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放課後の廊下。
りうらはクラスメイトの女の子と、スポーツの話で笑いながら話していた。
〈そうそう、この間の試合さ〜〉
「あー、それ見た見た!めっちゃすごかったよね」
軽い雑談だったのに、りうらの顔も自然とほころぶ。
そのとき
「……りうちゃん、楽しそうやな」
低い声が背後から聞こえ、振り返ると初兎が立っていた。
手はポケットに入っているけど、視線がちょっと鋭い。
『あ、初兎ちゃん……』
「……その子と何話してたん?」
女の子がちょっと気まずそうに笑い、りうらも思わず手を合わせる。
『ただの部活の話だよ!』
「……そうなん?」
初兎は少し口を尖らせ、腕を組む。
その表情は、怒っているというより、ほんの少しだけ嫉妬してる感じ。
「俺、りうちゃんの話相手は俺だけやと思っとったのに」
『なにそれ、かわいい……』
初兎はむっとして、顔を赤らめる。
でもすぐに、少し離れたところから手を伸ばして、そっとりうらの手を触れずに腕に添えるような距離で寄る。
「冗談や。ほんまに、ただ気になっただけや」
『……やっぱり、独占欲強いな』
初兎は腕を軽く引いて、照れくさそうに目をそらした。
「……そ、そんなことない!ちょっと嫉妬しただけや!」
りうらは笑いをこらえながら、心の中で思った。
(……やっぱり、かわいいな。怒っても嫉妬しても、全部初兎ちゃんらしい)
そして二人は、そのまま肩が触れない距離で一緒に歩き出す。
りうらは自然と笑顔になり、初兎も少し照れながら、でも嬉しそうに横を歩いていた。