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青黒 ゆるやか 30分復帰練
地雷さんから見えないように・・・やってるけど、あんまり配慮になってない気がしてきたよ。
俺の恋人は、基本的に夜型で生活している。アイデアを思い付くのとか、歌以外の仕事をこなすのに深夜がいいらしい。そういう生活をしていると、同棲していても平日すれ違うことが多かった。起きる頃に横で寝ている、なんて事もよくある位で、深夜近い時間に帰ってきた俺と少し話をするくらいで終わってしまう事がよくあった。
「まろ、…おいまろ、起きろ…遅刻すんで、」
「ん〜…あとごふん…」
「それさっきも言うたやろ?」
「 ちゅーしてくれたらおきよっかな…」
「いつも言うてるやん…」
歯磨きしたらええよ、と軽く頬に口付け、男らしい骨張った手で髪を撫でられる。寝起きの低まった体温に触れた指からは、じわりと温もりを感じられた。
「はみがきしてきます…」
「ん。偉い」
寝ぼけ眼を擦って布団から出ると、すっかり冬になった空気に抵抗を覚える。服を着替えるのも億劫になるくらいだ。鞄を持ってリビングルームに入ると、温かい味噌汁のいい匂いがした。
「おはよ」
「おはよ、今日はなんの味噌汁?」
「わかめと豆腐、卵焼きもあんで」
「しょっぱいやつ?」「甘いの」
「やった〜まろがすきなやつ〜」
エプロン姿の恋人に抱き着き、目線を合わせる。何?と言わんばかりの表情をしているところに、唇を合わせた。肩から首筋をなぞり、髪の後ろに手を添える。とん、と背中を叩かれたので離れると、真赤な頬紅をつけた顔が蕩け、微かな吐息と共に見詰め返していた。
「していいって言ってたもんね?」
「…あほ」
「ごめんって」
「許さへんもん」
離れろ、と言わんばかりに押し返す手を無視して、腰に手を回し髪に触れた。はなりと落ちた髪束は綺麗なウェーブを描いている、指先で遊んで口元に近付けると、軽く照れ隠しで睨まれる。
「どうしたら許してくれる?甘い物でも買って帰ろっか?」
いや…と小さな否定を囁き、服の裾を引かれる。少しだけ言い淀んだ後、目線を合わせて呟いた。
「その…今日は早く帰ってきて、な?ええやろ?」
「んふふ、りょーかい」
朝から可愛いなぁ、と活力を貰いつつ、準備の終わっていた食卓を二人で囲んだ。
「もう寒いから外出たくないねんけど〜」
「そんなん言ってないで、防寒すればええやろ?」
「そうだけどさぁ、着る時が冷たいんよ」
「湯たんぽでも包んどけば?着る時暖かいやろ」
「あー…それもそうか…」
駄弁っていると時間は刻々と過ぎている。愛おしい
「それじゃ、いってきます」
「ちょ、お弁当忘れてる、!ちゃんと持っていき ?」
「ほんとや、ありがと。」
「よし、行ってらっしゃい」
「いってきます、あにきはおやすみ!」
「…おん、おやすみ。気を付けてな」
ぱたむ、とドアが閉たのを見届けると、翻って駅へ歩みを進める。もうすぐ通勤時間帯なので一通りも多くなってくる頃だった。今日は早く帰ろうと心に決め、軽い足取りで職場に向かった。