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#暇だから構えっ…//
榎葉
415
21
鯨燈一
96
そこには、自分と同じくらいの歳の少年が立っていました。
と同時に、彼の顔はさっきまでの頭痛をまた呼び覚ましました。
「……君は、誰だい。」
「ここでは特別じゃない限り、名乗れないんだよ。」
そう吐き捨てるように言うと、横にどかっと座りました。
「相乗り失礼致します。」
取って付けたようなその言葉に怒気が含まれていることは、一目瞭然でした。
「で、何でお前は乗っているんだ。」
「分からないよ。君、この汽車は何なんだい。」
そう問いかけると彼は舌打ちをし、此方を見ないようにしながら話しました。
「お前も気づいているんだろう。この夜汽車は、死者が乗る汽車だ。」
「やっぱりかい。じゃあ僕死んでいるの。」
「お前、切符は持っているか。」
先程の女性と同じ問いかけなことに深い意味は在るのか、戸惑いつつ無いと答えました。
すると、彼は女性と同じようにわかりやすく安心して見せました。
「まだ死んでない。お前は帰れる。」
窓の外には獅子はもう消え、代わりに一際大きな星が浮かんでおりました。
恒星かもしれないなと眺めておりますと、また彼が尋ねてきました。
「本当に何も覚えていないのか。」
「ああ。目を開けたらこの汽車に乗っていて、それ以降のことしか覚えていないよ。」
すると今度は此方を真っ直ぐに見つめて続けました。
「お前には思い出す権利も在る。だが、思い出さない権利も在る。」
何を言われているのかも分からないですが、とにかく頷きました。
「さあ、何方を選ぶ。」
そう問われた時、先程までとは違い決意は固まっていました。
あの女性のことも、あの記憶のことも、自分は全てを思い出したいと思いました。
そんな強い意志を持ったのは初めてな気がして、でも初めてって何時を基準にしているのか分からなくなって、とりあえず考えるのをやめました。
「思い出すよ。」
「わかった。じゃあ、俺の人生に乗ってくれ。」
幻灯は二人を飲み込み―いや、誰かもう一人も包みこんだような気がしました。
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