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「ん……っ」
目を覚ますと一面真っ白な部屋にふかふかのベッド。規則的な機械音と、ドタドタと聞こえてくる足音。
「っりうら!?」
「ないくんうるさいよ。ここ病院。今夜。」
「あぁ……ごめん……」
「っじゃなくて!また自殺しようとしたんでしょ!?」
「そーだよ。死ねなかったけどね」
ひらひらと手を振れば、悲しそうな表情をするないくん。彼の胸元には『精神科 内藤ないこ』と書かれたカードがある。
「りうらが運ばれて来たって聞いた時すごい焦ったんだから……」
「はいはいごめんね」
素っ気なく返すと、ないくんはため息を吐いた。
別に俺が自殺未遂をしたのは今日が始めてじゃない。何度も死のうとして、何度も失敗した。
その度に、ないくんはこうやって病室に駆け込んでくる。
「ねぇりうら?りうらはなんで死にたいの?」
ベッドの横の椅子に腰掛けて、ないくんが問う。
この質問も何度もされた。
「生きてても楽しくないし。いいでしょ、りうらが死んでも誰も悲しまないし。」
早く、楽になりたかった。
人一人死んだところで、世界は何も変わらない。
友達も居ない、家族には嫌われてる、りうらが死んだところで誰も悲しまない。
「ねぇないくん、早く死なせてよ……」
吐き捨てるように言えば、ないくんは息を呑む。
否定も肯定もできないのは、ないくんは今、医療従事者だから。
「じゃあさ、ないくんはなんでりうらに死んでほしくないの?」
「っそれは……」
それが仕事だから、とでも言ってくれたらよかったのに。
「りうらが、……大事な人だからだよ。」
ないくんの口から出た言葉は意外なものだった。
「さっき、りうらは誰も悲しまないって言ったけど、俺は、りうらが死んだら悲しいよ。」
白衣を弱々しく握るないくん。
たかが医者の一言で心が少しでも動いてしまうのは、俺の精神が不安定なだけか、それとも俺も__。
「あと1日だけでもいいから、俺のためだけに生きてくれない?」
医療従事者がこんな個人的なこと言っちゃだめなんだけどね、なんて微笑しながら言うないくん。
どこからか、ないちゃーんと呼ぶ声がして、ないくんが振り向く。看護師に呼ばれたのだろう。
「ごめんりうら、もう行くね」
「んーん、お仕事頑張って」
ないくんが立ち上がった所で、腕を軽く引っ張った。
「また、明日。ないくん。」
「……!うんっ!また明日、りうら!」
一気に笑顔になるないくん。
この笑顔が見れるなら、もうちょっと生きてみてもいいかな、なんて思ったりした午前一時。