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まえがきの部分何書くか忘れがち、 テンプレ作れん
ネ申っほ゜いなの絵いいよね
地雷ありそうなこと
・暴力系
・黒が中心気味
駄目だったら戻ってください
出る人の設定とかロール的な事
3:神 6:離反者、歌手
1245:天使
4と5が6のオタクしてる
実は6と3が呪われた状態で居る (ずっと一緒に居る呪い)
それを知った話が中心ぽいけど自由律
人界は中の人っぽい(身長、髪色+a)、
天使は完全にキャラ(イメージは16線細睫毛ばちきら美形、45かっちり大人イケメン、2は丸め可愛い男の子、3は245の合の子みたいな)
背景は古めのフランスかな?くらい
「俺たち、ずっと一緒やからな!友達な!」
遠い昔に交わした約束。
「神に友達とか不敬やぞ!?」
「いーじゃん、ほんとは嬉しいんでしょ〜?」
「ま、まぁ…ってんな訳!」
「素直じゃないなぁ」
「いつまでも可愛い初兎やでほんま。立場が変わってもそうやん」
神さまになった俺に、居場所をくれた。
「だからって友達は…!」
「じゃあ信者?」
「それも違うけど…」
「ええやん友達で、そんな変わらへんて」
二人が手を引いて、広い世界を 見せてくれた。
「しょーちゃん!」
いむくんは、病気で死んでしまった。でもずっと一緒にいたかったから、天使になってもらったんや。元気ないむくんの姿で、いむくんも最初は泣いて喜んでたし、一緒にいられて俺も幸せだし。天使になると見た目変わんねんな、そこはびっくり。
「初兎!」
ゆうくんは、まだ生きてるけど。ずっと、約束の日から変わらないんだ。びっくりするくらいにあの時のまま、あの時の調子で生きてる。流石童顔、って思う。
一緒に居るって約束したから、俺は地上で、二人ともが天寿を全うするまで、ずっと一緒に居るって決めた。
だから僕は、 この日がいつまでも続いて欲しかった。
ひしゃげたドラム缶が音を立てる。蹴り飛ばした張本人は苛立ちを隠せない様子だった。
「で?言うてみ、誰から逃げるつもりなん?」
「…」
「はよ答えろや、なぁ」
重圧のある声に共鳴する様に窓が割れ、崩れ落ちる。粉々になったガラスが散ったのと同時に、レンガ建ての建物はみしりと悲鳴を上げていた。耳を抑え嫌な表情を浮かべた水色髪は鬱陶しいと言わんばかりだ。
「しょーちゃんうるさぁい。ガラス割れたんだけど」
「あ?ごめんごめん…無意識やわ」
「そんな事やってると人間なんて普通に死んじゃうからね?気をつけて?」
「それくらい戻せるやろ、ずっと黙ってるんやからこっちのが問題やわ」
「…いっそ殺して俺のとこで飼おうk「待って」
「流石にやめて?人飼うのは論外だよ」
腕を後ろで縛られ、膝を付いている青年は押し黙っている。一瞥もされない神さまは邪悪な笑みを浮かべ、革靴の先で床を叩いた。
「…これは手ぇ出してもしゃーないよな?」
かちゃ、とロザリオの擦れる音。手元の大きな十字架を軽く振りながらゆっくりと歩みを進めた。
「なぁ、悠くん?」
強引に頬を掴み、顔を上向かせる。暗い髪の隙間から覗く明星の瞳は静寂を眺めていた。
「他の神んとこ行く気やないよなぁ、他の神なんてロクデナシばっかやで?俺より優しいやつおらんで?」
「…これでそんな事言えるん」
じゃらりと繋がれた鎖が鳴った。武闘の出来る人間を静止するには両手脚を拘束するしかなかった、ので結構な重量感の金属がぎっちりと縛りあげてある。
「うん、他の神も信仰してたなんて他ん宗派でバレたら即殺されるか、洗脳とか実験用具やもん?俺は更生すればええって言うてるやんかぁ」
にこにこと眼前で笑う神を睨む。それで言えば、そこで縛られている男は裏切るなんて以ての外、というタイプだろうに、何故こんな事態になったのかと聞きたいのだろう。 心を読もうとする天使はそれを傍観していた。
「なぁほとけ」
「…ん?」
「それ、効くと思ってん。横におったんやから、効果も発動条件も全部知っとるわ」
「まぁ知ってるけど…ミスしないかなーって?」
「お前の目見ればええんやろ、そんなんせんて」
「いーじゃんちょっとくらい!無理やりも出来るんですけど?しないだけマシだよ?」
そんな事を言いながら、彼は手中からぬいぐるみを投げ出した。綿をいっぱいに詰めた水色の狐が、ぽよぽよと歩き、窓を直し始める。ガラスの反射じゃ目合わないね〜、なんて言うところは少し怖いが。
「一緒におってくれる、って約束したやん」
顔をじっと見て、早く答えろと圧をかける。もっとも、期待に応えてくれる気もなさそうだが。
「あれ嘘やってん?」
「…嘘やない」
「嘘やん」
「嘘やないって」
「じゃあ今はなんなん?俺から離れようとしてるやん」
「…仕事ほってここに居るお前は分からんやろな」
顔を振って、掴んでいた手を強引に除ける。伏し目がちな瞳を真っ直ぐと向けて告げた。
「はよ帰れや。お前の居場所はここやないやろ。」
衝動的に頬を打つ。ばちん、と小気味良いが音が鳴って我に返った。こんな気は無かったのに、どうしようもなく怒ってしまっているようだ。一回落ち着かなきゃ、といむに一言、行くで。と声をかけ、部屋を逃げるように去った。
「しょーちゃん、そんな泣かないでよ」
「ッ゛、だって、!だってゆう゛くんが〜…」
「もうちょっと落ち着こう?今の天気やばいよ?」
外は予定に無い豪雨が降り、暗雲が唸り声をあげている。長年付き添ってきた人に裏切られた、という形のはよほどショックだったのだろう。
(あにきの言う事、分かるけどなぁ…)
実際、神さまは特定の人のそばに居るべきではないし、しかも半ば職務放棄のような形でここに居る。 天国にもいわゆる役所みたいな場所があって、実際はそこのトップとして仕事をしなければいけない人だから、駄目なんだ。
神として初めて愛されたからあにきと僕に御執心だった、制度を自由に出来るから創造神ぶっ殺して最高神の座に着いた、だと。この人いい意味で馬鹿だね。
「んー…一回上帰らない?データベース?からあにきのこと探せるよ?」
「嫌や」
「なんで…?仕事もまだ大量に置いてきてるよ?」
「仕事嫌やし、それは反則やもん、友達のこと探偵とかストーカーして調べんやろ」
「じゃあ一回仕事しに行こう!?僕が調べるから!」
「嫌やし!」
「ねぇ、お願いだから一回帰ろう?変な場所に居ると周りの害が多すぎるんだ よ」
だって神が普通に地上にいるんだもん、おかしくなるに決まってるじゃないか。
気付いてる?神さまだから気付かないか。あにき、あの時から歳取ってないんだよ。こんな山奥の教会で三人暮らし、何年続けてると思う?…もう覚えてないよ。
ねえ、しょうさんが続いて欲しいと願うから。願いを叶えるのが神の仕事なんだから、叶うに決まってる。それが何に害そうとも、叶ってしまう。
だからさ、こんなの寵愛って名前の呪いだよ。
呪われてるのは、あにきの方だ。好きな歌で仕事をする傍ら危ない仕事をして、一緒に居ることを選んで、是とするのは…。
何も言わずただ睨む。あまり怒鳴る事のない僕に気圧されたのか、
「…わかった」
と渋々の様子で頷くのを聞いて、心変わりする前に帰り支度を始める。どんぐらい仕事ある?と聞いてきた辺り本当に仕事が嫌なんだろう。
「多分有能な三人が片付けてると思うよ?あーあ、僕の推しくんも頑張ってるだろうな〜」
「じゃあ今度はそいつも連れてくる?」
「ん、いやいいよ…初兎ちゃんで充分。」
そんな彼は支度をする僕に抱き着いて、口吸いをせがむ。 「準備終わったらね」と、返せば「終わるまで抱きついてる」なんてぐすぐすに崩した顔で鼻を鳴らして駄々っ子をする。流石に終わるまでずっとは邪魔だと軽く口付ければ、泣いた後の顔をへにゃりと崩し幼子のように笑った。
「あにき…一緒に居てくれるかな 」
「一緒にいて欲しいんでしょ?なんか考えよ 」
「…うん」
どさどさ、と円陣に荷物を放り込み手を繋ぐ、一歩踏み出せばまるで落とし穴のように落下しているのが分かる。僕はこの感じが嫌いだ。下からの風が止んだと思えば、そこは天界の入口に繋がっている駅、と言うより手前の改札みたいな場所だ。
「行くよ?」「はーい」
認証の機械に手を掲げれば身分提示が瞬時に成される、帰ってきた事くらいあと数分もしたらあっちの三人にも届くだろう。神が戻ってきたとの表示に驚いたのか警戒なのか、警備の天使達がちらちらとこちらを伺いつつあるのが横目に見えた。
「しょーちゃん、車呼ぶから鞄持って待ってて」
「ん?飛んだ方が早いやろ」
「あのねぇ、ちゃんと規定があるんだよ?」
「神に逆らうとは何事やーって言ったれ」
「ちゃんと乗って!また怒られるよ?」
「はーい…」
自己を過信し過ぎているという程でもないが、この人は余程奇想天外が好きらしい。すい、と浮いて来た車みたいなUFOみたいな乗り物に乗って、上の方にあるお役所様を目指していく。目的地はすぐそこだ。
「…おかえり」
「ただいまー!りうちゃん元気してたー??」
挨拶代わりのハグをと抱きつこうとすれば、腕押しに負けて跳ね返される。まったく素直じゃないんだから。
「相変わらずだね。今回は早かったじゃん」
「そそ、あにきに怒られちゃってね〜」
「ふーん…つか頼んでたお土産ちゃんと買ってきたの?」
「あるよ!後でゆっくりお茶でもしながら食べよ〜?」
「嫌だ。りうらが独り占めするの」
「大丈夫、その分多めに買ったから…ね??」
「…面倒だし作ってくれるならいいよ」
「やったー!今は急いでるから、また渡しに来るね!」
「うん、相当お怒りだから頑張って」
ロビーで出会った推しに別れを告げ、奥に進む。神さましか入れない場所の手前に執務室があって、お世辞抜きに優秀な二人が仕事をこなしているのが目に入る。
「その件は〜…」「ないこ、これ」「あぁ、じゃあまろはこっち任せた」「りょ」「あとそれ、一緒に出してもらっていい?同じ場所だから」「ん、そしたらそれ任せる」
「…忙しそうだから後にする?」
魔法の気配が多く散った部屋で机に向かう姿に後退る。
「せやね〜…また後で「おいあほとけ!」
こちらに気が付いた青髪が怒気を孕んだ声で呼ぶ。
「うわ、いふくん」
「帰ったならはよ仕事せえや!こっちは戦争で人増えててん大変やねんで?棄却がぎょうさんおるわ!」
書類の山を魔法で浮かせ、大量に運んでいるその後ろにも申請書類達が軒を連ねていた。これこそ、わけいってもわけいっても青い山…を切って加工した白い紙。
「あ?はつうさぎも帰ってきてんの?」
複数腕が同時に動き、顔を上げずに問う。魔法陣から出現しているメカパーツのような腕は継続的にパソコンを叩き、パソコンを叩き、書類を運び…と忙しく動いていた。
「ん〜?おるで〜」
「ほらこれ、神宛の申請書類。仕事だよ。」
腕の一本が一際大きい山を指した。相当量だが、この人にとっては数十分で終わるくらいのものだ。疲れるらしいが、それは自業自得としか言いようがない。
「うげ、だから帰りたくなかってん」
「じゃあ定期的に帰ってこいばかうさぎ!!」
多分仕事が増えているからだろう、イラついている彼に逆らえばドカンと雷が落ちそうだ。
「やります、やりますよ…うぅ…」
「僕も今からやりまーす」
「ほら、これね」「あほとけはこっちな、」
この人達は双子ではないのだけれど、幼馴染でしかも優秀な名家のお子様だ。
「かみぱわー!!」
真横でふざけてはいるものの、強めの風に書類が整理されているのが分かる。こういうの電子化しないの?と思う人も居るだろうが、魔導師製の紙なので電子と共有されているし、そもそも電化製品ではなく伝達や保存作製などに特化した複数魔法を入れ込んだ入力に特化した製品なので別にという感じである。書きやすいし量産しやすいから大勢居る死者やらに紙で出しているだけだ。
「ん〜これって送れるやつは送っていいの?魔法封入メール?それとも魔紙で郵送〜?」
「入界管理局には魔紙で郵送して。メールアドレス書いてあるやつは封入メールで大丈夫、それ以外は一旦置いて」
「りょーかい、いむくんいつものちょうだい」
「はいはい、どーぞ」
「わーい、この魔法めっちゃ頭動くねん大変やわ〜」
曰く糖分が無くなる、そのうち低血糖になるからとチョコレートを頬張っている。これをいつもやってくれればと、思っているのは常日頃仕事を請け負っているこの二人だろう。
「二人っていつ休暇とったっけ?」
「あ?忘れたわそんなもん」
「ん〜〜少なくとも半年くらい取ってないかな〜」
睡眠は特に必要の無い体だが、栄養補給や娯楽といったものは大事だ。その娯楽をおあずけ状態になっている彼らは相当大変で早く休ませろ、と言わんばかりだ。
「じゃあ調整せんとな、俺らが居るうち有給にせんと」
「そういや給料見たっけ?」「通帳見とらん、普段使っとんのカードか経費で落ちるもんやし」
相当社畜が根にあるらしい、この人たちいつ休んで居るんだろう。いや休んでないのか。よく働くな。
「全額振込はされてんで〜前税務書類で見たからな」
「りょーかい、神が言うならそうでしょ」
「有給か〜金積んでプレミア買って推しのライブでも行こうかな〜〜」
「お、いいねぇ。人間界行っちゃう?」
二人して魔法に体を預け、仕事は終わりだとのんびりしている。いつもお疲れ様です。
「なんのライブ?」
「最近ハマってるアーティスト〜もうめっちゃかっこええねん、なぁないこ?」
「そう、ほんとに漢!って感じでさ〜でも可愛いしさ〜歌上手いしさ〜仕事中に聴き入っちゃってさ〜」
「なんかな、福音すんねん、人間なのに。めっちゃ幸せ〜〜みたいな?」
「ふーん…」
「え、仕事中に…?」
「は?仕方ないやろ、ほぼ一日中仕事してんねんで?支障が出る訳でもないしな、むしろプラスやわ」
「はい、すいません…」
「それ誰?」
一瞬二人の言葉が詰まる。いむ、おいいむ!と小声で呼ばれ近付けば、腕を引っ張って近寄せられた。
「あれ本当に知らないの?」
「俺らの推しお前らの近くにおっててん、前ライブ行った時残滓したから多分な、知らないん?いや名前は言うなよ?」
「多分…知らな…って、その人誰なの、?」
頭を抱えている二人を横目にシュークリームを頬張っている。何言ってるんだ、というよりなんだこいつら、と思っているのだろう。
「何、言えへんの? 」
「俺な、同担拒否やねん。ないこ以外は無理。」
「俺もまろに勧めた手前まろ以外無理!」
「つーことやから、教えられへん」
あれだけ語っていたひとが急に隠し始めたものだから、 相当訝しんでいるのだろう、と思った数秒後。
「ふーん…いむ、あにきのことはよ調べて」
「え、調べるなって言ったじゃん」
「気が変わってん、早く」
珍しく真面目、というより嫌そうな表情を見せている、これは多分隠し事をされているのが気に入らないらしい。ちまちまとデータをいじっている横は随分緊迫していて、今にも怒声があがりそうだ。
「待って、これ本人が怒られる可能性ある?」
「…あるなら言うけど、ないなら言わんよ俺は」
「本人が、って知ってんならはよ言えや」
「隠してんなら何かあるってことでしょ?流石に…」
「言うに足らん何かがあったんやろ、そんなん俺らに言われたって知らんわ」
「こら、みんな喧嘩しないの!」
「いむくん調べ終わった〜〜?」
「まだ。もうちょっと待っててね…
「よ、っと…」
さっき頼まれて急いで来たのは、人間の世界。 ほとけっち曰く「神や天使と居るのが普通になって、長時間周りに居ないと死んでしまう」らしい。確かに天界と地上じゃ時間の流れが倍ほど違うが周りに居ないとなんてそんな、と思ったけど、数百単位で生きていると聞いたら確かにとしか言えなかった。
(地下に縛られてるって…何やってんだろ…)
お怒りの様子を見ていて、多分誰かはやらかしたんだろうと検討がつくが特に知らないし。
着いた教会は随分と新しい木や磨り硝子が使われていて、内三月にでも立て替えた…と言えるくらいの綺麗さ。見ていて異質さを感じるのはこの建築が流行ったのはずっと前、五百を超えていた気がするのが神の福音か呪いを感じざるを得ないものだった。
「あにきさーん…いますかー?」
声をかけても何も反応はない、そこら辺にあった燭台を片手に地下牢を歩くのは不気味で仕方なかった。
(あ、光ってる…)
突き当たりの部屋から光が漏れている、重々しい鉄のドアがうっすらと開いているようだ。開けようと手をかけても、頑張って引っ張らなければ開かない重量感だった。
目の当たりにしたのは地を這うように目を瞑る青年。
「ちょ、大丈夫!?」
苦しそうな呼吸音が微かにだけ聞こえ、縛られている手のひらが力無く開いている。抵抗した様子がないからか眠っていると誤認しそうだった。遅れて声に反応してか睫毛の長い瞳が少しだけ開く、こちらを目視しても返答は帰って来なさそうだ。とりあえずと手錠と足枷を壊し、横にして容態を見ることにした。
「俺の声聞こえてる?聞こえてたら二回瞬きしてー?」
ぱちぱち、とゆっくり動く。これは考えを見ながら思念伝達でもした方が早そうだと術の展開を急いだ。
目をじっと見て、繋がったと思った第一思は
「(…綺麗な子やなぁ)」
拍子抜けした。死にそうだって言ってるのにこの人は。
「まだ死んでないからね、どうする?生き返る?それとも死んで天界でも行く?」
「(選べるん?)」
「まぁ俺は様子見に来ただけだし。褒めてくれた分これくらいは選ばせてあげる。」
「(ふは、優しい天使さんやなぁ)」
きゅ、と細く開いた目が笑う。可愛らしいと言えばそうだ。なんであんなに虜になっているんだと思っていたが、何となく気持ちは分からなくもない。
「(死んだら俺、どこ行くん?)」
「んー、天界のどっかだと思う。街みたいな所もあるし、山林も海もステージもあるよ。天使は働いてる貴族みたいなもんだよ」
「(そうなんや、みんないそがしなぁ…)」
「人間に比べたら全然。僕ら寝なくていいし、食事も別にいらないし。全部娯楽でしかないんだよ。」
「(へぇ、天使さんも大変やねんな)」
「天使だしね。でどうする?天使になるか、生き返るか?あとは死んで天国にすむ!」
「(…天使?)」
「天使はよっぽど徳積まないとなれないけどね、あにきならきっとなれるよ。俺が保証してあげる。 」
「(んー…)」
「天使は便利だよ、色々面倒なことないし、自由だし、働くのは義務だけど、何で働いたっていいんだよ 」
「(そうなんや、…でも俺、人間になりたい。)」
「え、いいの?ほんとに?いいことないよ?」
「(うん、それがいい)」
「分かった…じゃあ待ってるね、また。」
「おいいむ!さぼってんのかー!!」
「違う!なんか急にデータ使えなくなったの!」
「はぁ?何言うてんねん」
頬を膨らませ、がたがたと肩を揺らしている。片方の顔色が真っ青である事以外よく見る光景で、違う事と言えば俺らが仕事の疲労から大きめの椅子で高みの見物をしている事だ。
「なんかあった?」
「エラー…わかんない… 」
横で焦っている所を遮るようにばん、とドアが開く。
「ただいまー」
「おかえり、どっか行ってたの?」
「うん。みんなの言う推しくんに会ってきた」
「は?」「お前、」「それで!?」
三者、いや四者四様の反応を見せている奴らなどお構いなしに言葉を続ける最年少。
「んで、死にかけだったからどうするか聞いてきた。」
「…なんて?」
「本人に聞けば?」
入って大丈夫だよー、と後ろに声をかける。
「あ…こ、こんにちは…?」
遠目に見ても上背があり、緩やかに巻かれた髪を下ろした容貌は綺麗な女性に見える、でもその声は歌やMCで聞いたあの声だ。俺を含めぽかん、とした様子の全員にどうすればいいかとりうらに助け舟を求めている。
「人間が良かったらしいんだけど、長生きしすぎて入界審査で怒られた!」
「当たり前だろばか!」
「長生きのレベルが違うねん、そりゃそうやなぁ」
「んで、なんか天使の年功序列制度何個か飛ばして今これね、天使だよ」
「つかなんで審査りうらがやってんねん!俺やろ!」
怒っているのは若干青い髪の奴が居る、二名はどちらにしても対立しそうではあるが。
「ふふん、だってあにき俺の事綺麗って言ってくれたんだよ?じゃあ俺のセンスでしょ、ね、あにきー!」
「ん、まぁ…そうやんな?」
「見てこの顔、可愛いでしょ。めっちゃあにきじゃん?しかも綺麗だし、さっすが俺の造詣センス〜」
弟属性を陥落させているのは流石の兄属性と言ったところか。俺達の真横にある椅子に座る彼にるんるんで抱きついているのは作品としてであれ甘えているのであれ、神さまがぎりぎりと睨んでいるのに変わりない。
「しょーちゃんが怒るから程々に、!!」
「ん?怒られたヤツが何言ってんの?俺が行かなかったらぶっ倒れてそのまま死んでたんですけど?」
「そんなら俺が迎えに行ったわ」
「俺のが先だった。それだけでしょ?」
「ふん…でも悠くんと一緒に居る歴は俺のが長いわ」
「それで言えば僕のが長いけど?」
「俺のが長いし!!」
初兎がむすくれて嫉妬を顕にしているのを見て笑う推しの悠佑、もといあにき。
「えっと…二人もよろしくな?」
横で顔を伏せている様子のおかしい人。話を聞いていないのかと横から肩を叩こうとすれば、 「待って可愛い無理ほんまに推し、好き、、、声が良い、、」何て限界オタクしながら目を見開いていたので背中を撫でておいた。
「うん、よろしくね〜。俺はないこ、こっちがいふ。」
「そっか、二人がそうなんね、話には聞いたとあるし…」
ちら、と顔を見て不思議そうな表情をしている。何かしらあったのか、と思って返答を待つと、身体を伸ばし近付いてこそこそと囁かれる。
「きみ、ライブ来てくれとった?」
言葉の端に吐息を感じる、すぐ近くでシャンプーの匂いがする。綺麗な琥珀色の瞳が俺を見つめて離さない。
「え、は、…はぃ…」
「やっぱそうやんな、道理で見た事あると思ったわ〜」
横から殺気の含んだ睨みが飛んできているのが関係ないくらいには心がいっぱいになっている、供給がおかしすぎる。
「…そっちの子も?」
「はい!!そうです!!!!!」
「そっか、じゃあ初めましてやないんか〜」
にこにことする彼は驚く程美形で、これは本当にりうらが自慢するだけある。
「ねね、りうらお兄ちゃん欲しかったんだ、良ければなってくれない?」
「ん、なんかそういうのあるん?」
「天使って基本他人だからね、縁組の契約が出来るんだ〜。」
「兄弟含めその延長で結婚する人も少なくないし、仲良い人って言うより特別な人が多いね?」
「俺があにきを創ったんだもん、ね、いいでしょ?」
「…俺でいいなら?」
「やったー!じゃあ後で魔法使おうねっ」
「俺もしたーい」「は?俺のが先!」「僕だって兄弟がいいんですけど!?」
「お、お前ら?」
「あれ、あとなんか言うことあったっけ?」
ついつい脱線した話を戻そうと指揮を執ったのは珍しい水色。
「天使は両性具有だけど出し入れ?可能で、どっちも好きになれるよ〜みたいな構造はしてて、でも生殖は出来ない、えっちにはなる」
「羽と輪っかも出し入れできる!羽の枚数が天使の階級みたいなやつ〜」
「羽二対あれば飛べんで、一対のは会ったと思うけど入界所とかここの本拠以外で働いとる」
「それで言えば俺といふは兄弟だね、俺はいふに顔?創ってもらった側」
「僕としょーちゃんもそう!ふたご〜!僕はないちゃんがつくった!しょーさん苦手だもんね〜」
「俺は兄弟居ないし。だからりうらあにきと兄弟になる、みんなは駄目だよ」
あれだけ甘えているのを初めて見た、いや自分の連れてきた人だと言わんばかりにマウントを取っているのか。ちゃっかり肩に手を回し足を組んでドヤっているのも可愛らしい。
「はぁ!?俺悠くんと兄弟みたいなもんやし!」
「こらもう落ち着け!喧嘩する事やないやろ?」
「じゃあ悠くんはどうでもいいん!?」
「俺はその兄弟制の 大事さは分からんねん、でもそれ抜きに初兎は大事なんやで?」
「…じゃあ許す」 「ん、ありがと」
撫でられてご満悦のうさぎはもうりうらのことなんて気にしていなさそうだ、その横でいむも撫でてと近付いて笑われている。小学生に囲まれる先生みたいだ。
「今度三人で飲み会しよーや」
「いいねぇ、俺とまろとあにきの三人で。親睦会みたいな感じ?」
「良いけど、今度な?先にここのこと知りたいねん 」
「あ、じゃあ折角の有給だし一緒に観光する?」
「俺/僕も!」
抜け駆けをするなと言わんばかりだが協定なんて結んでいないし、友達として仲良くなりたいだけだし、そんな怒られることでもないだろうと振り返って笑ってやった。
「お前らは仕事あんだろーが!後でや後で。」
横から腕を組み、行こうと促せば着いてきてくれる所ありがたい。兄貴を挟んで歩き出すと、三人は文句を言いながらも仕事に戻ろうとしている。
「じゃああにき、まろ、行こー !」