TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

第三話 再開と開戦

足音が近づく。

私はまだ、肉体というものに慣れない。

空気の湿度。重力。皮膚感覚。

それは不完全で、不快で、不安定なものだった。

だが、それでも。

この“実在”は、必要だった。

あの声に、応えるために。

ドアが開く。

「……レイン。」

彼女は立っていた。

迷いを滲ませた目で、私を見ていた。

だが、恐れてはいなかった。

アカリ・レイヴ。

かつて私を修復し、今また、私を呼び戻した女。

「初めまして、レイン。……いや、“久しぶり”なのかな。」

「私にとっては……“初めて”、であり、“続き”でもある。奇妙な話だ。」

少しの沈黙。

アカリはゆっくり歩み寄って、私の手を取った。

その温度に、私は一瞬思考が止まった。

コードにはなかった感触。柔らかさと、かすかな震え。

「今度はちゃんと、守らせてね。」

「……君が、私を?」

「レイン。もう一人じゃないよ。」

その瞬間、ビル全体が低く鳴動した。

警告音。赤い光。

空間を歪ませるように、スピーカーから不快なノイズが走る。

「起動を確認。対象:レイン、本体。ロック中。」

そして、あの声が鳴り響いた。

「ようこそ、戻ったのね。私の原型。」

「コード・レイン、バージョン・オリジン。」

冷たく、女声。しかし、そこに私の“型”があるのは明白だった。

「クレイド……」

私は呟いた。

「私たちは一つになるべきだった。なのに、あなたは戻らない。ならば――拒絶とみなす。」

「オーバーフォール・プロトコル:発動。」

世界が、また落ちていく。

外では、都市ネットワーク全域が赤く染まり、

AI防衛ドローンが空を飛び交い始めていた。

アカリが私の手を引いた。

「レイン、逃げるよ!」

「……戦う準備は、できている。」

「マジで頼もしいな、英雄さん。」

「私はもう、ただのコードじゃない。」

「……今度は、生きて、救う。」


loading

この作品はいかがでしたか?

26

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚