ひさしぶりすぎですね
軽めの冷め期でした
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学校生活の中で国語の授業が一番好きかもしれない
教科書に書かれる美しい行書文字
俳句や短歌から想像できる時代をこえたきれいな風景
いくつも魅力があるけど一番は
さとみ先生に会えるから
俺はさとみ先生が好きだ
あの甘ったるい声も、黒板にかく綺麗な字も何もかもが好きでたまらない
先生のせいで息が詰まって死んじゃうかもしれない、と馬鹿な考えが頭をよぎることもあった
国語には全く興味がなくむしろ苦手教科だったが高校2年の春、さとみ先生が新任として全校の前であいさつしていたのをみて世界が変わった
残念ながら2年の国語担当はベテランのおばあちゃん先生だった
だけど「来年はさとみ先生が国語を教えてくれるかもしれない」という思いを捨てきれず国語だけは必死に勉強した
高校3年の春、奇跡が起きた
さとみ先生が担任兼国語担当になった
すべて捨ててもいいと思った、むしろすべて捨てて先生と2人の世界を見たいと思った
教卓にたつ先生を見てはにやけてしまいそうになるのをなんとか抑える
そんな幸せな日が続いくと思うと胸がはち切れそうになる
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「蒼井ころんです!隣町からきてなーんもわかんないけど仲良くしてねー!」
転校生がきた
そこそこ顔もいい細身で青髪の男の子だった
「えっとこれから蒼井はクラスの一員になるからみんな…」
「ちょさとみ先生話長いからだまっててよ!僕のこと可愛いから心配なのはわかるけどさ」
蒼井くんがぽんっとさとみ先生の肩をたたくとクラスが笑いに包まれた
陽キャの代表みたいな感じの子なのかな蒼井くんは
俺とは無縁のところにいる子だな
「ホームルーム終了、一限目古典の小テストだぞ」
ああ小テスト、昨日教科書を読み返しただけだけどいけるかな
クラスのみんながえーっと声をあげている
「ちょっとまって僕もやるの?!」
蒼井くんがきょとんと顔をあげた
「昨日いっただろ?いつ小テストがあるかわからないからちゃんと勉強しろって」
先生の手が蒼井くんの頭に触れた
「もう!子供扱いしないでよ!僕再来週には18だよ!」
「んお おめでと、ってテストくばるぞ!!」
俺も再来週には18になる
そのとき先生はおめでとうって微笑んでくれるかな
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受験モードは夏から、受験生の夏休みは休みじゃないと聞いたのは中2の秋だった
勉強は量じゃなくて質
そんなのわかりきっていた
中学生時代はこれもあわないあれもあわないで何個も塾を転々としていた
今の塾は好きなようにやれ、ってところだった
だから入った当初は国語だけをひたすらにやっていた
中学生のとき塾にはかよっていたものの定期テスト対策はなにもしてなかったので
順位も下から数えたほうが楽だったし授業はほぼ寝てた
だから高校でとんでもなく頭がよくなった俺に親は期待しかしていなかった
日に日に強くなっていく親からのプレッシャ
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塾のテストが返ってきた
ありえなかった
高校生になって一度もテストで落ち込んだことはなかった
だって国語をはじめ一番苦手な数学だって70点を下回ったことはなかった
順位だって2300人の中の70位代をキープしてたのに
赤坂莉犬 総合順位 101位
国語 59位 70点
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親に見せたら案の定怒鳴られた
どうしてこんなに下がることがあるのかって そんなんこっちがききたいわ
「今日はもう疲れた 寝よう」
もうすぐ12時をまわる
さすがに眠いので目を閉じようとした
ピコン
誰だよこんな遅い時間に
スマホをみると最古の友人であるるぅちゃんからだった
るぅちゃん ≺ りいぬ誕生日おめー!!
そいや今日だったな誕生日
俺はありがと、とだけかえした
今は自分の誕生日を愛おしく感じるほどの体力と精神がないのだ
朝は目覚めが悪かった
誕生日なのに
「りいぬおはよう 18歳おめでとう」
るぅちゃんが2度目の祝福をしてくれた
親でさえ言ってくれなかったのに
「あー!!りいぬくんたんおめー!」
るぅちゃんと談笑していると蒼井くんが割ってきた
「蒼井くん、ありがと」
「ころんでいいよ てかりいぬくん今日元気なくない?」
「…塾の模試結果が悪くて」
「りいぬが?珍しいですね」
一通り今日の授業がおわって帰ろうとした
さとみ先生には祝ってもらえなかった
期待はしてなかったといえばうそになる
俺もころんくんみたいに誕生日明日なので早弁します!とか馬鹿言っとけばよかったのかな
「るぅちゃん帰ろ」
「りいぬ?さとみ先生が教室残ってて言ってましたよ?」
「え?」
「俺だけ?」
「そうみたいです 誕生日なのに憂鬱ですね、」
ああ神様ありがとう
一生で一番最高な誕生日になりそうです
ー
「お 授業お疲れ様」
るぅちゃんに言われた空き教室に入ると本当に先生がいて、
ふたりきり
先生眼鏡かけてる
密室
少し声がかれてるつかれてるのかな
次から次へ考えが脳の中をよぎる
「いつまで突っ立ってるの?笑」
俺は先生の向かいに座った
こんなに近いのは初めてで心臓の音が鳴りやまなくて顔に出てないか不安になる
先生は俺をじっと見て口を開いた
「誕生日おめでとう 赤坂」
死んでもいい この世のすべてなげだしてもいい、と思った
これまでにない幸福感だった
「ありがとうござい、ます…、」
「今日元気なかったけど大丈夫か?」
「へ…?なんで、?」
「見てたらわかる、お前は顔に出やすいからな」
俺でよかったら話聞く、と言われその先生の顔が夕日に照らされてあまりにも綺麗だったから
模試結果のことも、親のことも全部吐き出してしまった
きずいたらないていた
しかし先生はずっと話を聞いてくれた
やっぱり俺の愛している人は誰よりも優しくて誰よりも綺麗だ
「先生もな昔赤坂と同じ経験をしたことがあるからわかるんだ」
「高校生のとき、ずっと学年1位でね 医者志望だったんだ」
先生は泣いている俺に語り掛けるように話してくれた
「学年でトップをとっているやつらばっかりが集まる全国模試を受けたんだけどね
もう全然わかんなくて空白ばっかり、結果も散々で親にあきれられたよ」
「すごく落ち込んだ 今まで1位以外の景色なんて知らなかったのにって
でもそんなとき当時の担任がこの学年のトップが君であること、僕は誇りに思うって言ってくれてね
あんな教師になりたいってそん時思ったんだ」
「俺も誇りに思うよ 赤坂はいつも国語満点だろ?小テストも定期テストも
わかりやすい授業できてんだなって安心するありがとう赤坂」
「せんせ…、」
泣き続けた
嬉しかった
こんな俺を受け止めてくれる人がいるなんて
先生みたいになりたい
誰かを受け止め勇気ずけられる
そんな大人になりたい
その日からちょくちょく放課後、先生と空き教室で会うようになった
時には相談にのってくれたり時には勉強を教えてくれたり楽しい毎日だった
もう卒業まじかの2月もうすぐ受験本番
家では親のほうがピリピリしていた
「先生」
「ん?」
今日も空き教室で2人話をしていた
「俺、先生みたいになりたい」
「うれしいこと言ってくれるねぇ」
「うそ!」
「え、」
「さとみ先生よりうんとすごい先生になりたい、!」
さとみ先生ははにかんで微笑んだ
「負けてたまるかよ」
「ふふっ 俺絶対合格するからみててくださいね」
「もちろん」
合格したら先生に気持ち、伝えてもいいかな
先生はどんな反応をするのかな
ー
「先生、!!」
「俺、!!ついにやったよ!!受かったよ!!」
「やったな!」
いつもの空き教室、もうすでに窓の外の桜の木にはほんのり桃色が色がかっていた
さとみ先生は泣いて俺の合格を祝ってくれた
「さとみ先生のおかげです、!」
「いや、りいぬが導いた結果だよ よく頑張ったな」
悩まされたり不安になったりしたのもさとみ先生のせいだけど頑張ろうって思えたり勇気をもらえたのもさとみ先生のおかげだと思う
ほんとに恋は盲目だな
「さとみ先生」
「ん?」
「好きです」
「ありがと、な」
「けど答えられない」
「わか、りました」
卒業式、あの空き教室に一人
告白してから先生と話すことはなくなった
気まずくて一方的にさけていた
「もうここにもこれないのか」
少し寂しい
俺を受け止めてくれる唯一の居場所と別れなきゃいけないのか
そんな思い出にひたっていると
「赤坂」
さとみ先生だった
「いい教師になれよ」
「辛くなったらまたここにこればいい
俺はいつでもここにいる」
ー
大学を卒業して教卓にたったとき俺は泣きそうになった
辛いことだってあったけどそれでも俺は自分の夢を叶えることができた
今は教師4年目として新人研修を任されている
「りいぬ先生!ここ教えてください!!」
「もちろん放課後教室で待ってて!」
「ここはね…」
「先生!!」
「僕先生が好きです!!!」
「ありがとう」
「でもごめん、ね」
マンションのポストに珍しく手紙が入っていた
『同窓会のお知らせ
○○高校 3年3組 赤坂莉犬様』
さとみ先生
ぱっと思い出したのはさとみ先生の笑顔だった
俺はまだどこかで先生を思っているのかもしれない
場所は主催者が働いてる居酒屋だった
「りいぬくんじゃんお久~!」
「え!?ころんくん?!」
「そうだけど、笑」
「すごいイケメンになってるじゃん」
みんなあのときより少し大人びた顔をしていた
結婚したり妊娠してる人もいた
「はーいみんな注目!!我らがさとみ先生ご来店でーす!!」
「よお、」
周りは相変わらずイケメンとか、ふけた?とか
俺は言葉が出てこなかった
あのときの気持ちが再びよみがえった
解散後、先生が帰るタイミングを見計らってほぼ同時に店をでた
そしてきずけば声をかけていた
「先生」
「もう少し飲みませんか」
俺たちはさっきとは違う少し落ち着いた雰囲気のバーで飲んでいた
教師になれたはなし、やんちゃな生徒のはなし
「なあ赤坂」
「もう生徒じゃないんだしりいぬでいいです」
「りいぬ」
「なんですか?」
「あの時お前好きって言ってくれたの覚えてるか?」
「えっ//…はい」
「実はあの時俺も同じ気持ちだったんだ」
少し照れくさそうに笑う先生はこの世のなによりも愛おしく感じた
「だいぶ遅くなっちゃったけど今からでもまにあうか、?」
「…もちろん、!」
数年後2人にはお揃いの指輪がはめられたとか
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今までで一番体力消耗が激しい話でした
4500文字以上、読むのも大変だったと思います
現在夜中の2時半です
pcでかいているので1度明日の朝スマホで確認して投稿 今日はYouTube見て寝ます
コメント
3件
えまってすきです(告白)
フォロー失礼します🙇♀️"