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貴方のことが好きな人。
「髪の毛綺麗じゃないよ…」
素直に「ありがとう」を言えたら自
分のことも好きになれるのかな。
『綺麗だよ』
その声と同時に彼女の白くて細い指
が私の髪の毛に触れた。
その瞬間私は息を忘れた。
そして顔を手で覆って机に伏せた。
『あっ….ごめんね。嫌だったよね』
彼女は少し寂しそうな顔をした。
そんなことない。全然そんなこと
ないよ。
むしろ嬉しかった。
でもそう言ったら引かれちゃいそう
で言えなかった。
「全然大丈夫」
大丈夫じゃない。
心臓がそう言っている気がする。
『ほんと?よかった』
彼女はそう言って笑って私の後ろの
席に座った。
しばらくして担任の先生が教室に入
ってきた。
先生が大きな声で挨拶をする。
当たり前のように返事はまばらだっ
たけど後ろの席からは優しくて元気
ある声がはっきりと聞こえた。
先生の話が終わり、自由時間に
なった。
後ろの席の彼女はすでにたくさんの
人に囲まれている。
誰に対しても笑顔だった。
最初は海を眺めていた私も彼女の人
気ぶりに耐えられなくなり廊下に出
ようと席を立った。
彼女はおしゃべりに夢中で気づいて
くれない。
一体何を期待したんだろう。
私はそのままトイレに駆け込んだ。