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藤澤「じゃあ着替え終わったらせーので出てくるよ?」
涼ちゃんが衣装を抱えながら言う。
若井「はいよ。絶対見んじゃねぇぞ!!」
大森「見れるわけないのよ笑。個室で着替えるんだから笑」
そう。俺たちが今から行うのはハロウィンパーティー
もちろん外に出て歩き回るのは出来ない(というか俺が好きじゃない)から俺の家で仮装大会を開くことになった。
それぞれが衣装を持ち寄り、隣に並んだ3つの部屋を着替え部屋とした
2人とも身体を丸めて衣装を抱えるもんだから、本当に何を持ってきたのか検討もつかない
藤澤「じゃ、一旦じゃあね!」
若井「はーい!」
ーバタンー(扉閉)
お互い部屋に入り、着替えを始めた
ちなみに俺の衣装はというと…..
大森「…絶対間違えたな、これ」
黒く鋭い角、中側が赤いマント、長すぎるつけ爪。
そう、ドラキュラなのである
大森「でもメイクもしてないし髪型もノーセットだと浮きすぎてるな…」
これはきっとツリ目のメイクに外ハネが似合う衣装だ。
完全オフな俺には衣装の存在感が凄まじかった。
まぁ仮装大会ではあるんだけども
藤澤「2人とも着替えたー?」
しばらくして隣の部屋から声がかかる
若井「着替えたー!」
大森「俺も終わった!」
藤澤「じゃあいくよ?」
藤澤「はいっ!!…….え?笑」
若井「あいっ!!…..おぉ!」
大森「ほい…………………え」
3人同時に廊下へ出た。
2人はどんな仮装をしてくるのだろうか
若井はカッコよく執事とか、?もしかするとドラキュラが被って大量発生する可能性もあるな。
涼ちゃんは着替えの難易度が高いやつは選ばないから、着ぐるみとかそういう系だろう。
そう思いながら2人に視線を向けた
そこには
大森「ふはははははwwwwwwwwwいやwwお前なにして…..っははははww」
藤澤「ねぇふざけたでしょ笑笑」
若井「えぇ?そう?笑」
大森「なんでおまえwww牛になってんのwwwww」
まさかの完全ネタに走った若井がいた。
ビニール製の大きな牛。とんでもなくデカイ。
中に空気が入っていて少しでも方向を変えると、一瞬で俺の視界から若井が居なくなる。
それがたまらなく俺のツボだった
大森「あ”〜おなかいたww」
若井「2人もいいじゃん!キマってんね」
藤澤「でしょー?これ見た瞬間すぐ買ったもん笑」
涼ちゃんは予想通り恐竜の着ぐるみ。
本来ならそのクオリティの低さにイジられる展開があったはずなのに
若井「元貴もいいね、ドラキュラ」
大森「いや….wもうお前が優勝だよw!」
藤澤「うーん、牛さんには勝てないねぇ…笑」
牛の存在感にそのくだりは打ち消された
なんなら仮装大会においてあるはずのない”勝ち負け”が決まってしまったのである
藤澤「とりあえずリビング行こっか笑」
大森「それドア通れんの?笑」
若井「わかんない….がんばる」
リビングに繋がる扉は狭くて、若井は一生懸命に牛を潰して通っていたからそれにまた涼ちゃんと笑った
牛を潰すってなんだよほんと。
藤澤・若井「もときー」
リビングについてすぐ2人から呼ばれる
大森「え?なに」
“トリックオアトリート!!”
大森「…あ〜!笑。おけおけ」
ハロウィンパーティーの醍醐味。
言われることを予想してたから前もって用意していた2つの袋を渡す
藤澤「わぁい!ありがとー」
若井「あ!俺が好きなやつだ!」
2人の好みに合わせて選んだお菓子。
袋の中身を覗くようにして確認する2人が子供みたいに見えてきてなんだかおもしろい
大森「ってか……俺には、?トリックオアトリート…」
藤澤・若井「あっ」
あからさまに焦りだした2人。
ねぇ、そんなことあります?
大森「忘れたの、?」
藤澤「いや….持ってこようと思ってたんだよ、?ちゃんと…」
若井「おれも…買おうか迷ったよ」
いくら言い訳してもそれ即ち”忘れた”という訳で。
ってか若井に関しては買ってすらねぇじゃん
大森「ふーん…..じゃあイタズラ、楽しみにしててね?笑」
藤澤・若井「あ”……」
片方の口角を上げて笑ってみると、2人の肩がふっと上がった
藤澤「いや…でもさ!俺用意してきたやつあるんだよ!」
大森「えーなに」
藤澤「待っててね」
リビングに取り残された俺と牛。
ソファーに座ると着いてきて、膨らんでる分スペースを取られる
大森「ねぇ邪魔!笑」
若井「しょうがないじゃんw」
移動する度にカシャカシャと音が鳴って騒がしい。
結局は牛に負けて端っこにちょこんと座るドラキュラの図が出来上がった
藤澤「もときー!若井ー!見て!」
ようやく涼ちゃんが戻ってきたと思ったらいきなりリビングの電気を消される
大森「え?なになに!なにそれ!」
若井「やば!すご〜」
涼ちゃんの手に抱えられていたのは
藤澤「可愛いでしょー?くり抜くの上手く出来たの!」
大森「可愛い〜。けど口ってギザギザしてるんじゃないっけ」
若井「たしかに笑」
藤澤「え?そうなの?お手本見てないんだよね笑」
カボチャのランタン。
涼ちゃんがくり抜いたにしては凄く器用に出来ている。
口は滑らかな曲線を描く、普通の形になっていて違う意味で少し不気味だけど
若井「……ほら。こんな感じ」
藤澤「!!ほんとだ〜笑。ギザギザしてたんだ〜!」
若井が写真を調べて涼ちゃんに見せる
お手本見ないでここまで出来るの逆に凄いな
藤澤「これ3つ作ってきてるから、中のろうをメンカラにして写真撮ろ〜!」
そう言ってポケットから赤・青・黄のろうを取り出す
大森「わ、オシャレ」
若井「すご!影が出来てる!」
外は段々と暗くなってきて、ちょうどよく影が壁に映し出された
ランタンの表情がより映えるようになり、若井は張り切ってカメラを構える
若井「いや〜、楽しかったぁ」
藤澤「ねー!これからはクリスマスだけじゃなくてハロウィンパーティーも毎年やろうよ!」
大森「時間があればやりたいね」
一段落して3人でお菓子を食べながら寛ぐ。
若井「俺は帰ったら写真を家に飾るー」
藤澤「あ、僕もそうしよー!」
若井「じゃあ元貴もやりなよ!」
大森「写真……うん、選んどく」
そう言ってカメラフォルダを開いた
大森「、、、、、笑笑」
オシャレなカボチャのランタン。
その両端に牛と恐竜のしっぽが映りこんだこの写真を、俺は今でもテレビ台のど真ん中に飾っている
fin.
私はトリックオアトリートなんて言う相手が居ないので嫉妬のまま書き進めました。
どうぞ皆さま恋人やお友達とハロウィンお楽しみやがれです。