BLです。
奏斗
壮太が好きな大学生。片思い中
壮太
最近彼女と別れた大学生。
菜々美
奏斗が好きな壮太の元カノ。
あの女も懲りない奴だ。壮太と別れた後でも三人で会おうと誘ってくるし、三人でって言っておきながら壮太には見て見ぬふり。俺にばっかり話してきてうんざりしている。そのたびに壮太の落ち込んだ顔を見せられる俺の気持ちにもなってほしいってものだ。
とある日の休日。また三人で会う約束。いい加減もうやめにしようと言いたかったが今日は何やら様子がおかしい。壮太の元カノしかここにいない。壮太は来ないのか?ちょっと残念…じゃなくて、どうしてこの女しか来ないんだ?
「あの…菜々美?さん?でしたっけ、壮太は?」
『あの人なら今日は来ませんよ、用事があるらしく』
用事か…なら中止にすればいいものを…、やっぱり女心とか、人の心境はよくわからない。
「中止にすればよかったのでは?」
『もう!だいぶ鈍感なんですね、私、あなたのことが好きで三人で会ってたんです』
は?何ふざけたことを言っているのだろう。壮太に電話番号だけ聞いて二人で会えばよかったじゃないか。どうしてそれができなかったんだ?ただ単にその発想がなかっただけ?
『奏斗君は気遣いも上手だし、あの人よりも紳士っていうか…なんて言うか…』
『かみんぐあうとしちゃうと付き合いたいっていうか…』
あぁ、そうか、じゃあ俺もカミングアウトしてやろう。というか、してやらないとな。
「俺も言わせてもらっていいですか?」
『えへへ、何かな?』
「俺が好きなの、あなたじゃないです」
『…え?』
そこからはもう俺のターン。片思い中の相手について深堀していって、時折菜々美さんの顔を見て楽しむ。
俺、屑だなぁ…、でも仕方ないだろ?こうでもしないと壮太をおとすとか無理に決まっている。これくらいのメンタルがないとやっていけない。
『…無駄だったって…?そういう…ことなんですか?』
「はい、俺は、もっと言うと男が好きで、あいつが好きで」
『あいつって…?』
相手が墓穴を掘ったところでとどめの一撃。
「壮太が、好きなんです」
そのときの女の顔と来たらたまらない。涙を流して膝から崩れ落ちる。そこで見えるあいつの姿。遠目から見てもわかる。何年も何年も目で追ってきたから。
俺は、再起不能となった女の横を通り過ぎ壮太に会いに行く。
「壮太、偶然だな」
「今から、どっか食いに行こうぜ!俺のおごりで!」
あぁ、俺って、ほんと屑だよな
コメント
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うわぁ…良すぎぃ……( ´ཫ` )b