テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「おはようございます。」
そもそもシェアハウスというのが夢なんじゃないかと思って恐る恐るリビングに行くとそこには誰もいなかった。良かった、夢だったんだと思ったのもつかの間。
「はぁ、夢じゃねぇのかよ。」
海斗さんだ。それは私の台詞なんじゃないかなと思ったのは秘密。
「えっと、海斗さんもおはよう。」
「ん。」
なにその不機嫌な態度。この家主は私だから何時でも追い出せるんだよ?あぁ、清楚な私がどんどん崩れていく。
「春夏ちゃん、おはよ♡」
「お、おはようございます…」
そして午前7時、全員が起床してきた。爺やはにやけて私を見ている。あぁ、助けて。
「…はぁ、おやすみ。」
「え?学校は?」
朝御飯を食べ終わり、そろそろ学校に行こうと思ったとき、海斗さんは部屋に戻った。転校2日目でもう学校飽きたとか言われたら私は生徒会長としてするべきことをしなくてはいけない。
「…カイトは、あんな子じゃないんだよ。本当は、みんなと一緒に学校に行ったり、勉強したりしたいんだよ。」
カルトさんが食器を片付けながらそう言った。…どういう意味なんだろう。夜中の事もそう。一緒に居たいのなら居れば良いのに。
「行ってきます。」
学校に行かないメンバーに見送られながら閻魔君と二人で家を出た。
「閻魔君、怖がらなくても___ 」
「あ、う、う…ん。」
打ち解けないのが悔しい。
きっとこうやって怖がっていたらみんなの視線が怖くなる。昔の私そっくりだな、と。
「閻魔君、海斗さんは…海斗さんは良いお兄さん?」
「…うん。」
会話が続かない中、先に話しかけて来たのは閻魔君だった。
「お兄ちゃんは、僕を…僕をずっと可愛がってくれたんだ。…で、でも、ずっと前から、お兄ちゃん、おかしくなって。」
おかしくなる?薬物とかそういうのかな。
「僕たちとは,違うから。」
閻魔君は白いイヤホンを耳につけてまた黙り込んだ。
私が海斗さんにできることって何だろう。何かあるのなら助けてあげたい,けどそれが火に油を注ぐことになるのなら黙ってみてるだけの方がいいのかな。
学校に入ると閻魔君は中等部の校舎へ,私は高等部の校舎へ入っていった。
「春夏!昨日どうしてすぐに帰ったの?」
「…あ,ごめん。」
昨日,生徒会のメンバーが精を出して頑張っていたから手伝おうと思っていたのにあんなことがあったからこれっぽっちも覚えていなかった。
「もう,ひどいよ。昨日頑張って3人で全部シュレッダーにかけたんだからね!」
「いや,ちゃんと見ないと…。」
そんなことを言う発言権は私にはない。
「ごめん。」
「もう、次から気をつけてね!」
そうして、雪那ちゃんはたぶんクラスに戻った。
シェアハウスとかいうイベントが始まったせいか、きちんと眠る事が出来なかった。眠気が襲う中、私はいつもより騒がしいクラスに入った。
「あ!春夏、見てみて!」
友達が見せてきたのは底辺ゆーちゅーばー…?だった。
「なに?」
「このYouTuber、最近出てきたんだけどすっごい面白いの。」
「どんな?」
動画を数分進めると猫の可愛い動画が出てきた。それも、私の猫そっくりな。
「私の猫そっくり。」
「だけど春夏の家の猫みたいにお茶目でドジじゃないからね。それにこの人たち、実況動画っていって、ゲームをしたりしてるんだけどそれも面白くてー!」
私には到底面白いとは思えなかった。