テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
上野文
8,011
黒おーじ
124
#ロマンスファンタジー
百はな🍑
4,936
春華ㄘゃ ♡💉
97
そんなエメラの疑問でさえ、クルスには全て見抜かれている。
「別に不思議ではないですよ。魔力不足のくせに短期間で魔法を習得したアディ様と比べられては困ります。言ったでしょう、僕は何百年も積み重ねてきたのです。禁断の魔法だって同時に使えるほどにね」
その言葉から、クルスはアディを超える魔力を持つ事が分かる。確実にアディに勝てる魔力を身に付けた上で計画を実行したのだと。
「教えてあげましょうか。僕が得た4つ目の禁断の魔法を」
クルスは立ち上がると、再びエメラの正面に立つ。
クルスの思惑に含まれた異常な闇が明かされるたびに、それは恐怖となってエメラを追い詰めていく。
「それは記憶の操作です」
それで全てが理解できた。信じられない話ではあるが、城の者たちは全て記憶を操作されている。ディアでもなく、アディでもなく、クルスが魔獣王なのだと。
そうなると、次のクルスの目的は見えてくる。それを口にするのも恐ろしいが、エメラは震える唇で真意を確かめる。
「わたくしの記憶も……操作なさるおつもりですか?」
それが可能なら、エメラはクルスを愛するように操作されてしまうはずだ。
しかしクルスは明るく笑って返した。
「あはは、しませんよ。そんな反則は面白くない」
どの口が言っているのだろうか。本来ならば、エメラはとっくにクルスに平手打ちをお見舞いしている。
それならば、クルスにとっての『面白い』とは一体何なのか。
そんなエメラの心の疑問すらも読んだかのように、クルスは自ら答えを語り続ける。
「簡単にアディ様に死なれても面白くないですしね。しっかりと不倫を見せつけないと。それこそが略奪愛の面白さだと思いませんか」
「……狂ってますわ……!!」
「ふふ、最高の褒め言葉ですね」
邪魔なはずのアディを生かしておく理由は、エメラとの不倫を見せつけて絶望に落とすためだった。
皮肉にも、それは過去にアディが語っていた『エメラを奪おうとする者に対する処置』と同じ内容だ。
「僕が狂うのは罪ではありません。狂わせるあなたが罪なんですよ」
「……!!」
一体、エメラにどれだけの罪を背負って生きろと言うのだろうか。
ふっと突然クルスから笑顔が消えて、どこか虚空を見つめながら呟く。
「魔獣王ディアに、アディ……親子二代に渡って僕からエメラ様を奪う彼らが憎い。今こそ見返してやりますよ」
その言葉に対してエメラは違和感を覚える。
クルスはアディと容姿が似ているから同年代かと思っていたが、違うのかもしれない。もっと昔からディアやエメラの事を見てきたかのような口ぶりだ。
「……わたくしは今後、どうすればよろしいのでしょうか」
エメラは差し障りのない程度にクルスに従うふりをして、状況を打開するチャンスを狙う事にした。
いくら容姿が似ていても、アディと同じようにクルスを愛するなんて決して出来ない。
「あぁ、エメラ様は普段通りでいいですよ。自由にして下さい。もちろんアディ様には会えませんが」
自由に動いていいという、その余裕は何だろうか。緩すぎて逆に警戒してしまう。
クルスの目的がエメラと結ばれる事であれば、エメラの命が狙われる事は決してない。だがアディが捕らえられている以上、下手に動けない事に変わりはない。
元々、重役を含めた城の者たちはアディの独裁に不信感を持っていた。だからこそ簡単にクルスの魔法に操作されてしまった。
この魔獣界の城はクルスに支配されて、エメラとアディの味方は誰もいない。
偽りの魔獣王となったクルスから魔獣界を取り戻す術は、まだ見付からない。
だがエメラもアディも、決して一人ではない。
過去から繋いできた本物の絆、家族……それらが存在する、第2の故郷というべき異世界がある。
それは『魔界』である。
コメント
1件
第19話、クルスの狂気がエグすぎて鳥肌たったよ…!😭💦「僕が狂うのは罪じゃない」って台詞、悪役として完璧すぎて震えた。記憶操作の禁断魔法とか反則でしょ〜!でも最後に魔界の名前が出て希望が見えた瞬間、ちょっと泣きそうになった🥺 エメラとアディ、絶対に取り戻してほしい…!次話が待ち遠しすぎるよ〜😤✨