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"監禁"

"監禁"

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2024年05月13日

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ある日、両親が「紹介したい方たちがいる」と、

わたしを車で連れ出した。

その時、わたしは中学2年生だった。


連れて行かれたのはビルだった。

周りのビルとは比べものにならないほど

大きなビルだった。


中へ入り、エレベーターに乗った。

エレベーターの中で

「エレベーターを降りたら喋らないように」と

強く、念を押された。


エレベーターを降り、

わたしは口を閉じて両親について歩いた。

エレベーターを降りてからかなり歩き、

ようやく、目的の部屋の扉の前で止まった。


両親がそこで

強い抱擁と愛の言葉をくれたのを

覚えている。


部屋に入ると、男の人がたくさんいた。

たばこを吸っている人もいた。


「そいつか?」

部屋にいた白い髪の人が言った。

「そうでございます。桜子、自己紹介をして」

喋らないように言われていたので

自己紹介はしなかった。

部屋にいた男たちの口角が上がった。

「いうことが聞ける奴だな」

白髪の人が言い、わたしに近づいた。

「!では…」

「ああ、こいつを貰う代わりに援助をしよう」

「ありがとうございます…!」

「ああ。部屋を出ろ」

「はい」


両親が部屋を出た。

こちらを振り返ることもなく

扉が閉まった。


「名前は?」

白髪の人が話しかけてきた。

けれどわたしは話さなかった。

「ああ…そうか。名前をいってくれ」

両親はその場にいなかったし

偉そうなこの人がいうならいいか、と

口を開いた。

「さくらこです。桜にこどもの子。」

「いい名前だな。俺は万次郎。一万円の万に次に太郎の郎だ。」

「はい。話は変わるのですが、お母さんとお父さんはどこへ行ったのですか?」

「名前以外、喋っていいとは言ってないぞ、桜子」

「すみません、気になったので」

「そうか。おまえの親ならもう家へ帰っているだろうな。もう、おまえはあいつらの娘じゃない」

「え?」

「首領、あいつら説明してないんじゃない?♡」

部屋にいた、紫髪の人が言った。

「そうか。桜子、おまえは親に売られたんだ」

「?」

「おまえの父親の会社が、借金を抱えたらしい。つい最近、うちに助けを求めにきたよ。」


たしかに、お父さんは会社を経営していた。

お金にも余裕があったらしくて、小さい頃は

休みの日によく、遊びに連れて行ってくれた。


けれど、最近はなかった。

わたしも成長したからだと思っていたが

違ったのかもしれない。


「今日からここに住んでもらう」

「ぇ」

「嫌と言われても住むしかないけどな」

「もう部屋は用意できてるよ♡」

「ぇ、ぁ」

「蘭、連れて行ってくれ。詳しいことは、また明日だ」

「はーい♡桜子、いくよ」

「ぅ、」


蘭と呼ばれた人は

わたしの腕を掴み、

引きずって部屋へ歩いて行った。


「ぁ、の、手、いたい、です」

「あ、そーお?ごめんねー」


謝りはしたものの、力はそのままだった。












「はい、ここが部屋ねー」

大きくて広い部屋だったが

部屋にあるのは大きなベッドひとつ

それだけだった。


「ベッドにごろんしてくれる?」

「ぇ?」

「ごろん、して?」

「は、い」

ふかふかのベッドだった。

きっと良いベッドなんだろう。



ガチャン

「?」

なにか、音がした。

自分の体からだった気がする。


ガチャン

また、音がした。

これも自分からだった気がする。


「おっけ〜♡似合ってるよ〜」


音の正体は足と手が拘束された音だった。

手枷と足枷がついていた。


「な、なにこれ、。はずしてください、。」

「まあそれがついてるのは今日だけだから。我慢して?」

「ゃ、」

「我慢、できない?」

蘭という人は怖かった。

一言一言に圧があって

逆らえる気がしなかった。

「で、きます、」

「えらい♡じゃあまた明日ね〜」


また明日もあの人に会うのか、と

絶望の中、眠りについた。



このときはまだ

両親が迎えにきてくれると信じていた。

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