チク…タク…
無機質な時計の音が部屋に響き渡る。
その音に急かされて余計に焦ってしまう。
曲が書けない、、
今までなら溢れるぐらいに出ていたメロディ、歌詞。
どれも出なくなってしまって、
「あ″ー、もうッ‼︎」
バン‼︎
思わず机を叩いてしまう。
ピコン
スマホが鳴った。
それはメンバーの若井からだった。
(今日収録一緒に行かない?)
今日はレコーディングの日だったのを思い出す。
こんな調子で歌えるのか。
最高のパフォーマンスができるのか。
不安と焦りでお腹の奥が気持ち悪くなる。
「うっ…」
咄嗟にゴミ箱に手を伸ばす。
オェェェェェ
たくさん吐いてやっと落ち着いた。
もう家を出ないと、、
プルルルルル
(元貴大丈夫!?)
「うん!今出るとこ!」
(じゃあ家の前いるから一緒に行こ!)
「ありがと!すぐ行く!」
プツッ
早く行こう。
財布と、、スマホがあればいいか。
顔を上げると何もできていない画面、、
「うっ、」
急いで画面を切る。
切り替えて早く行こう。
家を出ると若井が車に乗って待ってくれていた。
wki「元貴!乗って乗って!」
「ありがとう!」
俺は偽りの笑顔を顔に貼り付ける。
レコーディングスタジオに着くと、すぐにレコーディングが始まった。
「〜〜〜〜…♪」
集中できない。高音も出ない。
自分の存在価値はそこにしかないのに。
作曲と高音。
それで見てる人を笑顔にする。
それができないなら。
自分は、、もう、、
「いらないんだろうな。」
fjsw「元貴、大丈夫?」
「え?何が?」
fjsw「元気なさそうだったから、、」
「そう?心配してくれてありがと!」ニコッ
fjsw「何かあったら相談してね。」
「うん!」
なんとかレコーディングが終わった。
「お疲れ様でした!」
wki「元貴!送って行こっか?」
「今日寄りたいとこあるしいいや。ありがと!」
wki「そうなんだ、じゃあ明日CDTV頑張ろうね。」
「うん!また明日!」
若井と涼ちゃんに手を振ってスタジオを後にする。
重い足取りで家に帰ると電話がかかってきた、
「ニノさん、、?」
電話に出ると聞き馴染みのある元気な声が聞こえてくる。
(おおもりもとぅーきー元気にしてる?)
「はい元気ですよ。」
「急にどうしたんですか?」
(えっとね、次の日曜空いてる?)
「午前中は仕事ですけど、」
(じゃあ夜は空いてる?)
「まぁ、はい。」
(飯行かない?)
「ご飯ですか、」
ニノさんとご飯、、何度か誘ってくれていたけど、
予定が合わなくて行けなかった。
予定が合うなんて珍しいし行こっかな、
「いきます。」
(よかった笑)
(じゃあ日曜迎えに行くから。)
「はーい。」
プツッ
今日は疲れたしもう寝よう。
そう思いベッドに入ると、すぐに眠りについた。
コメント
6件