だから熱が上がる

少しして、岩本が帰って来た。真っ直ぐ寝室に行き、シーツの中で丸くなって眠っている渡辺のおでこに手を当て、体温計を取り脇に挟む。

体温計の表示は38.4だった。

アイスノンと冷えピタを用意して、寝室に戻る。

渡辺ーおか・・えり。

岩本ーただいま。

渡辺ー痛い。

岩本ー病院行くか？熱ある。

渡辺ーや。

岩本ーん、ほら、アイスノン、冷えピタも。

渡辺ーんっ・・いたい・・。

岩本ー泣くな。薬飲んで寝ろ。

渡辺ー横にいて？

岩本ー晩ご飯食べてくる。それからずっとそばにいる。

渡辺ー氷一欠片ちょうだい。

岩本ー持ってくる。

氷を一欠片口にして岩本は渡辺にキスをする。

渡辺の口に氷。カラカラ言わせながら冷たさを味わっている。

岩本が晩ご飯食べて、シャワー浴びて、氷一欠片を口にする。

渡辺に近づいてそっとキスをする。

氷が渡辺の口に入る。

渡辺ー照、もっと。

岩本ー氷？

渡辺ー違う、キスして。

岩本ー・・。

渡辺ーんっ・・。

岩本に抱きしめられ、深い眠りにつく。

明け方、渡辺は眼が覚めた。

岩本が抱きしめて眠っている。

腕の中からそろりと動いて抜け出し、体温計を持ちソファに移動する。37.2まで熱が下がった。

熱のせいで身体がザワザワする。

冷たいソファに寝転がる。

身体が落ち着いてくる。

岩本ー翔太。

渡辺ーここが落ち着く。

岩本ーシーツ持ってこようか？

渡辺ーん。

身体が温まるとザワザワするのは岩本も知っている。

シーツを持ってきて渡辺のお腹辺りに掛けて、足は出している。

前に、1番に足がザワザワして眠れなかった。

今回もそうだろうと、スウェットを脱がせる。

そっと足を撫でると、くすぐったいと言う。

時間まで眠る。岩本は渡辺の頭を撫でて寝室に戻る。

岩本ー翔太、起きろ。

渡辺ーん、時間？

岩本ー目黒に電話してるから、準備して？

渡辺ーまた、後で。

岩本ーん、行ってくる。

渡辺ーんっ・・。

軽くキスして岩本は出かけて行った。少しして目黒が来た。

手伝って渡辺の準備をして出かける。渡辺は眠そうだ。

目黒ーあまり寝られなかったの？

渡辺ー温かいと身体がザワザワして寝れない。

目黒ーまさか、起きてたなんて言わないよね？

渡辺ーソファで寝た。

目黒ーなんなの、そのザワザワするって。

渡辺ー分からん、落ち着かないんだ。

ソファで寝たから元気そうであるが、熱はある。

今日を乗り切れば明日は休みだ。

気合いを入れている。