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「失恋、出会い」
帰り道。
桜色に染った河川敷。
「先輩に振られた」という気持ちを噛み締めてあるいた。
卒業生達 が咲き誇る桜とツーショットを撮ってる。
そして、
その中には僕を振った先輩がいた。
友達と喋っている先輩が。
とても笑顔な先輩が。
思いっきり笑っている先輩が。
そして、
綺麗な先輩が。
僕は走った。
バレないように。
帰り道さえ僕の居場所はない、と伝えるような。
そんな気がした。
しばらく走ったあと、
先輩が周りにいないのを確認した。
周りを見ていると自販機がある公園があった。
喉がかわいたのでそこに立ち寄った。
誰もいない公園。
色が落ちた遊具。
だけど桜だけは満開だった。
自販機でブラックコーヒーを購入。
色が剥がれたベンチに腰をおろした。
「にゃあー」
どこからか猫の鳴き声がした。
辺りを見渡すとダンボール箱があった、
「にゃああああ」
うるさい。
僕はもう何もしたくない。
疲れたんだ。
もうやめてくれ。
「にゃあああああああああ」
僕は助けない。
助けない。
うるさい。
絶対に助けない。
「カー!カー!カー!」
うるさい。
ここは動物園か?
まてよ、カラスと猫ってやばいんじゃないか?
ふと頭によぎる。
鳴き声的に猫は子猫だよな?
助けないとやばいんじゃないか?
死んじゃうんじゃ?
親猫もいなさそうだよな?
助けれる人僕以外にないんじゃ?
カラスがダンボール箱から子猫をつまみ出していた。
僕は頭より体が先に動いた。
咄嗟にカラスと子猫をひきはがした。
子猫の状態を確認した。
子猫は傷ひとつなかった。
よかった。
子猫は僕の手のひらにちょうど乗るようなサイズだった。
かなり小さい。
毛並みもまだ産毛だろう。
「にゃああ」
元気そうだな。
安堵した。
そして僕はダンボールの中に戻そうとした。
一瞬また、ふと思った。
またカラスが来て襲うんじゃないのか?
母猫もいなくて生きていけるのか?
ご飯はどうするのか?
夜は寒いんじゃないのか?
僕はそのまま子猫を持ち帰ることにした 。
そして飼うことにした。
名前はどうしようとダンボールを持ち夜道を歩いた。
そうだ。
ミームにしよう。
別に僕の好きだった先輩が三村(みむら)だからとか、
べ、別にそういうことじゃない。
断じて。
そしてミームとの新生活が始まったんだ。