テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

2.選手決め

「……ぃ、おーい、星?」

…ハッ!い、今の声は…佳乃?眠りそうだった顔をバッと上げる。

辺りを見回すとそこは校庭。ああ、そっか、今は体育の途中だったっけか…。

「…星?大丈夫?」

「びゃぁっ!?」

突然幼なじみの美少女に顔を覗き込まれ悲鳴をあげたわたし。と、その美少女・佳乃に目を向けた。

やばい。

懐かしいなぁ〜…。こんなにまじまじと顔見れたのはいつぶりだろうか。わたしはたまらなくて思わずギュゥっと佳乃に抱きついた。

「わっ!?…もう、星危ないでしょ?」

「えへへ、ごめんごめん」

やっぱり変わってないなぁ…。

「…ところで今日の体育授業って何?」

「さぁ…?私も先生から何も聞いてなくて…」

佳乃と小首をかしげながらもんもんと考える。

と、そこに招集のピーーと言う笛の音が。

「4年生集合ー!集まれ〜!!」

この声は担任の三上先生だ。そろそろ体育始まるのかな?と思いながら先生の元へと走った。


「えー…今日の体育の説明をする」

整列をし、準備運動をした後、やっと今日のやる事を聞けそうだ。

「やるのは『鬼ごっこ』だ」

思いもしなかった先生の発言に一気に周りがざわめいていったのがわかった。けれど先生はそんなものお構い無しに話を進める。

「ここら辺の地区の伝統行事的なものだな。

各校の4年生、男女二人ずつが代表選手となり、学校対抗の大会に参加するものだ。

今日はこの大会の選手を決める!!」

えぇ〜っと先程よりも強いブーイングの嵐だ。「突然じゃん!」や「嫌だー」などの声がたくさん聞こえてくる。

その中でわたしはと言うと…。


絶対に選手になるッ!!!


と燃えていた。

え、なんでかって?ぜっったいに楽しそうじゃん!しかも学校対抗だしっ!?チカラダメシ?みたいのも出来そう!

佳乃がいる方向を見ると、彼女も瞳の色が尋常じゃなく燃えていた。

うんうん、やっぱりそうだよね、佳乃ッ!

ふと辺りを見回すと、朝の騒動の原因(?)の波島くん、それともう1人同じクラスの…ミサワくんも同じ感じだ。波島くん…は朝の反省から見ないようにしてミサワくんをじぃっと見つめていると。バチッと丁度振り向いた彼と視線が合ってしまった。彼の目が私を凝視する。

おぉ…初めてマトモに顔みたけどだいぶ美形…。って、見てる場合じゃない!

焦っていると彼はニカッと笑ってきた。なぜ笑ってきたかはわからなかったけど、太陽みたいな明るい笑顔だ。とりあえずわたしも口角を上げて笑い返しといた。

彼はそれを見たあと、サッと前を向いてしまった。

…ふぅ。ミサワくんには悪いけどわたしは一安心だ。女子からもう敵にされないようにしなくちゃ…って、ん?

波島くんのせいでもう敵にされて…いる…?

「はーい、ではまず男子の選手から決めます。鬼は女子の…そうだな、10人くらいやりたい子がやってね」

と言う隣のクラスの担任の先生の指示に従って出てきた女子の鬼立候補は約11人。

対して少数精鋭?のこの学園4年男子の数は30人弱くらいだ。

わたしは一緒に立候補した佳乃と共に張り切りながらスタートの瞬間を待っていた。

制限時間は15分。最後まで残っていた人が選手。3人以上居た場合は先生たちで話し合うそうだ。

「よーし!わたし沢山捕まえるぞっ」

「ふふ、私も負けないからね」


よーい、ドン

と言う合図で男子達が校庭へと散った。みんな行く方向はバラバラで端っこに逃げているようだった。

30秒後、女子の鬼達は先生の笛で校庭にいる男子達を捕まえに行った。

わたしは開始早々、即ダッシュで次々に男子達を捕まえていった。たまーにかわされるけど、反射神経の力でなんとか逃さないように一発で仕留める。

夢中で捕まえていると、先生の「あと5人〜」と言う声が聞こえてきた。

いつの間にか!?

驚くわたしの横をするりと抜けようとする1人の男子がいたけれど、条件反射で捕まえる。

と、端っこで呼吸を整えているらしき男子がいた。波島くんだ。女子からの熱い声援を無視して汗を拭っている。

波島くんて…足速いんだな…!わたしは絶対にこういう人は捕まえたい。

思い切り止めていた足で地面を蹴り、彼のいる方向に走っていった。

たぶん、まだ気づいてないな…。

真正面から行くとバレるので背後から近付くことにした。あと5mくらい。最後走ろうとした瞬間。

「!!…チッ」

気付かれた!?てか舌打ちもされた…!!??

彼は不機嫌そうな顔でわたしを置いて走っていく。でもわたしも反射神経を全力で動かし、後を追いかけ足を早める。

と、そこで。校庭の行き止まりだ。波島くんはそこに気付き、踵を急いで返したけれどわたしが迫って来ているのに気がついたようだ。

わたしはニヤッとして思いっ切り手を伸ばした。

すると、信じられないことが起きた。

波島くんが頭の上を通って行った。

「へっ、?」

なんと彼は倉庫の壁をある程度登った後蹴ってそのまま空中浮遊(?)していた。

けれど反射的に手を伸ばす。

なんとか波島くんの靴に触れ、わたしの勝ち(?)になった!!


ピッピーーーー


そこで丁度笛がなり、終わった。

選手は波島くんと、ミサワくんに決まったそうだ。

わたしが捕まえたけれど、最終的には1番残っていたそう。ちなみにミサワくんは佳乃が捕まえたんだって。

ふと、波島くんを見ると、鬼のような形相でわたしを見ていた。

「ひっ!?」

「…愛咲、だっけ?」

「は、はひっ!!」

「覚えとけ…っ!!!!」

ぎゃぁああ!怖い怖い!!

それじゃモテないよ…?

さてさて、お次はわたし達が逃げる番!!

男子戦?が終わった後に10分程男子は休憩。わたし達女子は逃げ場所に散っていた。

わたしはもうさっきの波島くんの言葉が怖いんだよなぁ…。絶対わたしを狙ってくるじゃない!?

波島くん、最後まで残ってたから選手確定だし…。めっちゃ速かったし!?わたしもしかして秒速でオワル…?

「はーい、女子の鬼ごっこ始めるぞー。男子の12人が鬼になったからな、じゃあもう始めるぞー」

ピーーーーー

先生の笛の合図で一斉に男子鬼が駆け出した!


結果はわたしと佳乃が選手。わたしは見事に波島くんに捕まりました__。

この作品はいかがでしたか?

110

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚