先生は雪のように笑う綺麗な人でした。
「アカシア君、今日は割り算の勉強しよっか。」
「うん!!!」
当時ショタだったサンタヒーローは元気よく
返事をしました。
先生は親がいなくて学校に行けない子供達に
無償で勉強を教えてあげる優しい家庭教師
でした。
サンタヒーローは先生のことが大好きでした。
一目見た時から、一声聞いた時から、
サンタヒーローは先生のことが大好きでした。
「先生の好きな季節って何?」
「冬かな。雪好きなんだー。」
先生はそうやって綺麗に笑いました。
「先生は好きな人とかいるの?」
サンタヒーローはもじもじしながら先生に聞きました。
先生は清らかな声で言いました。
「先生はね、子供が好きだな。世界中の子供が幸せになればいいと思ってる。」
先生は雪のように綺麗な心の持ち主でした。
汚したのはサンタヒーローでした。
サンタヒーローは悪い魔法使いから
『縁結びおにぎり』を貰いました。
サンタヒーローは悪い魔法使いに言われたように珈琲によく眠れる薬を混ぜ、眠っている先生に『縁結びおにぎり』を食べさせました。
そして先生はサンタヒーローを好きになりました。
先生はサンタヒーローの子供を身籠りました。
先生は教え子に手を出した淫乱売女として
みにくいばけもの達からたくさんのひどい
言葉を 浴びせられました。
そうして先生は心の風邪を引いてしまいました。
悪いのはみにくいばけもの達でしょうか?
悪いのは魔法使いでしょうか?
悪いのは何も知らなかった馬鹿な
サンタヒーローでしょうか?
サンタヒーローは先生に元気になって欲しいと思いました。
サンタヒーローは思い出しました。
先生は冬が好きなんだと。
そこでサンタヒーローはこの世界の女神様であるシキ様のもとに行き、春と夏と秋を売って貰えるよう自分の宝物を全て持って行きました。
何故彼のようなただのショタが神様に会えたのかは皆目検討つきません。
彼はとにかく死にものぐるいで神様を探したのです。
シキ様はチョロい女神様でした。
可愛いショタに泣きながら懇願され段ボールいっぱいのガラクタ渡されただけで春と夏と秋をあっさり渡しちゃうくらいにはチョロい女神でした。
シキ様は冷ややかでグラマラスなだけのポンコツでした。
世界の管理者である女神様がこんなにもポンコツだから世界は こんなにも醜いのです。
サンタヒーローは先生の元へと走りました。
(先生、先生!!!俺やったよ!!!世界を先生の好きな季節だけにしたよ!!!先生お願いだよ。
元気になってよ…..!!!)
先生もおなかの赤ちゃんもとっくに
死んでました。
死因はわかりません。サンタヒーローは三年も先生をほったらかしてたのですから。
サンタヒーローは雪の積もったお墓の前で
呆然としました。
どこまでも馬鹿ですね、この男は。
先生を失ったサンタヒーローは考えました。
(そうだ!!!悪いことをしたら先生は僕を叱りに戻って来てくれるかもしれない!!!)
どこまでも思考が間違ってます。
先生から彼は何を学んだのでしょうか?
そして愚かな彼は悪い魔法使いに
春と夏と秋を売り払ってしまいました。
悪い魔法使いはびっくりしました。
(まさか健気なショタの恋を応援するために
《縁結びおにぎり》渡したらなんかすげぇ
高価な物くれたんですけどぉ!!!!やっぱり
人助けって大事だなぁ…..。)
彼は自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪でした。
で、彼はその高価な春と夏と秋をふるさとのジャポポン諸島に献上し、今では真面目に《縁結びおにぎり》のための米の栽培をしています。
言っときますが彼は無知な悪人です。
善ではありません。
《縁結びおにぎり》が悪いのではありません。
使用方法がもうびっくりするぐらい駄目だったのです。
こうしてこの世界の馬鹿共のせいでこの世界から春と夏と秋はなくなり、
世界は《銀世界》となりました。
世界は何故ここまで無知に寛容なのでしょうか?
無知であることが許されるのはギリ小学生
までです。
おかげで世界はめちゃくちゃです。
シキ様はあわててジャポポン諸島に春と夏と秋を返して貰うよう土下座をしました。
しかしジャポポン諸島の一番偉いクマギンジローちゃんは返してあげませんでした。
いじわるしたのでしょうか?
いいえ、違います。
ギンジローちゃんの手下の科学者ロボ君が
愚かにもカムイちゃんという化物に核兵器をポイってして、それをカムイちゃんが月に向かってポイってしたため月は星形になり、世界の気候はめちゃくちゃになり、春も夏も秋も曖昧でぐちゃぐちゃになってしまったのです。
ギンジローちゃんの《フィクションをわからせる能力》でも直せないほど、絶望的にぐちゃぐちゃになってしまいました。
もうこの世界にまともな季節なんてどこにもありませんでした。
だからあれだけ核兵器は使ってはいけないって昔の人達は言ってたんです。
ギンジローちゃんは土下座して詫びました。
シキ様も土下座して詫びました。
お互いの世界の偉い奴等が土下座し合う地獄が生まれました。
あーあ、無知って本当に罪ですね。
こうして世界は《銀世界》となり健気なショタは 酒浸りのオッサンになり、今日も今日とて罪滅ぼしのために子供達にプレゼントを配って回るのでした。
(最後まで読んでくださりありがとうございます。)
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