己紹介がさくさく進み、るなの番になった。
「あっ…えっと、るなです!好きな食べ物はハンバーグで、趣味は…だ、ダンスです。水色が好きです。1年間、よろしくお願いします!」
(これでいいんだよね…?)
なぜか、クラスメイトが自己紹介が終わったあともじっと見てくる。
クラスメイト:((((((この子、かわいいな…)))))
「…?」
(何…?あっ、発表のしかた間違えてたかも…!ああ、恥ずかしい〜〜〜〜!)
そんなるなにも関わらず、自己紹介は順調に進む。
「美和です。平成のアニメが好きで、とくに『ハチャメチャ幽霊部!』がお気に入りです」
(『ハチャメチャ幽霊部』、名前は聞いたことあるな…どんなアニメなんだろ?)
「名前は翔で、中学ではテニスやってました。みかんが大好きです。おすすめの漫画、ぜひ教えてください」
ハキハキわかりやすく喋る子や、
「陽介でーす。サッカー部入りたいでーす。よろ〜」
「うち、れいなっち!ネイルマジ神ってるしぃ〜、放課後プリ撮りたい人、ちょっと集まってほしい感!よろぽよ〜!」
クラスメイト:(((((何言ってるんだコイツ)))))
「え〜っとぉ、莉子でぇす。生活音とるのが趣味でぇす。男性恐怖症なので、女子の友達がほしいなぁ…♡」
クラスメイト:(((((絶対嘘だな)))))
(もっとハキハキ喋ってほしいなぁ…)
性格を生かしてうまく(?)まとめる子、
「あっ、その、えっと…名前は…あはは…」
緊張してなかなか話せない子まで、個性豊かな生徒がそれぞれ自己紹介をしていく。
「はーい、全員終わりましたね?では、最後に友達作りのコーナーで〜す!」
全員:(((((なにそれ…)))))
「では、ルール説明!皆さん、先程の自己紹介で、気が合いそうな人をなんとなく把握している…と思います。してない人は…まあ、頑張ってください☆ …それで、下校時間まで30分あるので、それまでに友達を最低1人つくりましょー!前からの知り合いとは、バラけてくださいね?意味なくなっちゃうからね〜」
(へぇぇ…楽しそう、かも)
「ほい、でははじめ〜〜!」
クラスメイト:「「「「「……………えっ?」」」」」
「ん?ほら、もう始まってるよ!動いてかないと!」
そういわれて、みんなあわてて動き出す。
(きゅ、急だっ…!)
そんなことを言われても、気が合いそうな人なんて…
「…あの、玲奈さ…ちゃん!」
「ん?どしたん〜?…はっ、もしや友達なりたい系女子?いーよ、1年よろしくブラザ〜ズ☆」
(…あっ!はるなちゃん…は、さっきの玲奈ちゃんに話しかけてるし…)
るなはあわてて周りに顔を巡らし――
(あっ、美和ちゃん!)
そう、先ほど平成のアニメが好きと言っていた、紺色の髪の女の子だ。
るなも別にアニメは嫌いではないし、『ハチャメチャ幽霊部』の内容も気になる。
(うう…緊張する…!大丈夫大丈夫、私は天才!ここにも入学できたし!)
るなは覚悟を決め、美和の席へそうっと近づいた。
どうやら美和は友達をつくる気がないようで、『ースピンオフー ハチャメチャ幽霊部!【小説版】』とでかでかと書かれた小説を熱心に読んでいる。話しかけるのは少々申し訳ないが、今は本来友達作りの時間なので問題はなかろう。
「あの〜、美和ちゃん…ですよねっ!?」
「えっ、…うん、そうだよ。あなたは確か…るな、だったよね。よろしくね」
「あっ、うん、よろしくお願いします!」
2人の心の中:((よかった〜!友達、できそうだぁ〜!))
「…ハンバーグ、好きなんだよね?」
「あっ、うん!美和ちゃんは、『ハチャメチャ幽霊部』が好きなんですか?るなも興味ありますっ」
「…ほんとに?」
「えっ………うん、ほんとですよ?」
(あれ、なんか怒ってる?………もしかしたら、”ドウタンキョヒ”の子だったのかなぁ…好きなものを友だちを語るの、楽しいと思うんだけどな)
「え〜っ!?」
すると、ぱっと明るい顔になった美和がマシンガントークをはじめた。
(!?)
「やった、わたし同志をずっと探してたの!ストーリーはどこまで知ってる?」
(きゅ、急にぐいぐい来る…!)
「え、えっと、まだ題名くらいしか知らないです…」
「じゃあ教えてあげる!まず、主人公は夢咲れいあ。ある日急に霊感を持っちゃって、図書室で悪霊に襲われちゃうんだ」
「えぇ!?どーするんですか?」
「幽霊―っていっても、こっちは普通の人間の容姿をした女子なんだけどね。その幽霊・幽香が助けてくれたの。んで、その幽香は悪霊を退散する力、闇断(やみたち)のチカラをもってるんだ」
「へぇぇ…かっこいいですね!」
すると、美和は急にハッと顔を赤らめ、気まずそうに視線をそらした。
「……あ、ごめん、一気に喋っちゃって………引いた?」
「え、ううん、全然!それより、さっきの続きが気になります」
「あ、ありがとう……………じゃあ、続きね?それで、れいあが――」
そんなしょうもない話をしていると、30分はあっという間に過ぎていった。
――キーンコーンカーンコーン…
「はい、下校時間になりました!一旦席に戻ってくださ―い」
「あっ、もう時間ですね!さよ〜なら」
「うん。…………………ちょっと、待って?」
「ん?」
るなは、首をかしげて美和の顔を覗き込む。
「あの、…よかったら、今日、一緒に帰らない?私、桃ノ木方面なんだけど…」
「おんなじ方面です!わかりました!…あっ、けどちょっと待ってくださいね」
そういって、るなはえと・のあとのLime(メッセージアプリ)のグループチャットを開く。
ー・ー・ー・ー・ー
【通知:3】
[4月5日]
既読2『家出ました!交差点で待ってまーす』〈るな@天才✨〉
〜〜〜〜〜
〈29Jaga〉『ごめん、今日帰れない〜^^;』
〈Noa〉👌
〈Noa〉『わたしも、知り合った歌穂ちゃんと帰るね。るなは大丈夫そう?』
ー・ー・ー・ー・ー
「……うん、大丈夫そうです!一緒に帰りましょう、美和ちゃん!」
(けど、その前に……)
ー・ー・ー・ー・ー
『オッケー!るなも美和ちゃんと帰ります☺』〈るな@天才✨〉
ー・ー・ー・ー・ー
そうして、るなは美和と、えとは芽亜里・彩花と、のあは歌穂と帰ったのでした。
終わった!終わった!書き終わった〜〜〜!!!
ちなみに、美和はメガネをかけた陰キャっぽい子、芽亜里・彩花は若干口の悪いヤンキー風の子、歌穂はお菓子作りが趣味な気の弱い子です。えとは芽亜里から、のあは自分から帰ろうと誘いました〜
るなは、普通の友達とか同い年以上の子には敬語だけど、特別心を許してる子には敬語外すって設定ですw
次回は、寮ぐらしが始まったらへんからになります!
たぶん、文化祭準備の話かな?
ではばいちゃっちゃ!
原作・るえな(テラーノベルでは原作は読めません)
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