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あはそ
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フォニィ
side 緑
この世で、造花より綺麗なものはない
と、思う。
美しさの象徴とされている生花ではなく、造花の方が圧倒的に美しく、綺麗だと。
この世のすべては嘘でできているのだから、
造花は生花を真似てつくった偽物である。
でも、嘘でできたこの世では、本物さえも超えてくるだろう。
antipathy world
そんな世界、俺は不快でたまらない。
だって、偽物はどんなに本物を超えても、本物にはなれないのだから。
俺の家は普通じゃないと思う。
父親はゴミみたいな人
俺と母親以外にも外で家族を作っているような人間。
それを母親も俺も知っている
知った上で今の関係が成り立っている
母親は良い人
いつも優しくて、母親は好き。
ーーーただ、一点を除いて。
いつも、母親と父親と3人でいるときの空間は俺にとって、地獄でしか無い。
別に、父親と母親の仲がやばいわけでは無い。
普通にどこにでもいる仲睦まじい夫婦
……を演じている。
それが俺はどうしようもなく嫌
3人で過ごしているときに感じる、世界への絶望感
それは、どう自分の身を守ろうとしても、安易に雨のように降り注いでくる
どれだけ傘をさして守ろうとしても、絶望の雨は俺の傘をついてきて
前髪が濡れるだけではなく、心の裏面にも侵食してくる。
、、、絶望を感じているということは、俺はこの世界に期待を抱いていたのだろう。
緑「…、煩わしいなぁ」
絶望を感じさせるこの世界も、
つい期待をしてしまう俺の心も。
母「……カチャカチャ」
父「……モグモグ」
緑「………」
いつからだろう、食事のときに会話がなくなったのは。
俺達のこんな生活は
言の葉なんかとうに枯れきっていて、
事の実だけが俺に熟れている。
それでもこの家族を続けるなんて、
意味があるのだろうか。
ある日の朝、いつも通り洗面台に立っていた
緑「、、ひっどい顔…」
俺の顔には目の下に濃いクマができていた
あるのは、ずっと前からだ。
父親も母親も俺の前では普通の家族を演じているくせに、夜とか俺がいなくなるとすぐ喧嘩を始める
そのせいで俺は寝不足
まぁこんな濃いクマ見られたらクラスメイトとかに心配されるので俺はいつも隠している
クマを隠しているときに、鏡に写映った自分を見て思う。
自分の顔に嘘を描いていて、まるで絵画のよう
絵画はある風景を真似て描いたり、本当はない世界をあるかのように描いた偽物
このクマを隠すためのメイクも、本当の自分自身を偽っているのだから俺の偽物だ
俺は、なんで家にいるのだろう。
なんで、こんな家族を続けているのだろう。
こんな偽りだらけの生活で、自分を見失って、
なんで、生きているのだろう。
………俺ってなんだっけ?
そんな簡単なことすら分からない、
最も簡単な疑問のはずなのに、それすらも答えられない。
………でも、そんな疑問さえ、消えていくのだろう。
俺の家族の愛のように、、、
嘘だらけでできている自分を受け入れられず、
本当の自分にさよならすらも言えない
偽りだらけで
嘘に絡まっている
俺は…………
偽物
〜学校〜
今は放課後の部活動の時間
俺は美術部に所属している
美術室には静寂が流れているが、
すぐそこの廊下には何人もの女子生徒がいた
同級生いわく、俺を見に来ているらしい
時折、外の運動部の声や軽音楽部の音なども聞こえてくる
どこかの音楽関連の部活の音が聞こえた
そとらの音が嫌に鳴り合っている
隣り合う2つの音が重なるとそれは不協和音でしか無い。
作りたい色ができて、キャンバスに絵の具をのせる
絵の具は重ね塗りができるが細かくて面倒だから、丁寧に塗る
すると、女子生徒の声がちらほら聞こえてくる
モブ「すち先輩の真剣な顔かっこいぃ…」
モブ「横顔イケメンすぎ…」
「かっこいい」や「イケメン」など今まで散々言われてきたが
みんなの目に写っている俺は虚像だ
誰もが見間違っている
そんな俺に告白をしてくる子もいる
告白されているとき毎回思う。
どうしてそんなに愛なんなに群がり、
それを、欲して生きるのだろう。
愛というのは、いつかは消える不確かなものに
俺は、持っているいろいろな疑問を解決できないまま、
周囲と自分自身を騙しながら生きていかなければいけないのだろう。
なぜだろう、どうして此処が痛むのか
俺は、自分を偽ることで傷ついているのだろうか。
散々な日々は変わらない。
絶望の雨は止まない。
どんなに願おうとも叶うことは無い。
それなのに俺は、まだ本当の自分に
さよならを言えない。
ただ、嘘に絡まっているだけの俺が、
本物なわけないのに。
また、分からない
俺は、自分自身は何なのか、
そんな簡単なことがずっと分からない
でも、そんなこともどうせ、愛のように消えてゆく。
それなら、
消えてくれるなら、
俺は、
偽物の自分を受け入れよう。
本物の自分にさよならしよう。
嘘だらけに絡まっている俺は
偽物
造花だけが知っている、わかってくれる秘密の偽物
偽物には偽物にしか分からない感情がある。
だから、同じ偽物の造花だけは気づいてくれる。
偽りだらけのこの世界でも、偽物の自分が自分自身だと受け入れられるなら
嘘ばかりの世界の中だって、少しは生きやすくなるだろう。
たとえ、メイクで自分を隠しても、
なにかを真似したものでも、
本来の自分がいなくなるわけではない
世界を変えることは難しい
けど、自分自身の価値を認めることで世界はきっと、広がっていくと思う。
コメント
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第2話、読み終わりました。緑くんの内面があまりに繊細で、胸がぎゅっとなりました。特に「造花のほうが綺麗」という冒頭の一文が、家族の偽りや自分を偽って生きることへの諦観と、最後の「偽物を受け入れる」という決意に美しく繋がっていて、構成の巧みさに惹き込まれました。クマを隠すメイクを「自分の顔に嘘を描く」と表現する感覚、すごくリアルで痛いほど共感しました。でも、最終的に自分を認めて世界を広げようとする緑くんの強さを感じられて、温かい気持ちになりました。続きが楽しみです。