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私は、時々不思議な夢を見る。
夢の中では、
「……! 一緒に遊ぼ!」
「うん!」
少女になっていたり、
「なんで?なんでよ!」
「……そういうものだから、しょうがない。」
大人の時もある。
どうやら、それは同じ人らしい。
そして、目覚める。
頬が濡れていた。
またか、と思いつつ身体を起こす。
「またあの夢だ。」
私は、天野梓(あまのあずさ)。高校1年生だ。
隣には2歳年下の妹、詩(うた)が寝ている。
「ぅん。 おねえ、ちゃん?」
詩が起きたらしい。
「どう、したの?」
「ちょっと起きちゃって。」
まだ5時だ。 もう少し寝よう。
「また、あの、夢?」
「そう。なんで分かったの?」
詩が私の頬に手をのばす。
「濡れてる、から。 お姉ちゃん、あの夢、見ると、いつも、泣いてる。」
「……ほんとだ。」
さっき拭いたが、まだ濡れていたらしい。
「もっかい、寝よ?」
「うん。そうだね」
布団を被って、目を閉じた。
私の意識は、沈んでいった。
目が覚めた。
「眠い…」
隣に詩はいないから、もう起きたのだろう。
起き上がり、制服に着替える。
私が行く珠玖(しゅく)高校は、いわゆる進学校だ。 頭の良い子が沢山集まってくる。
自慢じゃないが、私は頭が良い方だ。
学校の期末テストも、150人中20位以内には必ず入っている。
そんなことを考えながら階段を降りる。
ダイニングに行くと、母と詩はもう朝ごはんを食べていた。
「梓。おはよう。 ちょっと遅いわよ。」
「うん…。」
生返事をしながら、席に着く。
今日の朝ごはんはチーズパンだ。美味しそう。
時間がないから、少し急ごう。
朝ごはんを食べ終わり、荷物を確認する。
「お姉ちゃん。準備終わった?」
「うん!」
そして、家を出て高校に向かう。
詩も一緒だ。 珠玖高校は中高一貫校だ。だから中学もあるので、詩はそこに通っている。
着いたら、詩と別れ、自分のクラスに向かう。
私のクラスは1ー3だ。
何やら騒がしい。
「あ! 梓。おはよ〜。」
「おはよ〜。 花緒」
この子は、私の友達の橘花緒だ。
「ねぇねぇ、知ってる? 転校生が来るんだって!」
「へぇ~。どんな子だろ?」
「それがね、とってもイケメンらしいの!」
男子なのか。
「だから少し騒がしいのか。」
納得した。
そうこうしている内に、先生がやって来た。
「ほーい。皆、席についてー」
花緒と別れて、席に着く。
「じゃあ、入ってー。」
男子が入ってきた。
その容姿に、思わず見とれる。
「綺麗……。」
呟いたのは誰だっのか。
その男子は、とても綺麗だった。
人形のように整った顔立ち。
冷酷無比に見える顔に反して、その切れ長の瞳はとても暖かな光を宿していた。
「宮下永疾(みやしたえいと)です。よろしくお願いします。」
永疾君か。確かにかっこいいな。
ぼーっと見ていると、目が合った。
「えーっと、それじゃ永疾くんの席は、…ってどこ行くの!?」
何故かこちらに向かって来る。って
「え?」
「先生。ここがいいです。」
指差したのは、私の隣。
「やっと見つけた。鷺乃。」
何かを呟いたけど、よく聞こえない。
「絶対に手に入れてやる」
けど、身の危険を感じた。